2012-05-28 00:25:26

セミナー詳細

テーマ:大切なこと



グルっぽを作成しました。
「国語指導」という名称です。
国語(日本語)についてなら、なんでも語り合っていきたいと思います。
お陰様でたくさんの方にご参加いただいています。
関心のある方は、どうぞご参加お待ちしております。


土曜日の土浦でのセミナー、忘れないうちにご報告させていただきます。

まずは主催者である島田洋美先生からご挨拶と、私のご紹介をいただきました。
今回は、春から初夏にかけての歌をとりあげ、まずはMiKuさんに歌っていただき、歌詞の解説を私が行う、という形になります。

最初の歌は「早春賦」です。歌詞は以下のサイトをご覧ください。
http://www.utamap.com/showkasi.php?surl=E11946
これは長野県安曇野の早春を歌ったものだそうです。
文語定型詩ということで、歌詞の口語訳から始めました。
1 春といっても名ばかりの、なんという風の冷たさだろうか。
 谷の鶯は、歌いたい気持はあるのだけれど
 まだその時期ではないと、声も立てられない。(繰り返し、以下同じ)
2 ようやく氷が融け去り、葦が芽を膨らませている。
 いよいよ歌いだせる時だと思う心に反して 
 今日も昨日も雪が降り続く空模様である。
3 暦の上では春になっていると聞いていなければ春だと知らないでいられたのに。
 聞いてしまったから急かされる春を待つ思いである。
 この気持ちをどう晴らせという、この時季の進みのじれったさよ。


1番の「思えど」の「ど」が逆説であること、3番の「急かるる」の「るる」は自発の「る」の連体形であることなどの文法的説明のあと、
「角ぐむ」という言葉を取上げ、自然を表わす日本語の豊かさと使いこなす日本人の感性を称え、
生徒にも感性豊かな人生を歩んでほしいとの思いで、美しい日本語を伝えるようにしていると話しました。
また、旧暦と新暦の違いに少し触れ、年賀状に「春」の文字が使われているのは旧暦では1月1日から春であったこと、新暦で言えば立春は2月4日ごろであること。
1月1日はもちろん、2月初旬でさえ体感ではまだ冬のさなか、首都圏ではそのあたりからの降雪も珍しくない、
それでも日本人の感性は「立春」という言葉に春を感じるのだと述べ、
「春立つ日詠める」という詞書がついた紀貫之の「袖ひちて むすびし水の こほれるを 春立つけふの 風やとくらむ」の紹介で締めくくりました。

次は「花」。歌詞はこちら。
http://j-lyric.net/artist/a00126c/l013293.html
こちらも文語定型詩ですが、「早春賦」よりは解釈は易しいので口語訳はざっとに留めました。
この歌は表現技巧に富んでいて、特に2番は対句、倒置、擬人法を駆使しているため、中学生に韻文の表現技巧を指導する時によく例に挙げます。

そしてこの歌は11月の浦和での第一回セミナーの時も、季節外れではありますが取上げました。
場面は隅田川の言問橋のあたりであること、言問橋といえば伊勢物語にある以下の和歌が有名であること。
「名にし負わば いざ言問はん都鳥 わが思ふ人はありやなしやと(在原業平)」
在原業平は「今業平」という言葉もあるとおり、色好みで有名な貴人である。
彼が「身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、東の方に住むべき国求めに」と東下りしなければならなかった事情を少しだけ。
お子さんはいらっしゃいましたが、浦和の時と違って小学校低学年以下の年齢なので逆に理解できないだろうとは思いましたが。
ついでに、三河の国の八橋で詠んだ「からごろも 着つつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」の歌は、折句と縁語という技巧を使った見事な歌であると紹介しました。
最後は3番の終わりの「げに一刻も千金の眺めを何にたとふべき」は「春宵値千金」という言葉もあり、
唐代の詩人、孟浩然の五言絶句「春暁」を紹介しました。

3番目は「春の小川」です。
http://j-lyric.net/artist/a00126c/l01328d.html
これは小学校低学年で習う易しい歌ですね。
1912年にできた時は文語体であったのですが、その後変遷を経て今の口語定型詩に落ち着いています。
その過程はあとで洋美先生が解説なさっていました。
現在の口語体は大変平易で、解説する部分は少ないのですが、
渋谷の宇田川の支流の河骨川で作られたこと、今は面影もない大都会であるが、当時はのどかな田園地帯であったのだろうということを話しました。
1番も2番も倒置で、1行目が述語であり強調されているという技巧についても説明しました。
ひとつだけ、事前に洋美先生から「さらさらいくよ」は「ゆくよ」と発音しているのですが、間違っていますか?というご質問があった件について簡単に解説しました。
現代仮名遣いとして「言う」は「ゆう」と発音するが「いう」と表記するとあり、それと同様に表記は「いく」でも発音は「ゆく」でいいのではないか
加えて「ゆく」は文語的で固いイメージがあるが自然事象を表し、「いく」は意思的講堂を表すとあるので、「ゆく」と歌うのが相応しいのではと述べました。

続いての歌は「朧月夜」です。
http://www.geocities.jp/sybrma/102oborodukiyo.html
この歌も文語定型詩で8音プラス6音(4+4+3+3)で構成されています。
意味は以下のとおり。
1 菜の花畑に日が沈み、その名残の色も薄れつつある。
 山の稜線を見渡してみると、春霞が深く立ち込めている。
 春風がそよそよと吹く空を見ると
 夕月が昇り、淡い色で輝いている。
2 人里の周辺の火影も、森の色も、
 田のあぜ道を家路を急ぐ人も、
 蛙の鳴く声も、遠い山寺から響く鐘の音も、
 そのまま霞で包まれている朧月夜である。


まずは「山の端(は)」の説明から。
清少納言の枕草子の冒頭を挙げました。春の段と秋の段です。

 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
 秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。


中学2年の2学期の初めにこの部分を詳しく解説するのですが、「山の端(やまのは)」と「山際(山ぎは)」の対比は絵を書いて説明することにしています。
山の稜線の部分が「山の端」、山に近い空の部分が「山際」ですね。
次に「にほひ」ですが、これは口語では嗅覚を表しますが、文語では感覚全般の「みずみずしい美しさ」を表現する言葉です。
一世を風靡した人気歌手、山口百恵さんのヒット曲に「冬の色」という名曲がありました。
「あなたから許された口紅の色は からたちの花よりも薄い匂いです」というフレーズに、
「色が匂いなんておかしい」とクレームをつけた人が、「文語では匂いは嗅覚に限らない、そんなことも知らないのか」と非難ごうごうで逆に恥をかいた話をしました。
百恵さんは同世代ですから、懐かしい思い出ですね。

「里わ」の「わ」の解釈もしました。これは「里曲」や「里回」と表記し、「人里の周辺」という意味ですね。
「霞」というのは春を象徴する言葉で、春の季語でもあります。
後鳥羽院の「見渡せば山もと霞む水無瀬川夕べは秋となに思ひけん」の歌を紹介し、解釈いたしました。

最後に「朧月夜」といって私が一番最初に思い出すのは、紫式部の「源氏物語」の登場人物ですね。
私が「源氏物語」の中で2番目に好きな女性です。
彼女についてはこちらの過去ログをご覧ください。

主人公の光源氏を窮地に追いやった女性ですが、「源氏物語」に出てくる女性の中では数少ない「自分を持った女性」という点で、共感しています。
ちなみに、私が一番好きな登場人物は雲居の雁です。

彼女の人間臭さにとても惹かれます。

そんな話で、この曲については締めくくりをしました。

次は初夏を代表する「茶摘み」です。
http://j-lyric.net/artist/a00114b/l017d74.html
最初の「夏も近づく八十八夜」の「八十八夜」とは、立春から数えて88日目で今の暦では5月2日ごろ。
この頃は陽気もよく、新茶の収穫には最適の季節です。
一面若葉の季節に、茜襷に菅の笠を被った女性たちが、茶摘み歌を歌いながら新茶を摘むのですね。
2番にあるように急いで摘まなければならないのは、夜露にあたると傷むからだそうです。
この歌の舞台は、京都の宇治田原村だそうで、宇治はお茶どころとしても有名ですね。
最後の「摘まにゃ日本の茶にならぬ」の部分に、日本の食文化の1つをになっている誇りと自負が感じられます。
また、この歌は手遊び歌としても有名ですね。
「せっせっせ~のよいよいよい」から始まる手遊びを、おばあちゃまとなさった方もいらっしゃるのではないでしょうか?

あと2曲です。「浜辺の歌」
http://j-lyric.net/artist/a00126c/l013294.html
まずは解釈から。
1 朝がた浜辺をさ迷い歩くと
 昔のことが偲ばれる
 風の音、雲の姿。
 寄せる波も返す波も。
2 夕方、浜辺を徘徊すると
 昔の人のことを思い出す。
 寄せる波よ、返す波よ。
 月の色も、星の光も。
3 激しい風が波を吹き上げ
 赤い着物の裾も濡れてしまった。
 私の病は治ったが、
 浜辺の真砂=愛児(愛しいわが子)はどうしているだろうか。

このうち3番はほとんど知られていません。
あとで洋美先生が仰っていたのですが、どうも3番と4番が合体されてしまったようで、
作者も歌われることを望んでいらっしゃらないそうです。そういうこともあるのですね。

まずは文法的解釈から。
「さまよえば」「もとおれば」の「ば」という接続助詞は、口語では「仮定条件」のみを表しますが、
文語では「確定条件」の方が多く、ここでもそれにあたります。
ですから「もし~たら」ではなく「~すると」「~ので」と訳すのが妥当でしょう。
「もとおる」は「廻る」と表記し、「徘徊する」の意味ですね。
また「ぞ~るる」は係り結びの法則により、結びが連体形になっています。
さらに「あした」は「明日」のことでなく「朝一般」、「ゆうべ」も「昨夜」に限定しない「夕方一般」を指すのです。
歌詞はもちろんのこと、メロディーが大変美しい名曲ですね。

最後はやはりこの歌。「故郷」です。
http://j-lyric.net/artist/a033a5e/l00c066.html
六四調の文語定型詩です。
1 兎を追ったあの山、
 小鮒を釣ったあの川。
 夢は今もあの日に戻り、
 忘れられない故郷よ。
2 どうしていらっしゃるでしょうか?お父さま、お母さまは。
 無事でいるでしょうか?懐かしい幼馴染は。
 雨が降っても風が吹いても、
 思い出される故郷よ。
3 故郷を出るときに抱いていた大望を果たして
 いつの日か錦を飾ろう。
 山は青い故郷、
 水は清らかな故郷に。


まずは文語詩ですから、1番の1行目と2行目の「し」は過去を表す助動詞ですね。
決して「ウサギの肉が美味しかった」ではありませんよ、と笑いを取りました。
それから「恙無い」という言葉は口語にもあるはずですが、知っている人がほとんどいないと。
さらに「志」は「青雲の志」などといって、昔は地方からこの気持ちを抱いて都会に出て一旗挙げて、故郷に錦を飾ることが若者の夢だったという話をしました。
望郷の歌を数多く詠んだことで有名な石川啄木の「不来方の お城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心」を紹介しました。
また、「山は青き」の部分ですが、これは植物の色である以上「緑」であるはず、
しかし、日本だけでなく東洋では古来「青」と「緑」が混同され、今も信号の色の表現に残っている。
「碧」という漢字が両者を兼ね備えた意味をもつ。
中国でも「江 碧にして 鳥逾いよ白く 山 青くして 花然えんと欲す 今春 看すみす又た過ぐ 何れの日か 是れ帰年ならん(杜甫)」という五言絶句があることを例に挙げました。

最後に、心に浮かべる故郷は人それぞれ違うでしょう、
東京生まれ埼玉南部育ちの私には、この歌のような故郷はありません。
それでも、日本人である限り「故郷」と聞いて思い浮べるのはやはり「山が青く水が清い」美しい光景ではないでしょうか?
この歌は、自分の「故郷」の光景を思い浮べながら歌ってほしいです、と締めくくりました。

私の持ち時間は歌唱の時間も入れて約1時間。
お子さんには退屈な時間だったと思います。
それでも、洋美先生が飽きさせないように貼り絵の用意をしてくださったこともあり、
静かに聴いていただくことができました。
大人の方々は、皆さん何ごとか学んでお帰りくださったようでほっとしています。
その後、島田洋美先生のピアノの伴奏でもう一度合唱。
洋美先生の音楽面での解説もお聞きしました。
歌詞の意味を噛み締めながらの合唱は、最初よりずっと豊かだったように思います。

当日関わってくださった皆様に心より感謝いたします。
このような機会を、これからも持ち続けていきたいと存じます。
セッティングや集客をお願いできれば、交通費などの実費のみでどこへでも伺いますので、
声をおかけ願えれば幸いです。



それからWOHASをより多くの方に知っていただきたいと思っております。
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