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2009-06-26 13:48:03

『朱なる十字架』

テーマ:
 『朱なる十字架』(永井路子)

―あらすじ―
 明智光秀の娘にして、キリスト教徒である細川ガラシャ(お玉)。悲しき運命に生きた彼女の人生を描く。


 上下巻である『細川ガラシャ夫人』(三浦綾子)に比べると、300ページ弱という短さもあり、あっさりした印象を受けます。読みやすい分、ガラシャ(お玉)が急にキリスト教徒になってしまった感も否めません。まあこのあたりは、「『細川ガラシャ夫人』はキリスト教に関する話がクドい」と感じる人もいるでしょうし、一長一短ですか。

 また、両作品ではガラシャの舅・細川藤孝の人物像が大きく異なるのも特徴です。『細川ガラシャ夫人』では、義理堅く風流をよく解する人格者であり、ガラシャのよき理解者とも描かれていますが、本作では、利に聡く処世術に長けた老獪な武将といった人物像でした。ちなみに夫の細川忠興は両作品ともに好人物ではありません。短気で嫉妬深く、利になびく小人物のように描かれています。

朱なる十字架 (文春文庫)/文藝春秋

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2009-06-25 13:00:48

『それからの三国志』

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 『それからの三国志』(内田重久)

―あらすじ―
 諸葛亮没後~呉の滅亡までの、三国時代末期を描いた作品。


 三国志を描いた作品は、諸葛亮の死(五上原の戦い)をもって幕を閉じることが多いですが、本作は諸葛亮の死から物語が始まります。個人的には非常に好きな時代ですが、「諸葛亮の死以後の三国志は華に欠ける」との理由で描かれない事が多いのです。だからといって、捨ててしまうには忍びない時代でもあります。

 登場人物を見ていっても、蜀には無双シリーズにも登場する麒麟児・姜維。魏には忠義に散った勇臣・諸葛誕や、活躍の場に恵まれなかった智謀の雄・桓範、呉には過ぎたる才により身を滅ぼした諸葛恪や、陸遜の子にして晋の侵攻を防いだ智将・陸抗。決して埋もれさせるには勿体ない人物ばかりです。彼らに光を当ててくれた点で、非常に嬉しい作品です。

 ただ、本作は小説ではなく研究文の色が濃いので、省略されている部分も多く、読み足りない所もしばしばあります。当時の服装や食事などについて描かれているのは面白いですが。

それからの三国志/文芸社

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2009-06-23 11:14:02

『シャトゥーン ヒグマの森』

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 『シャトゥーン ヒグマの森』(増田俊也)

―あらすじ―
 北海道の手塩にある山小屋。のんびり年末年始を過ごそうと、女性記者・土佐薫や彼女の親族、学者仲間たちが集まっていた。そこへ突如、体重350キロを超す巨大なヒグマが小屋を襲う。閉ざされた北海道の大森林で、次々と増えていく犠牲者…果たして彼女らの運命は。


 ビジネスジャンプで漫画化されている作品の原作です。『羆嵐』を読んだ直後にたまたま漫画を知り、原作に興味を持っていたところ、今回非常に嬉しいタイミングで文庫が発売されました。

 淡々としたノンフィクションである『羆嵐』に比べ、本作では襲われる人々の心情も描かれ、凄惨なるドラマが繰り広げられます。ヒグマによる執拗な攻撃、人間同士の確執、対決か逃亡か。果たしてどのような最後が待ち受けているのか、一気にラストまで読みきってしまいました。解説者・夢枕獏氏のコメントにもありますが、まさに傑作です。

シャトゥーン ヒグマの森 (宝島SUGOI文庫) (宝島社文庫)/宝島社

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2009-06-22 23:27:02

『関ヶ原』(上中下巻)

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 『関ヶ原』(司馬遼太郎)

―あらすじ―
 日本国内における最大の戦闘である、天下分け目の大決戦。東軍を率いるは徳川家康、西軍を率いるは石田三成。徳川か豊臣か、各大名は御家存続を賭けて戦いに赴く。


 徳川家康と石田三成、それぞれの陣営をじっくり描くことで、決戦への緊張感が否応無しに高まっていきます。読み進めていくほどに、石田三成の掲げた「義」という理想が如何に遠かったかが露になっていきます。対して、「利」を持って味方を増やしていく徳川家康の巧妙さ。判官贔屓ではありますが、ついつい西軍を応援したくなってきます。島左近や大谷吉継、直江兼続といった「義」の将たちの活躍にも目が離せません。

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)/司馬 遼太郎

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2009-06-21 22:59:42

『波のり舟の 佃島渡波風秘帖(つくだのわたしいざこざひかえ)』(再読)

テーマ:再読
 『波のり舟の 佃島渡波風秘帖(つくだのわたしいざこざひかえ)』(出久根達郎)

―あらすじ―
 江戸時代、各地には渡し守と呼ばれる人々がいた。佃島の渡し守・正太のもとに、様々な事件が転がり込んでくる。連作短編集。


 久しぶりに再読しました。著者の他の時代小説と同じく、のんびりした爽やかさが描かれています。登場人物の話し方や各話のサブタイトルなど、江戸情緒が感じられる作品でした。安定した面白さです。ちなみに当時の感想はこちら


波のり舟の―佃島渡波風秘帖 (文春文庫)/文藝春秋

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2009-06-20 22:25:18

『脳髄工場』(再読)

テーマ:再読
 『脳髄工場』(小林泰三)

―あらすじ―
 人工脳髄が一般化した未来。そんな中、あくまで人工脳髄の装着を拒んできた少年がいた。果たして彼に突きつけられる真実とは。ホラー短編中。


 最初に読んだのは2006年の7月でした。その時はあまり面白いと感じませんでしたが、去年読んだ著者の他の作品(『玩具修理者』、『人獣細工』)が面白かったため、再読してみました。まあしかし、残念ながら面白さは変わらず今一つでした。ちなみに当時の感想はこちら


脳髄工場 (角川ホラー文庫)/角川書店

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2009-06-15 11:46:28

『さらば愛しき女よ』

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 『さらば愛しき女よ』(レイモンド・チャンドラー/清水俊二 訳)

―あらすじ―
 私立探偵であるフィリップ・マーロウは、酒場で殺人現場に居合わせてしまう。さらには別の依頼で、依頼人が殺されてしまうという失態を犯してしまう。犯人を追うフィリップ・マーロウ。彼の前に明らかになる事件の全貌とは。


 非常に有名なハードボイルド小説です。不可解な殺人事件、ユーモアたっぷりの駆け引き、そして愛ゆえに訪れる切ないラスト。何とも言えない余韻が残ります。

 また、日本語のタイトルが恰好いいですね。「Farewell,My Lovely」という原題を。「さらば愛しき女(ひと)よ」と訳すセンスが素晴らしい。少しキザでありながらも、決してそれが嫌味になっていません。簡潔にして重厚。語感もよく、ハードボイルドな小説の内容にもよく合った、名訳のタイトルではないかと。

さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))/レイモンド・チャンドラー

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2009-06-14 11:31:28

『本陣殺人事件』

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 『本陣殺人事件』(横溝正史)

―あらすじ―
 岡山の、とある家で密室殺人が起こった。血まみれの夫婦、庭の灯篭に刺さった血まみれの日本刀。この怪事件に金田一耕助が挑む。他2編を収録。


 金田一シリーズ第一弾です。「本陣殺人事件」は短いながらも、白眉の密室トリックと意外な犯人が用意されている傑作でした。入れ替わりトリックを逆手に取った「黒猫亭事件」も見逃せません。『犬神家の一族』や『獄門島』のような派手さはありませんが、これぞミステリーと思わせてくれる作品でした。

本陣殺人事件 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)

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2009-06-13 11:14:29

『放送禁止映像大全』

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 『放送禁止映像大全』(天野チヒロ)

―あらすじ―
 何らかの理由により、放送することが困難となったドラマ、アニメ、特撮、映画。それらと、その理由を紹介する本。


 『ウルトラセブン』の12話や、アニメ『ポケットモンスター』のポリゴン事件といった有名作品から、全く知らないような封印作品まで網羅されています。その封印理由の多くは差別表現や障害者に対する侮蔑なのですが、そういった不適切な表現を面白おかしく取り上げているわけではありません。「作品の持つテーマを見た上で、封印するかどうかを決めてほしい」という、著者の主張がしっかりと書かれています。時代のせいか、やや古い作品が多いですが、表現することの難しさを教えてくれる本でもあります。

放送禁止映像大全 (文春文庫)/文藝春秋

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2009-06-06 14:25:32

『QED 神器封殺』

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 『QED 神器封殺』(高田崇史)を読みました。


―あらすじ―
 和歌山でしばらく滞在することにした桑原たち。しかしそこで彼らは、奇妙な殺人事件と、毒草師・御名形史紋なる男と遭遇する。三種の神器に隠された真実とは。


 今回は三種の神器ということで、剣、鏡、勾玉の正体が明らかになっていきます。また、後の作品でスピンオフ作品の主人公となる御名形史紋が登場しました。本編とは関係ありませんでしたが、年表があったのも嬉しかったです。

 最後が袋とじだったのは残念です。試みとしては面白いのですが、切れ目が入っている位置に問題がありました。切れ目が本の背に近く、切ると次のページまで切るか、そのページがボロボロになりそうだったので、怖くて切っていません。なので最後の謎解きは読まないままです。切れ目の位置には工夫が欲しかったなと。


 また、個人的にはまだ日本神話に興味が沸いていないので、正直なところ、謎が解かれても今一つ面白みに欠ける巻でした。ここ最近のQEDシリーズは日本神話に関係する話が多いので、どうも興味がそそられません。初期の百人一首や六歌仙といった、歴史上の人物に関する謎のほうが好みなのですが。そういう意味では、最近始まった別シリーズ・カンナシリーズの文庫化が気になるところではあります。

 それと、『QED 式の密室』で明かされた、「式神の正体」が最高に衝撃的だったため、以降の巻がつまらなく思えてしまうのです。以降の巻が駄作ではないとは思うのですが、この衝撃を超える謎に会っていないのも事実です。

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