2009-06-25 07:36:09

子どもを襲う貧困と戦争のスパイラル -児童虐待、国家規模の貧困ビジネスである戦争が命奪う

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 明日から、私も参加する中央社保協総会があるのですが、社保協の仲間から、『子どもの最貧国・日本』(光文社新書)の著者である山野良一さんの講演要旨を、ぜひブログで活用くださいとのことでファイルをいただきましたので、以下紹介します。(※他団体の方からもブログへの協力をいただき、とてもうれしいです。山野さんの講演は今年の3月に行われたものです。byノックオン)


 1995年頃から日本で、児童虐待が急激に増えてきました。その背景として、1つは90年代からPTSD(心的外傷後ストレス障害)やトラウマなど心理的な問題を見る世の中の目が広がったこと。もう1つは、「早寝早起き朝ご飯運動」や「家庭教育ノート」など「親の自己責任」が強調されるようになって、様々な理由でそれに対応できない状況に置かれている親たちのストレスとなり、反目するように児童虐待が出てきたのではないかと考えています。


 アメリカでは、貧困な人たちだけが暮らす地域と、豊かな人たちが暮らす地域が、明確に分離しています。いちばん児童虐待が多い貧困地域では子ども1,000人に50人の割合で発生し、いちばん少ない豊かな地域は1,000人に0.2人です。貧困地域では、豊かな地域の250倍の児童虐待が起きているのです。


 児童虐待だけではありません。ティーンマザー - 10代の子どもの妊娠は、貧困地域の大きな問題ですし、銃犯罪、麻薬の問題などが貧困層に集中してあらわれています。


 アメリカは、「貧困大国」であり、「虐待大国」でもあります。アメリカでは1年間で、1,300人もが児童虐待で亡くなっています。日本は虐待は50人で、一家心中を含めると1年間で100人の子どもが亡くなっています。アメリカは子どもの数が日本の3倍ぐらいありますが、それでもアメリカの児童虐待による死亡数はケタが違って多いことが分かります。また、アメリカは「監獄大国」でもあり、人口3億人のうち刑務所・拘置所などに収容されるのは1年間に1,000万人、30人に1人で、貧困者が多くをしめています。


 また、アメリカの子どもの貧困は戦争と深く結びついています。ジャーナリストの堤未果さんが『ルポ貧困大国アメリカ』(岩波新書)の中で指摘されているように、子どもが貧困から抜け出すには、軍隊しか選択肢がないような状況にされているわけです。貧困で学校にも通えない、家族は十分な医療も受けられない。そこを抜け出すには、軍隊に入れば、大学にも通えるし、いろんな資格も取れる、家族も医療を受けられるようになる、というわけです。アメリカでは、「徴兵制はいらない。貧困があるから」と言われていて、まさに国家規模の「貧困ビジネス」が戦争になっているわけです。


 たとえば、イラク戦争において、兵士が戦場には行きたくないと拒否すれば懲戒除隊として扱われ、奨学金や医療保険、住宅ローンの融資などを受ける権利も奪われるわけです。結局、貧困のため戦場に行かざるを得ず、イラクからの帰還兵にPTSDなどの精神障害や自殺が増大しています。PTSDで兵士を続けられなくなった貧困層の若者の家族は崩壊し、本人も社会への復帰ができずホームレスとなるケースも増えています。


 アメリカにおいて、軍事費へ税金投入→教育・医療・社会保障費削減→貧困増大→子どもの貧困増大→貧困脱出へ軍隊入隊→戦争、という「貧困と戦争のスパイラル」ともいえる状況になっているわけです。


 アメリカのこうした状況は、貧困問題と戦争の問題が密接に関係していることを示しています。日本においても、憲法25条の生存権保障と、憲法9条の平和主義をともに重要な課題として追求する必要があるのです。


 給料から税金、社会保険料などを引き、児童手当、児童扶養手当など社会保障給付金を足して計算し、中央値の半分を「貧困ライン」といいます。日本では親子2人で195万円、3人で239万円ほどで、この額は生活保護の基準とほぼ同じです。


 この「貧困ライン」以下で暮らす17歳以下の子どもの割合を「子どもの貧困率」といい、日本の「子どもの貧困率」は14.3%で7人に1人の子どもが貧困家庭に暮らしています。これはOECD25カ国の平均より高くて、日本の特徴は「ひとり親家庭」の貧困率がトルコに次いで2番目に高くほぼ60%にのぼっています。しかも、政府が社会保障などの施策を行うことによってヨーロッパ諸国は子どもの貧困率を下げているのに、日本だけが政府の施策によってかえって子どもの貧困率が高くなる状況にあります。ひとり親は、ほとんど非正規労働者であり、社会保障が少ない一方、税金や社会保険料が非常に高くなっているのです。


 アメリカでは、貧困家庭の乳児の死亡率は1.7倍で、入院回数も2倍になっています。日本でも阿部彩さんの調査「0~4歳の子どもの成長と家族の経済状況(2008年)」によれば、貧困家庭の子どもほど、身長・体重の数値が小さく、病気の発生率が高いが通院ができず、逆に入院が多くなるなどの傾向があることが分かっています。日本における健康保険料の3割負担なども大きな問題です。


 アメリカのチャイルド・ディフェンス・ファンドの報告はこう述べています。「当該の子どもだけが被害者なのではない。子どもが発達上の課題を背負ってしまったら、社会はそのコストを代償しなければならない。企業はよいスタッフを見つけることができなくなる。先生は補習や特別教育に時間を費やさなければならなくなる。裁判所はさらに多くの犯罪や家庭内暴力の審理をしなければならなくなる」


 日本政府は、毎年、社会保障費を2,200億円も削減するなど、「子どもの貧困」のことはまったく考えていません。しかし、子どもの貧困を解消するための社会的な投資を増やすことによって、子ども自身だけでなく、社会全体の損失を減らすことができるのです。私たちは「子どもの貧困」の問題に敏感にならなければいけないと思います。

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コメント

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7 ■無題

>ATMさん

今現在も子どもたちを実際に殺しているのは、アメリカ軍です。
それも他国の何の罪もない子どもたちを
アメリカの武力、軍事力はあやめています。
日本はそれに加担していますが、
憲法九条がぎりぎりの歯止めに
なっているだけです。
憲法九条の歯止めが無くなれば
アメリカ軍と一緒に
他国の子どもの頭の上に
ミサイルを撃ち込むことになります。

6 ■Re:日本とアメリカと中国の貧困

>龍さん

軍事費と書いてあれば検証せず鵜呑みにする、「私バカです」との宣言ですね。わかります。

書き手もあなたもまず反論に答えてから非難すれば?

5 ■Re:日本とアメリカと中国の貧困

>龍さん

世界で最も、貧困な子供が多い中国を無視するのは何故でしょうね。

人権、人権と叫ぶ人たちは、反米ばかりで、中国の実態を故意に無視しているのが、非常に奇異に見えますよ。

4 ■日本とアメリカと中国の貧困

 全部軍事費の圧迫があると共感できます。

 情報は本当に役にたつと思います。三番までの人たちが、とても奇異に見えるのは、事実ですね。

3 ■無題

中国では、子供が奴隷として売買されていますよ。

貧困ラインどころか、人間扱いされない子供達が中国に居ることを知りましょう。

2 ■これは…

過去のエントリーに関する再反論なのかわかりませんが、相変わらず論証不足、論理飛躍が目立ちます。

書き手の引用する学者や実務家がことごとく嘘や詭弁を弄している、いい加減な人たちだということが分かったのは収穫ですけれどね。

1 ■無題

どうして左翼は、こういう問題まで憲法9条を絡めようとするんだ?
戦争が命を奪うんだったら、軍縮を行っている日本ではなく、軍拡を続ける中国や韓国、北朝鮮をどうにかしろ。話はそれからだ。北朝鮮にミサイルを落とされて、それで子供が死んでも、それは「憲法9条を守るための当然の犠牲」とでも言うつもりか?

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