健ちゃん土練りの巻 ― 壁土に学ぶ ― | 呼吸大学過去ブログ

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存在の意義が変わったために、
このブログを続ける意味が失われました。
ですので、今後は形をかえて発信していきます。




呼吸大学建築チームの健ちゃんが、
呼吸する土の壁土を練っているところです。

これは、昨年の映像です。

現在建築中の社寺民家融合の呼吸する家は、
土盤工事からすると今年で8年。

ようやく棟梁が建具の仕上げに入っているので、
今年中にはなんとか完成する見込みです。

さて、今、
土壁の家はほとんど皆無といっていいほど、
作られなくなっていますよね。


壁土は、循環資源。
まさに、地(tsuti)からの贈り物です。


壁土は、はがれてきたら塗りなおせます。

老朽化したら新しい土と混ぜて練りなおせば
蘇生し、繰り返し使えます。


このようなことを「エコ」と言う時代だと思うのですが、
私はちょっと待って、その「エコ」って、と思うのです。


昨今、もてはやされている、
エコロジーとは、
広義でいうと、
生態学的な知見を反映しようとする
文化的・社会的・経済的な思想や活動の一部、
または全部を指す言葉として使われているようです。

またそれは、「環境に配慮していそう」な
ファッションなどから、「地球に優しい」と
称する
最先端技術や企業活動、
市民活動、自然保護運動、
「自然に帰れ」という現代文明否定論まで、
きわめて広範囲にわたる、と
ウィキペディアにありました。




エコロジーという考え方を否定するつもりは
ありませんが、広義の意味からしても、
実際その思想に基づいて起こされた行動を見ても、
大企業の言うところの「エコ」という言葉には
注意が必要だとつくづく感じます。


「エコ」と言っても、
経済的、または主観的な発想に基づくものである場合、
そのほとんどが、どうしても、
人間のエゴによる、

聞こえがいいだけの、
僕チンはいいことしているのだ的な、
実際にはちっとも地球や宇宙の生態系を
考えていない、
単なる「宣伝文句」にしかすぎないと
感じるのです。



たとえば、某不動産業大手企業が言うところの
屋上緑化。


都会にオアシスを!
緑の癒しを!
というコンセプトは、
多くの人に受け入れられ、
よろこばれているかもしれません。


優秀な設計の先生や学者さんたちが
こぞって研究をし、
本気でその「エコな活動」に
取り組んでいらっしゃるのだと思います。


でも、
ですね。

でも、
本当はどうなんでしょうか。


どんなにものすごい最先端の
防水システムを導入しても、
建物が傷む速度は、
なにもしない屋上よりは相当早いことが
予想されます。


人間がどんなにがんばっても、
自然の法則や自然の原理に
逆らうような結果は得られないと
思うのです。

緑化というからには、
水がつきものですからね。

この水の力をあなどってはいけないと
思うのです。


建物が早く傷んだらどうなるでしょう。


産業廃棄物と称される
巨大なゴミが、
早いサイクルで生成される、
ということになるのではないでしょうか。


これが本当のエコなのか、
と疑問に思います。


人間の都合だけでみれば、
一時的な「エコ」ということが、
「善」なのかもしれません。

でも、私達の子どもたち、
そのまた子どもたちの
世代に、ゴミしか残せないような生き方は、
「善」と言えるでしょうか。



壁土をみる。
そしてその声を聴く。


でもなにもみえない。
なにも聴こえない。


それでも、
心眼を注ぎ、
心の耳を傾け、
古の知恵を授かりたいと思う。