エイズのウイルスのキャリヤーがその病気にもかかわらず国外退去命令を受けて問題になっています。

 

私が留学したころはまだフランスは亡命者なども多く保護されてさすが文明の都フランスだなと思わされたものですが、経済状態が悪くなりテロ事件が相次ぎ、次第にフランスもそんなに鷹揚なことは言ってはいられなくなってきたのでしょうか?

 

しかしこういった事件が国民の話題に上り問題視されるというだけでも、まだまだフランスは良識の国といえるのかもしれません。

 

ほとんど問題にもならずに終わってしまう国も多々あることと思います。

 

私が留学していたころはまだまだおおらかなもので、不法滞在者も10年以上住んでいることが証明できれば永住権カードを出してくれました。

 

今回も自発的にフランスから立ち去るようにということで、強制退去ではありませんから、話が複雑になってきます。

 

フランスの場合移民法で、自国へ帰ったら病の治療ができなくて重大な結果になるという時には、次のようなとき以外には、強制退去させられないことになっているのです。

*国の安全にかかわる時。

*テロ行為にかかわる時。

*特定された個人やグループに対するはっきりとした差別的な言行や憎しみや暴力の教唆。

 

国の安全やテロというののほかに第三番目に特定の個人やグループに対する差別的な言行や教唆が国外強制退去の理由になるというところに、フランスがいかに「寛容」ということに重きを置いているかがわかるといえます。

 

今回の場合には明らかにこのどれにもあたりませんから、国外強制退去の対象になりません。

 

しかし同時に、公共の秩序を乱す恐れのある時には滞在許可は拒否されることがあるという点には触れますから、結論として、滞在許可のない男がフランス国内で法のはざまのようなところに追いやられて存在することになってしまいます。

 

100%整合性のある法を作ることがいかに大変かということでもあります。

 

ふつうはこの法のはざまでああでもないこうでもないと関係者がやっているうちに状況が変わって、まあ問題のない結果にたどり着くということが多いのですが、運が悪いとこうした整合性に欠ける法の犠牲になる人も出てきます。

 

今回問題をさらに複雑にしてしまったのは、担当医が出身国では適切な治療が不可能であるという答申をしているのに、裁判所がフランスでなければ治療ができないという必然性が示されていない、としていることです。

 

 

 

 

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