民事法務協会職員600余名が失職の危機 - 国は雇用を守れ 12.16抗議・告発集会を開催 | くろすろーど

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 ※国公労連速報(2010年12月17日 No.2462)です。


 民事法務協会職員600余名が失職の危機
 国は雇用を守れ 12.16抗議・告発集会を開催


 2010年12月16日、民事法務協会支援共闘会議(以下「支援共闘会議」)の主催で法務省前での座り込み行動と都内での「12.16抗議・告発集会」が開催され、座り込み行動には90名が結集、集会には約200名が参加しました。集会では、2011年度から実施される「登記簿等の公開に関する事務(乙号事務)」の民間競争入札結果で、これまで同業務を担ってきた(財)民事法務協会職員が600余名も失職する事態となっている情勢を踏まえ、雇用と公共サービスの質を確保するため、全力でたたかうことを確認しました。


 集会の冒頭、主催者を代表してあいさつに立った宮垣代表委員(国公労連中央執行委員長)は、「低価格競争に偏重した市場化テストにより、民事法務協会の職員600余名が年度末にも職を失う事態となっている」、「これは昨年末に社会保険庁廃止とともに強行された525名もの分限免職や、この年末に日本航空で整理解雇の名のもと強行されようとしている250名の指名解雇とも軌を一にする。国による経験豊かな労働者の大量解雇、公的サービスの破壊に他ならなない」と述べ、正念場となる3月までのたたかいへの協力と支援を呼びかけました。


 つづいて支援共闘会議の荒木事務局長がたたかいの経過報告に立ち、「民事法務協会職員は市場化テスト導入後の3年間で700名余が退職を余儀なくされ、さらに今回の入札結果でも落札者のほとんどが派遣会社となり600名余が失職の危機にさらされている」、「組合が行った出口調査でも利用者からの苦情が多数上がっており、サービスの低下は明らか。労働者の雇用を守り公的サービスの質を確保するため、国の政策を変えるたたかいが重要」と述べました。


 また上条弁護士が法的視点からこの問題を検証し、「乙号事務は国の政策で民間委託化され、約40年間にわたり(財)民事法務協会が事務の安全・守秘を守ってきた。すでに民間が担っているにも関わらず、再度民間に委ねる必要性はなく、サービスの質の低下も含め『市場化テスト法』第1条の趣旨に反している」、「雇用・労働条件の破壊は『公共サービス基本法』第11条に反する」と指摘しました。


 つづいて連帯のあいさつが行われ、全労連の藤好副議長(建交労中央執行委員長)、社会保険庁不当解雇撤回全厚生闘争団の國枝さん(国公労連中央執行委員)、日本航空キャビンクルーユニオンの石賀さんから、それぞれの闘争への協力と支援も訴えられました。


 また、共闘会議を構成する支援団体から、伊藤代表委員(東京地評議長)、植松(東京国公事務局長)、遠藤(全労連・全国一般本部書記長)、岩井代表委員(特殊法人労連議長)があいさつに立ち、山場となる3月までのたたかいに臨む決意を述べました。


 その後、全国各地から本日の行動に結集した民事法務協会労組(以下「民法労」)の仲間から、仕事への誇りとそれを打ち砕かれた悔しさ、今後の生活への不安などを述べ、3月までのたたかいへの最大結集が訴えられ、会場から大きな拍手で激励が行われました。


 民法労の衛藤委員長は、支援への感謝を述べるとともに「組合員が壊滅的な入札結果をどんな思いで観ているのか、はらわたが煮えくりかえる思い」、「公務・公共サービスと私たちを切り捨てる国と民事法務協会を断じて許せない」、「絶対にあきらめず、怒りをもってひるまずたたかう」と決意を表明しました。


 集会では決議文(別添)が満場一致で採択され、室井代表委員(全労連・全国一般中央執行委員長)の閉会あいさつと団結ガンバローで、最後までたたかう意思統一が図られました。


   国(法務省)は雇用を守れ! 12.16抗議・告発集会 決議


 本日、私たちは、民法労(民事法務労働組合)と民法労支援共闘会議とともに、公共サービスと雇用を破壊する市場化テスト(競争入札)の本質を明らかにし、長年法務局の窓口(乙号)業務に携わってきた熟練労働者が解雇され路頭に迷う事態を作った、国(法務省)の責任を求めて立ちあがった。


 法務省の窓口業務は、不動産・商業登記の証明書を発行することで日本経済の根幹を支え、国民の財産権を国が保証する重要な公共業務である。しかし、2006年市場化テスト法(公共ザービス改革法)の対象となり、40年来法務局職員とともに業務を担ってきた民事法務協会職員がわずか3年間で700名も退職を余儀なくされ、さらに、2011年度の入札結果によって600名が新たにくらしの糧を失う事態となった。


 50兆円ビジネスチャンスと喧伝された市場化テストは、重要な公共の仕事を営利企業に売り渡し、労働者にとっては失業と賃金ダンピングを押し付けるものであり、公共サービス破壊と雇用破壊そのものである。


 民間事業者が参入して、窓口での待ら時間が増え、正確な証明書が発行されないことなどの多くの問題点が指摘され、新授業者に対し法務省が改善命令を出す事態となり、国会でも取り上げられ、仙石法務大庄は「いわくつきの業者が参入してくるようなことがあれば、これはゆゆしき事態であるので、徹底した調査を行う」と回答した。


 長年窓口業務に従事してきた民事法務協会職員の熟練した対応が、円滑な民事行政の一旦を担ってきたことはだれも否定できない。しかし、法務省は窓口業務の「市場化テスト実施要綱」において、「技術評価」部分を引き下げ、新規業者が参入しやすい仕組みに変更し、公共サービスの質を担保する「技術評価jより、応札価格が低い業者が落札できるようにした。ここに、市場化テストの質より価格重視・「安かろう懇かろう」の本質がある。市場化テストが続けば続くほど低い落札価格となり、質の低下が進むことは想像に難くない。


 新規業者のほとんどは人材派遣会社であり、数年契約の市場化テストでは、短周も短期間、賃金も最低賃金に限りなく近づく。新規業者の中には低価格調査に必要誉類を提出せず辞退したり、「登記簿上の土地に本社が存在しない」業者があったり、残業代を支払わず賃金・労働条件を一方的に切り下げる等、「問題J業者も存在する。図の重要な業務をこうした「問題」業者に開放するのが市場化テストである。


 そして、これまで公務員が行ってきた業務が不安定な労働者に置き換えられた。多くの民法労の組合員は年収200万円台に切り下げられ、通勤片道2時間かけても、国民のための法務行政を守ろうと懸命に働き続けてきた


 懸命に働いても将来に展望が見えないワーキングプアが社会問題になっているときに、国がワーキングプアをつくりだしている事態に私たちは心の底から怒りを覚えるものである。いま、その職場が奪われ、路頭に放り出されようとしている。こんなことで公共業務が壊され、人生が狂わされて良いわけがない。


 本日の抗議・告発集会に参加した私たちは、国(法務省)による雇用破壊・官製ワーキングプアを許さず、国民のための法務行政を守るために立ちあがる決意をした。


 法務局の窓口業務を市場化テスト対象から外し、公契約法の制定で技術・技能・経験に見合った労働条件を保証し、民法労組合員の雇用確保を国(法務省)に求めるため、全力を挙げて奮闘することを、本集会の名において決議するものである。


 2010年12月16日
 「国(法務省)は雇用を守れ! 12.16抗議・告発集会」