さすが脚本家。読者を不安がらせる名人である。
冒頭の18ページで、私は三つもの不安を抱いてしまった。

 

まずは、とんでもない状況にある誰かについて。
ついで、主人公のプライベートについて。
そして、事件について。

 

「え、これはどういうこと?」
「この人、大丈夫?」
「それって、どうなるの?」

 

18ページどころか、次々と不安点が現れる。それが解決したり、新たな不安の原因にもなる。無数に現れる不安を解消したい、疑問を解決したいものだから、とにかく頁をめくるめくる。話がどんどん進んでいく。

 

ところで、北欧ミステリには強い呪縛があるらしい。

 

刑事の家庭は破綻しているべき
捜査陣の群像げきであるべき
社会問題に切り込むべき
女性はDVをうけているべき

 

上記のような「こうあるべき」が、様々な作品で見受けられる。
これを北欧ミステリの魅力とみるか、面白さを欠くテンプレートとみるか。人によって別れると思う。

私がみたところ、この作品は、呪縛から逃れようとして、まだ捕まっている印象がある。
けれども、シリーズ1巻目であるし、手練れのストーリーテラーであるし、これからどう方向を定めるかわからないし、続きが楽しみだ。

 

 

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