November 21, 2012

「チャイ売りの少女」

テーマ:インド日記2
March 16, 2005 

街を歩いていたり、ガート(川岸に設置された階段)に座って本を読んでいると、さまざまな物売りに声をかけられる。絵葉書売り、笛売り、アクセサリー売り、麻薬の売人、スナック売り、花売りなどだ。僕は余程暇じゃない限り、物売り対しては無視を決め込む。冷たいと思われるかもしれないが、これはアジアを旅する間に培われた身を守る術なのだ。

一度掛け声に返答したり、目を合わせるだけでも、彼らにしつこく付きまとわれることになる。だから、僕は彼らの顔をまったく憶えていなが、彼らは驚くほど僕の顔を憶えていて、何度も「お前昨日もここにいただろ」とか「俺を憶えてないか」と言われる。しかし、残念ながら僕はまったく憶えていない。そう言うと彼らは少し寂しそうな顔をして、どっかに行ってしまう。少々申し訳ないと思ってしまう。

その中にチャイ売りの少女がいた。ある日の午後、ガートに座って本を読んでいると、突然大きな声で怒鳴られた。びっくりして顔を上げるとチャイ売りの少女が立っていた。小学生の低学年くらいだろうか。その少女はチャイの入ったやかんを持って「私今日あなたに3回も声かけたのよ」と言ってきた。しかし、僕にはまったく憶えがなかったが、ちょうど喉が渇いていたのでチャイを一杯もらった。薄茶色の素焼きのコップに入ったそのチャイはミルクのこくがほどよく甘味もさらりとしていて、インドで飲んだチャイの中でベスト3に入る味だった。

それから僕はガートに座り本を読む時はいつもその少女からチャイを買うようになった。以後、日差しも和らぐ午後4時過ぎ、ガートに座り本を読んだり、ガンジス河を眺めながら、その少女のチャイをすする時間が、ヴァラナシで一番楽しい時間となった。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事
 もっと見る >>

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。