世界的に有力企業が高配当を出すようになり、高配当銘柄の株価が上昇しています。日本でも、フジテレビがライブドアからの買収防衛のために通年の5倍の配当を出すと発表して、株価が高騰しています。
 でも、長期的に見て本当に高配当は、株主のためになるのでしょうか。過去に配当について記事を書きましたが、今配当が結構重要なテーマになっているので、もう一度掲載します。



 12月24日付けのYomiuri On Line</a>によると、東京証券取引所第1、第2部に上場する3月期決算企業(金融機関を除く)1533社が2004年度に株主に支払う配当金の総額が、企業業績の好調を背景に前年度比15・0%増の2兆8892億円と過去最高に達する見通しとなったが、配当性向(企業の儲けをどれだけ配当に回したか)は、前年度1.5ポイント下回り、19.5%となり過去20年で最低、欧米が30%-40%であるのと比べてもとても低く、「日本企業が株主を軽視している」としています。
 
 でも、果たして配当性向の低さは、株主軽視を意味するのでしょうか?

 小生は、一概には言えないと考えます。例えば、成長企業で業績の拡大に伴い、新規投資や運転資金のための資金が必要な会社が、まだ自己資本の充実を犠牲にして利益の配当することに意味があるのでしょうか? 現在日本で最も安全な長期債券であるとされる日本国債(異論はあるかもしれないが)の10年モノを買っても、金利は1.35%という超低金利状況の中、現金で配当を受け取るよりも、配当をせず内部留保としてたくわえ、その内部留保を活用して企業価値を10%増やせるなら(状況としてはROE10%)明らかにそちらの方が長期的には株主の利益となります。逆に、10年国債の金利が仮に10%に上がったとして、ROEが5%しかない会社なら内部留保などせずに株主に現金で還元した方が、株主は受け取った資金を国債で運用した方が長期的には得であるといえるでしょう。過去記事をお読みの方はお気づきだと思いますが、ROEを高レベルに保つ成長企業にとっては、配当を少なくしてその分を内部留保に回した方が高いEPSが実現でき、結果として株主にとっては配当程度の利益は株高によって還元されるのです。
 一方、成熟産業で多くの設備投資を必要とせず、高いROEを望めず、現預金を蓄えている企業は配当した方が株主にとって利益となるでしょう。
 
 

 今日のポイント

 長期投資を考えるなら、単に配当性向だけでなく、長期的なROEを考えるべし。