公務員バッシングで得するのは一体誰なのか? | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 第38回国公女性交流集会(5月30~31日)で、作家の雨宮処凛さんのスペシャルトークが企画されました。その中で、“公務員バッシング”について雨宮さんが語ったところを紹介します。(byノックオン)


 公務員バッシングは、“ニセの対立構造”へ導くワナだ。同じように、正規労働者と非正規、フリーターの人との対立だとか、世代間対立などもそうだ。若者の雇用を何とかしようとするなら、団塊の人たちの首を切れだとか、給料を下げろだとか、そういう言い方がされる。


 同じように公務員バッシングも、一見乗ってしまいそうだけれど、公務員、正社員の待遇を下げられると、フリーターの方はもっと劣悪になる。


 それは公務員、正社員側にも言えて、フリーターの時給が下がって労働条件が悪くなればなるほど、公務員、正社員の方も、こんなに賃金の安い非正規、派遣の人が頑張っているんだからと、公務員、正社員の給料も下がっていく。結局、“悪条件へ向かうスパイラル”でしかない。公務員バッシングはその典型的なワナだ。


 たとえば、国家公務員の人が長時間労働で苦しかったとする。けれども、「国家公務員に比べれば民間企業の人の方がもっと厳しい」という言い方がされる。それについても、「民間企業の正社員よりもフリーターの方がネットカフェ難民で厳しい」と言われる。さらに、「ネットカフェ難民よりも本当の野宿者の方が厳しい」と言われる。最後には、「日本の野宿者よりもアフリカのスラムの貧民のほうが厳しい」と言われる。こういう言い方でみんなを黙らせていく。


 これを突き詰めていくと、国内で、取りあえず先進国の日本で、たとえば、過労死したり過労自殺したり、餓死まで起きているのに、でも、先進国だからという理由で、誰も何も言えなくなって、「つらい」と声を上げる資格がないことになってしまう。


 でも、「つらい」と声を上の方からあげていかないと、下の方はより厳しくなっていく。


 公務員バッシングの、そういうカラクリ、そういうワナにはまって、ガス抜きしたり、溜飲を下げたりしている人たちが一定数いるわけだが、それは、結果的に自分たちの首を絞めることになっている。


 私はフリーターの人たち、フリーターのインディーズ系労組の人たちとのかかわりが大きいので感じるが、末端の人たちは気付いている。逆に言うと、下にいるからこそ全部を俯瞰して見えるみたいなところがある。すごくそういうカラクリに若くて貧困な人ほど気付きやすくなっているように感じる。


 公務員バッシングをすることですっきりさせられている構造、そういう憎しみの“ニセの対立構造”に、意図的にもっていかれている状況は、貧乏系連帯の方ではすごく認識されている。


 公務員バッシングに対しては、「それで得するのは一体誰なのか?」ということを言っていかなくちゃいけない。