2006-09-30 11:29:32

『敵』

テーマ:
 『敵』(筒井康隆)

―あらすじ―
 元大学教授であり、現在は悠々自適の隠居生活を送る75歳の渡辺儀助。ある日、パソコン通信から送られてきたメッセージが彼の日常を変える――「敵です。皆が逃げはじめています。」


 老人である主人公の日常描写から始まり、次第に妄想による非日常な世界へと移り変わっていく小説です。後半部分ではタイトルにもある「敵」が襲ってくるのですが、個人的には、前半部分で語られる主人公の日常描写がとても面白く感じられました。言ってしまえば、ただ淡々と「朝ごはんはこれを食べる」「昼寝をするのはこんなときで~」などと特に変わったことが書いてあるわけではないのですが、文章構成かテンポなのか、何故か日常描写が面白く読めてしまいます。1章1章を楽しく読んでいる内に、いつしか違う世界に飲み込まれていくという、とても上手い作品でした。

敵 (新潮文庫)/新潮社

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2006-09-28 10:59:53

『にごりえ・たけくらべ』

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 『にごりえ・たけくらべ』(樋口一葉)

―あらすじ―
 社会の底辺で悶える女を描いた「にごりえ」。思春期の淡く密かな恋を描い「たけくらべ」。表題作の2作を含む女流作家の短編集。


 本を開いてみると文章が文語体な上に、句点があまりに少なく(1ページに全くない場合も)、さらに鍵括弧もなくて、普段このような文章を読むことがないので読むのが結構大変でした。私が借りた岩波文庫版には解説があったため、本文の後に解説を読み、さらに本文を読み直すことで、やっと少しばかりは理解できたか…といったところですが、まだまだ読みきれていないように思えます。いずれは再読して、読みきりたいものです。

にごりえ・たけくらべ (岩波文庫)/岩波書店

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2006-09-24 22:16:42

『母なる凪と父なる時化』

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 『母なる凪と父なる時化』(辻仁成)

―あらすじ―
 父親の転勤で函館に転校することになった高校生の僕。そこで僕は自分とそっくりの顔をしたレイジと出会う。かつて同級生からリンチを受けて以来、友達を作ることが苦手だった僕が、レイジとはすぐ仲良くなった。青春期のエネルギーが爆発し、自我が目覚める。


 やや暗い内容ではあるものの、青春時代特有の、行き場のない(行き場を見つけられない)エネルギーが駆け抜けていったような作品でした。過ぎ去りしユートピアとでも表せばいいのか。

母なる凪と父なる時化 (新潮文庫)/新潮社

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2006-09-20 22:28:16

『超人計画』

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 『超人計画』(滝本竜彦)

―あらすじ―
 引きこもりを克服するため、主人公は考えた。「超人になろう!」と。優しい恋人・綾波レイとともに、超人になるための計画が始まる。


 著者の引きこもり体験のエッセイで、「超人(という名の一般人)」になろうと邁進したり迷走したりする内容です。「明るく笑えるダメ人間ストーリー」といった感じに仕上がっています。脳内彼女(綾波レイ)との掛け合いもなかなか面白いですね。ただ、著者の恥ずかしい行動がかなり赤裸々に書かれているので、この内容に共感出来るかどうか、読む人を選ぶと思われます。

超人計画 (角川文庫)/角川書店

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2006-09-19 19:10:22

『薬菜飯店』

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 『薬菜飯店』(筒井康隆)

―あらすじ―
 サラリーマンがふらりと入った中華料理店。そこで出された料理を食べた途端、彼の体に変化が起こった(表題作)。奇才による傑作短編集。


 表題作の「薬菜飯店」がとにかく面白かったです。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第4部に出てくる不思議なレストランの元ネタとなっているであろう小説で、料理を食べるとどんどん健康になっていくという話です。少し過激とも思える描写もありますが、不思議と嫌悪感はあまりなく。デトックス&カタルシス。

薬菜飯店 (新潮文庫)/新潮社

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2006-09-18 23:14:27

『アンチノイズ』

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 『アンチノイズ』(辻仁成)

―あらすじ―
 騒音調査員でサウンドスケープに興味のある主人公、盗聴好きのテレクラ嬢マリコ、音感の違いから夫婦の仲がこじれる友人、さらに主人公自身による恋人への盗聴など、様々な「音」が絡み合った物語。


 ミュージシャンの著者ならではの、「音」を中心とした小説です。日常ではあまり気にしないような音を上手くストーリーと絡め、ドラマが進行していきます。つらつらと、のんびり読みたい作品。

アンチノイズ (新潮文庫)/新潮社

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2006-09-16 15:07:02

『破戒』

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 『破戒』(島崎藤村)

―あらすじ―
 明治後期の日本。部落出身の教員・瀬川丑松は父親から身分を隠せと堅く戒められていた。が、同じく部落出身の運動家である猪子蓮太郎の壮烈な死に心を動かされ、ついに父の戒めを破ってしまう。


 最初は「分厚いし難しそうだ」と考えていたのですが、実際に読み始めてみると、『塩狩峠』のようにとてもすんなりと読むことが出来ました。この本が書かれたのはもう100年も昔のことですが、現代に通ずる部分もあるので、古典という括りにせず一読すべき本だと思われます。そう考えると、100年経っても日本人は精神的成長が全くない国民だということも考えさせられました。

破戒 (新潮文庫)/新潮社

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2006-09-12 11:38:06

『十九、二十(はたち)』

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 『十九、二十(はたち)』(原田宗典)

―あらすじ―
 山崎は19歳の大学生。あと数週間で20歳となるが、今の彼の状況は酷いものであった。父の借金や失恋、倍探しでさえままならず。岡山から東京に出てきて暮らす山崎の、10代最後の夏は実にさえない夏だった。


 20歳前後の時期にありがちな、挫折感や虚無感、苛立ちなどがしっかりと書かれていて共感してしまいました。青年の悩みを描いた小説なので、ネガティブじゃない、自信が溢れている人にはこの作品があまり理解できないかも知れません。が、輝かしい面ばかりが青春ではないのです。出来れば18歳か19歳で読みたかった本ですね。

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2006-09-04 21:23:47

『星の王子さま』(集英社文庫)

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 『星の王子さま』(サン=テグジュペリ /訳 池澤夏樹)

―あらすじ―
 サハラ砂漠に不時着した「ぼく」の前に現れた金髪の少年。話すうちに、彼が別の惑星からやってきた王子であることが分かる。彼が地球を訪れた理由とは。


 今まで何となく敬遠していたのですが、「一応教養としても押さえておくべきか」と、この度初めて読むこととなりました。そして読んでみて、王子さまの純粋さと、絆や責任といった言葉に感銘を受けました。また、とあるサイトでは「大人のための童話」とレビューされていましたが、言い得て妙だと感じました。そういう面では、私が読んだのは(人生のタイミングの中で)良い時期だったのかも知れません。『野菊の墓』や『伊豆の踊り子』を読んだときにも感じましたが、やはり名作には名作たる所以があるものだと気付かされました。

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2006-09-04 21:00:53

『リンダリンダラバーソウル』

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 『リンダリンダラバーソウル』(大槻ケンヂ)

―あらすじ―
 かつてパンクバンド・筋肉少女隊のヴォーカルであった頃の、バンドブームを経験した著者の回顧録(エッセイ)。


 ブームの渦中での、様々な人との出会いや別れ、それぞれの人々の過去と現在、そして著者自身の想いと苦悩などが描かれています。栄枯と盛衰を表した個々のエピソードも非常に面白く、まさに「邯鄲の夢」とも言えるべき光景が広がります。そしてまたラストシーンがとても綺麗で、感動してしまいました。「ああ、終わったんだな」と、この少し寂しくも明るいラストは、これ以上ない終わり方だと思います。

リンダリンダラバーソール (新潮文庫)/新潮社

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