2009-04-04 18:29:10

16分に1人が自殺、11年連続3万人超、自殺か餓死か路上死か最悪の三択せまる日本社会

テーマ:ワーキングプア・貧困問題

 昨年1年間の全国の自殺者は3万2249人で、過去2番目に自殺者が多かった2007年の3万3093人より844人減ったものの、11年連続で3万人を超えたことが4月2日の警察庁の発表で分かりました。


 人口10万人あたりの自殺者数を示す自殺率は25.3で前年より0.6減少していますが、主要先進国の中では自殺率が最も高いことに変わりはありません。月別では、米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻した昨年9月は2,714人で、8月より283人増加し、翌10月は3,092人に上っています。昨年、全国の警察にはインターネット上の自殺予告についての通報が180件あり、警察官が急行して95人を思いとどまらせたとのこと。また、警察庁は、例年6月に前年の自殺者数を公表していましたが、自殺の実態把握について社会的関心が高まっているとして集計後速やかに総数を公表することにし、加えて今年2月から統計システムを変え、年1回しか公表していなかった自殺者統計を月ごとに公表する方式に切り替えたとのことです。2008年の動機別など詳細な分析については、5月に発表する予定。今年に入ってから2月までの自殺者数は、5,125人と昨年の同時期と比べ175人増えていて、昨年秋以降の景気悪化の影響が出始めている可能性があるとしています。


 1日平均88人、交通事故死者の6倍もの人が自ら命を絶ち、10年で県庁所在都市が一つ消えた計算となる自殺。雨宮処凛さんの近著『排除の空気に唾を吐け』(講談社現代新書)の中で、自殺について考察しているところがありますので紹介したいと思います。(※例によって私の勝手な要約ですのでご勘弁を。byノックオン)


 雨宮処凛さんは、本書の第2章「16分に1人が自殺。『自分自身からの排除』の背景」を中心に、自殺の問題について次のように書いています。


 2007年1年間の自殺3万3093人。1日当たり90人。16分に1人が自ら命を絶っている計算になる。私自身、周りの友人や知人を自殺で失ってきた。多くがうつ病で働けず、貧困の中にいた。生活保護の申請に行っても「若いから働ける」と追い返され、家賃も滞納し、電気やガス、水道も止まり、所持金も底をつく。そのまま行けば「餓死」が待っている日々の中、自らの命を絶つ。しかし、つい最近まで、そのこと自体がなかなか「貧困」の問題と捉えられる回路がなかった。特に若ければ若いほど、本人の「心の問題」として処理されてきた。


 反貧困ネットワーク事務局長でNPO法人もやい事務局長の湯浅誠さんは、人は「5重の排除」を受けて「貧困」に陥ると指摘している。「5重の排除」とは、①教育課程からの排除、②企業福祉からの排除、③家族福祉からの排除、④公的福祉からの排除、⑤自分自身からの排除、である。


 5つ目の「自分自身からの排除」で、上記4つの排除を受けた状態に陥ってしまうと、結局は自分を責めてしまう。「こんな自分が生きていても意味がないんじゃないか…」と「自殺」の2文字が頭の中をちらつき始める。この「自分自身からの排除」は、まさに自殺の問題と地続きだ。


 ある30代の男性は、正社員だったが数年前にリストラにあい、以来6年間、120社以上に就職活動するが不採用。その間、派遣の仕事などをしていた。直近では長期の派遣の仕事ということで、派遣先に気にいられるよう、出勤時間の30分~1時間前には出社し、自主的に社内の清掃をし、私服OKだったのにわざわざスーツを着て出勤していたのだが、1カ月でクビを切られた。クビを告げられた時には「社員に対しての大量殺人」を考えたものの、もちろん実行はしていない。


 その後、面接に言った企業の面接官から、彼はこう言われた。


 「あなたの生きてる目的は何ですか? こんな6年も地に足が着かない仕事をして…。私には、あなたのような人達の生きている理由が理解できない」


 そして彼は不採用にされた。彼はメールにこう書いてきた。


 「本当に自分自身の人間としての価値の無さや社会から除外されてる事を考えると社会の為に死を選ぶ事が必要だと考えてます」、「今の仕事が出来ないのも全ての原因は自分自身であると思っており生きてる事が社会に対して迷惑と思っております」


 ここにあるのは、まさに「自分自身からの排除」だ。他者から否定され、罵倒され、そうして自分自身も自分を「見放して」いく。


 「お前の努力が足らないからだ」、「能力がないから悪いんだ」、「同じ境遇でも歯をくいしばって頑張っている人がいるじゃないか」、「それなのにお前は」


 こういった「正論」のふりをした「暴力」が、この国にはあふれている。


 どれもある意味「正しい」言い分だ。その「正しさ」がわかるからこそ、人は黙り込んでしまう。そしてそんな言葉を、常に100倍くらいにして自分に投げかけているのは他ならぬ自分自身だったりする。しかし、その「正しさ」には圧倒的に何かが欠けている。


 秋葉原の無差別殺人事件を受けて、読売新聞は「世の中が嫌になったのならば自分ひとりが世を去ればいいものを、『容疑者』という型通りの一語を添える気にもならない」(読売新聞「編集手帳」08年6月10日付)と書いた。


 「自分ひとりが世を去れ」ば、それでよかったのだろうか? もちろん、殺人や犯罪を擁護するわけでもなんでもない。ただ、「死にたいなら一人で死ね」というだけでは、一種の思考停止だし丸投げだ。この社会に生きる人間として、確実に何かを「放棄」してしまっている。


 2007年、北九州市で生活保護を辞退させられ、餓死者が出た。そして2009年1月、「餓死が疑われる孤独死」事件が起きた。元派遣社員の49歳の男性が死後約1カ月の死体となって発見されたのだ。所持金は90円。冷蔵庫も胃も空。「日本は餓死する人がいない国」なんて言葉は既に遠い過去のものだ。2005年までの11年間の餓死者は867人。4日に1人が餓死している計算だ。そして餓死者の何百倍もの人が自ら命を絶っていることを、もっと真剣に考えなければならないのではないだろうか。


 だって、自分にもし何かあったら、餓死か自殺か路上死という最悪の三択しかない国なんて、誰が住みたいだろう。そして私たちは、実際にそんな国に住み、野宿者を見て見ぬふりをして生きている。今日も。


 生活保護を受けられていたら防げた自殺。多重債務問題を解決していたら防げた自殺。なんらかのセーフティーネットにひっかかっていれば防げた自殺。そんな自殺が放置され、「容認」され、見せしめのように人の命が失われる社会の中で多くの人が追い詰められ、「ただ生きる」ことがあまりにも難しくなっている。


 「生きる」ことは、そもそも誰かに「許可」されたりするたぐいのものではない。それなのに、今はなんらかのハードルをクリアしないと「生きる」ことさえ許されない状態だ。


 「生存」になんの条件があるというのだろう。生産性が高く、能力があってより多くの競争に勝ち続けられる人間しか生きられないような空気が蔓延しているが、本気でそれを突き詰めるとこの国で「生きる」ことを許されるのは一体何人いるのだろうか。そしてそういった思想を突き詰めていくと、ゆくゆくは優生思想っぽい恐ろしいことになると思うのだが。


 はからずも、アメリカでは2008年5月に「遺伝情報差別禁止法」が成立した。遺伝子情報をもとに保険の加入を断ったり企業が就職差別することを禁じた法律だ。わざわざこんな法律が作られるほどにアメリカでは「排除」「選別」は進んでいるという証明に思えてくる。


 市場競争に勝ち残れない者が排除される日本で、「首都圏青年ユニオン」など、全国各地で「誰でも一人でもフリーターでも入れる労働組合」が結成され、組合員を増やし続けている。グッドウィル、フルキャスト、エム・クルーなど様々な日雇い派遣会社で労働組合が結成され、日雇い派遣の劣悪な状況を告発し、違法派遣などを訴えて「日雇い派遣問題」「ワーキングプア問題」に社会的な注目を集めることにも成功した。


 「首都圏青年ユニオン」などは生活困窮者の支援をしているNPO法人「もやい」と連携して、「労働」問題だけでなく、「生存」全般にかかわる問題を扱っている/扱わざるを得ないところから、「労働/生存組合」と呼ばれ、その運動は「労働/生存運動」と呼ばれている。そんな、当事者のどうしようもない必要性から始まった「労働/生存運動」は、労働組合という形だけに留まらず、「インディーズ系メーデー」という形で08年は全国15カ所で開催された。その一つが「熊本KYメーデー」。KYとは「空気が読めない」ではなく「くまもと よわいもの」の略である。このメーデーを担ったのは、全員が不登校経験者で、ひきこもりやフリーターを繰り返したり、リストカットをしてきたメンヘラー(生きづらさや心の病を抱える人)だった。彼ら・彼女らは長いこと自分自身を責め、自傷を繰り返し、そして時には自ら命を絶ってきた。その怒りの矛先が「社会」に向けられることはなく、もうずっと「心の問題」の領域に閉じ込められて処理されてきた。しかし、そんなメンヘラーの人々がとうとう立ち上がったのだ。


 「生きづらさ」の原因なんてわからない。背景も、社会的要因も考える回路なんてない。どんどん「社会」から遠ざかり、純粋な生きづらさの中に閉じこもるようにして生きる若者たちは知らず知らずのうちに暴走し、ネット心中にまで辿りついた。こうした「死のための連帯」から「生きるための連帯」へと立ち上がったのだ。以下、あまりにも力強い「KY[くまもと よわいもの]宣言」からの引用だ。


 「(前略)KY[くまもと よわいもの]たちとはアルバイト・パート・契約社員・派遣社員といった非正規労働者(フリーター)、ニート(青年失業家)、ひきこもり(自宅警備員)、貧乏学生、家事労働者(主婦/主夫)、農民、漁民、フリーランス、サービス残業や長時間労働に苦しむ正規労働者、野宿者、障害者、メンヘラーなど不安定・過酷な生存・生活を強いられる者たちである。KY[くまもと よわいもの]たちの当面の活動は、貧乏人が低賃金でこき使われ、使い捨てられる現状や、『空気を読め=周囲に同調し自己主張するな』というふざけた風潮が蔓延する生きづらい社会に抵抗し、熊本の『よわいもの』どうしで社会的なつながりをつくり、貧困・分断・競争を乗り越えて共に生きのびることである。(中略)KY[くまもと よわいもの]たちは一切の企業・経営者・経団連・金持ち・勝ち組など『つよいもの』に都合のよい理屈、すなわり『格差社会』を肯定する『自己責任』論と、『自己実現』という名のもとに強いられる『自己犠牲』に反撃することによって、私たちの生命・生存・生活を維持し、向上させていくことを堂々と宣言する。企業よ、経営者よ、経団連よ、金持ちや、勝ち組よ、『つよいもの』よ、KY[くまもと よわいもの]たちの出現に恐れおののくがいい。おさきまっくらで貧乏なKY[くまもと よわいもの]たちは絶望の他に失うものを持たない。KY[くまもと よわいもの]たちが獲得するものは未来である」

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14 ■Re:無題

>e-junkieさん
それでも「家族に捨てられた孤独な男」を取り上げるより、「不甲斐ない夫に三行半を叩きつけた肝っ玉母ちゃんのシングルマザー奮闘記」の方が報道としてはオイシイという。歪

13 ■うむ

これは考えさせられます。
実際のところそのような仕打ちをした企業を
晒してしまわないとなりません。
もしくは、実際に大量殺人でもしてもらうしか
社会は変わらんでしょう。
もしくは三島由紀夫方式ですかね。

12 ■無題

日本の政治を牛耳っている者の多くは競争社会を勝ち抜いてきて、貧困を恐れる必要も無いエリートたちだから、思いやりが無い何事も自己責任の世知辛い社会になってしまったのでしょう。

11 ■Re:■自殺者数年間3万人は「まやかし」です!

>自殺大国日本さん とても恐ろしい話ですね。もしも‘行方不明‘の方のうちに自殺をされて遺体が発見されてなければもっと大勢の方が自らの命を絶っているのかもしれません。私は一番自殺率の高い30代です。‘生きさせろ‘と今までの固定観念と戦い、そして次の世代が希望を持てるように未来を切り開きもしょう。

10 ■無題

俺の夢は最下層のひとたちをエリートにして 
今のかんりょうをすべてかえたい

9 ■無題

餓死自殺って?

8 ■餓死自殺

私は餓死自殺したいです。

7 ■■自殺者数年間3万人は「まやかし」です!

■■実際の自殺者数は約10万人?■■

---年間108万人が亡くなっているのに、解剖が行われているのは年間3万人強。
解剖率は約2.8%。先進諸国の中の最低レベルだそうですね。
海堂  お役所って出したくないデータは隠すし、うまい出し方をする。
たとえば全死者108万人のうち、3万人強の解剖が行われ、解剖率は2%台なのに、
これをごまかすために、警察で扱った異常死体15万体のうち解剖されたのは1万強で、解剖率は9%台である、という数字を出す。
---なるほど、数字が上がりますね。
それと関連しますが、犯罪絡みの死亡解剖件数は、毎年きっちり5000体前後だとか。
では、日本では司法解剖が必要な判事は、毎年5000件しか起こってないのか?と皮肉られている(笑)。

この様に異常死体=変死体というものが、ほとんど考慮されていません。
警察白書、WHOの統計調査を元に、変死の40-50%が自殺とすると、
変死体の中からさらに自殺者が約7万人ほど生まれるのですが。つまり実際の自殺者数は約10万人。
変死体はほとんど解剖されない結果、そこにカウントされ、その数字はほとんど表に出てこないのです。
これを考慮して世界の自殺率順位を見ると、

世界の自殺率 07年 WHO
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html

日本の10万人あたりの死亡者数は24人で、これは自殺者数が約3万人の計算なので、
実態の約10万人で計算すると、3.3倍として、約80人になり、ダントツトップに躍り出ます。
そして日本は言われてるように解剖率が非常に低いです。そして隠蔽体質。
これらから、異常な自殺大国な現実が見えてくると思いますが。

政府は日本が豊かであるといい続けてきましたが、自殺率トップの国が幸せな国のはずがありません。
自殺だけに限らず、失業率、CPI、実態を表さない実質GDP
(参考 GDPと景況感がこれほどズレる理由  ダイヤモンド・オンライン 08年05月22日  http://diamond.jp/series/analysis/10004/)など、
故・石井こうき氏がソ連の末期と今の日本がダブる、官僚社会主義国家と評した様に、デタラメだらけなのが実態だと思います。
『死因不明社会』 著:海堂尊

6 ■無題

リストラにあって稼ぎがなくなったら奥さんは子供をつれて出て行くし、手助けしたり励ましてくれるはずの人も居なくなったら辛くて死を選ぶんでしょうか。楽しいときも苦しいときもと結婚のときに誓った言葉もむなしく、いまどきの女性は稼ぎのなくなった夫に対しては冷たいです。

5 ■ほるほる様

ただ貧困なだけなら自殺はしません。
どうして貧困になったのか、絶えず問いかけられ、またその責任を問われつづけるから
自殺してしまうのです。

4 ■ほるほる様

よくはわかりませんが第一の要因は気候でしょう。比較的温暖な地域では凍死は考えにくいし、寒いと人間、ろくな思考になりません。
第二は宗教的要素でしょう。カトリック信徒の割合が高い国は自殺者が少ないようです。イスラム教は自殺そのものを罪とみなしています。

3 ■無題

貧困が自殺の原因なら、なんで日本より貧困層の多い発展途上国では自殺が少ないのかな?

2 ■無題

三択ではありません。正しくは、犯罪者として刑務所に入る、を含む四択です。orz

1 ■カンボジアでは虐殺で人口が激減したが…

日本では自殺と過労死と貧困死で人口が激減するのかもしれません。

以前、親と同居している成年を「パラサイトシングル」と呼んで侮辱する風潮がありました。親の経済力で贅沢三昧の奴らと心身を病んだ親を看るために犠牲になった方を混同した世間の悪意に涙した人々はかなり多いでしょう。


それでも「日本国民の平均資産は世界のなかでも高い」とか「日本国民の賃金は高い」とかいう人はデータの読み方がおかしい。

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