「3月に、日本人がたくさん来るんです。どうしたらいいですか?」

友人のインドネシア人からそう尋ねられました。
彼女は、日本に3年間住んでいて、流ちょうな日本語を話します。それを見込まれて、インドネシアのホテルで働くようになったとい

うことは聞いていました。


3月になると、そのホテルに大量の日本人観光客が来るため、ホテルのスタッフは、今、その準備に忙殺されているとのこと。

なんで、3月に多くの日本人がインドネシアに行くのか?
ちょうど、そのときに皆既日食があって、インドネシアからだと、それが

とてもよく見えます。

そのため、何十年かに一度の天空ショーを見ようと、多くの日本人が

ホテルに予約を入れたというわけらしい。


これに、うれしい悲鳴をあげたのがホテルのオーナーで、彼女を「日

本人お迎え係」に任命したらしい。

「せっかく日本人がたくさん来てくれるのだから、彼らをどうもてなすか考えてほしい」
と、オーナーから頼まれたけど、良い案が思い浮かばない。

それで、日本人のボクにアドバイスがほしいと電話をする運びとなったのです。

そう言われても、ボクも良い案が思いつかない。
それで、会話のほとんどは、「最近はどう?」という
世間話で終わってしまいました。

いや、それで終われば、良かったのかもしれない。


このとき、ボクがネットでそのツアーを調べていて、ツアー料金が35

万円ほどすることを、彼女に伝えてしまったのです。


「え?35万円ですか!そんなに高いのですか?」
と言って、彼女は絶句してしまいました。

35万円というのは、日本人のわたしからしても、かなり高い。

でも、インドネシア人からしてみれば、旅行にかける料金としては、「天学的数字」のようです。
インドネシアでは、人と住む場所にもよるけれど、大体、年収と同じくらいだといます。
日本人の感覚からすれば、300万円くらいですかね?


「そんなにお金をかけて来るんですね・・」
と、スマートフォンの向こうで、小さな声が聞こえました。
電話の向こうでも、血の気が引いているのが分かります。

良いアドバイスをして彼女の気を楽にさせるどころか、余計なプレッシャーを与えただけで終わってしまいました。

でも、まあ、何とかがんばって接待してほしい。






話の途中で、彼女が「日本の寒さが懐かしいですね」と言っていましたた。
「冗談ではない!」とこちらは思ったけれど、一年中夏しかないインドネシアでは、本当にそう思うのかもしれない。

そして、「もうすぐ、桜ですね。日本は、いいなあ」という声を聞いて電話を切りました。

そうだ、もうすぐ桜だ。
冬の寒さはいらないけど、その後の「ご褒美」は待ち遠しい。


世界には、寒冷前線や温暖前線はあるけれど、「桜前線」があるのは、日本だけと聞いことがあります。
その桜前線によると、今週か来週あたりには、桜が見ごろを迎えるらしい。

テレビ番組や書店にある雑誌で「桜特集」をしていたり、「桜がいつ咲くか」という言葉がSNSで飛び交っていたりするのを見ると、この時期、日本中がソワソワしているようですね。

もちろん、私も、その一人ですけどね。


でも、これは、平成の日本人に限ったことではなさそうです。

明治時代に、シドモアというアメリカ人女性が日本を訪れています。彼女の記録には、こんな記述があります。


「そこでサクラの蕾(つぼみ)が膨らみ、匂い、開花を始めるのか』大きな公共的関心事で、国内の日刊紙は毎日桜の名所先から至急電を報じます。(シドモア日本紀行 講談社学術文庫)」


3月末の日本は、明治時代の日本人も平成の日本人もまったく同じですね。

でも、桜の開花を待ち望む気持ちがあまりに高いため、そんな日本人を「うとましく」思う人もいるようです。

「東京のテレビ局から、『桜、咲いてますか』なんて、ひっきりなしに電話がかかってきますやろ。『まだ咲いていません』と答えると『いつ頃、咲きますか』と平気で聞いてくるんです。そんなん、知るか。

ひどいのになると、『今週の日曜日は、どうですか。満開になりませんか』ですよ。

人間って勝手なもんですわ。そんな時は、『あんたの都合で桜が咲くか。桜が満開になった時が日曜日だと思ってや』と言っときます

(桜よ 『花見の作法」から『木のこころ」まで)集英社)」



これは、京都の桜守である佐野 藤右衛門(さの とうえもん)」の言葉です。



「当代の第16代 佐野藤右衛門(1928年(昭和3年) - )は、日本の

造園家、作庭家。祖父である第14代藤右衛門が始めた日本全国の

クラの保存活動を継承し、「桜守」としても知られる。京都府京都

市生まれ。京都府立農林学校卒業。造園業「株式会社植藤造園」の

会長。桂離宮、修学院離宮の整備を手がける。


パリ・ユネスコ本部の日本庭園をイサム・ノグチに協力して造る。

1997年(平成9年)、ユネスコからピカソ・メダルを授与された。1999

年(平成11年)には、勲五等双光旭日章を受章。2005年(平成17年)

には、京都迎賓館の庭園を棟梁として造成。(ウィキペディア)」


「日本一の桜守」と言っていい方でしょう。

ただ、そんな人に言われても、一番きれいな桜を見たい気持ちはどうしもうもありません。気になるものは、やはり気になってしまいます。



先ほどのアメリカ人女性だけではなく、日本の桜に魅了された外国

人はたくさんいます。
シドモアと同じく、明治時代に日本を訪れたアドルフ・フィッシャーとい

うオーストリア人は、春の日本をこう書いていています。


「人は誰しもこの幸福な島国で、春、とくに桜の季節を京都や東京で過ごすべきだ。その季節には、思い思いに着飾った人々が、手に手をたずさえ桜花が乱れる上野公園をはじめ、全ての桜の名所に出掛けゆく・彼らはその際、詩作にふけり、自然の美と景観を賛美する(日本絶賛語録 小学館)」


現在では、欧米だけではなく、アジアからも桜を見ようと大勢の外国人が日本を訪れています。

特に、中国からの旅行者は、群を抜いているらしいですね。花見シーズンの東京の上野公園には、中国語が飛び交っているようです。


世界中で愛される前から、桜は日本中で愛される存在でした。
江戸時代に開国する前まで、桜は「日本人だけのもの」だったといっていいかもしれません。


「敷島のやまとごころろを人とはば 朝日ににほう山桜花」



と、本居宣長が詠んでいるように、桜は春のシンボルというより、日本のシンボルになっています。

「日本といえば桜」というイメージは、今では世界中で定着しています。

ところで、いつから桜は日本のシンボルとなったのでしょうか?
調べてみると、どうやらそれは、平安時代からのようです。


続く。


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