プロ集団「ヴィクトリーナ姫路」
3月下旬、女子バレーボールV2リーグファイナルステージに出場した「ヴィクトリーナ姫路」の宿泊を担当させていただきました。オールプロ集団とあって、オンとオフの切り替えが素晴らしいプロ集団でした。日本とタイのナショナルチームのエースが両レフトを務める豪華メンバー。ホテルを挙げて、全力の受け入れ体制を敷きました。結果は3-0のストレート勝ち。リーグ戦全勝と合わせ、文字通り完全優勝となりました。わずかながらでも貢献がでたのかな、と安堵しております。懐かしい顔との再会もあり、充実した2泊3日の受け入れとなりました。試合会場は、50キロ先の袋井市でした。「大きなイベントがあるのか、袋井はおろか、浜松や掛川でも宿泊ができない。協力してもらえないか」昨年末、知人のバレーボール関係者からお話を聞いた時、始めは辞退しようと思いました。普段やっていないリクエストが何点かあり、無理に引き受けることで、結果的に迷惑がかかるような気がしたからです。HPでメンバーを見ました。全日本のエース井上さん、金蘭会高校時代からの有名選手宮部さん……。監督は、バレー界で著名なアヴィタル・セリンジャーさん(お父さんはさらに有名な指導者)。とにかく豪華な顔ぶれです。12月終了時点でリーグ戦全勝、優勝をほぼ決めていました。リクエストが一つあり、「ブッフェスタイルの夕食を出してほしい」とのこと。チームには管理栄養士が付いており、食事の中身を事前にチェックさせてほしい、というのです。普段、私たちが出している夕食は、スポーツ団体等で希望があった際、仕出し弁当に1、2品を加える程度の内容です。これはハードルが高い。ひとまず料理長に相談しました。答えは意外にも前向きでした。「チームも困っているようだし、できる限りのことはやってみましょう」「メニュー作りは大変だけど、逆に栄養士のチェックを受けるなら、間違いはない。アスリートの栄養管理の勉強にもなる」「ここの料理なら俺が保証する。絶対大丈夫だから」。先述の依頼者(県大会決勝前に毎回利用してくれる某高校の監督)に強く背中を押されたこともあり、チャレンジすることにしました。バレー事情に詳しい立場上(詳細は当ブログ参照)、何より、ビビっていたのは私自身でした。メニューの変更は想像以上に細かいものでしたが、大変勉強になりました。実はわれわれも秘策を用意しました。選手の目の前で初日は牛ステーキ、2日目はオムレツを料理する「ライブ」を盛り込みました。うちのレストランには、「影の副料理長」と言われるY社員がいるのです。彼は普段フロントマンですが、若いころアルバイトで毎日オムレツを焼いていた経験がある、というのです。試食会で私も驚かされました。「おいしい。手際もいい。これならいける」。マネージャーとの細かいやり取りの末、どうにか準備も整い、いよいよ宿泊当日を迎えました。天気予報は3日間とも雨でした。「せっかくなら、客室窓から富士山を見て行ってほしい」祈りが通じたのか、予報に反して、選手の到着時、客室から富士の雄姿が拝めたのでした。←天気予報に反して、この日は富士山がくっきり到着した選手たちは遠征慣れしているのか、終始リラックスムードでした。しかし、ひとたびミーティングが始まると、表情が一変。監督の細かい指示を聞く顔は変わりました。「これぞプロ」でした。心配していた夕食ブッフェ。皆さんおいしそうに味わっていた様子で、私は胸をなでおろしました。特にY社員のライブは好評で、作る前から列ができていました。170センチを超すバレー選手が目前で待ち構える光景は、正に2枚ブロック。「すごいプレッシャーでした」と振り返ったY社員でしたが、すっかり様になっており、実に頼もしかったです。あっ、写真を撮り忘れた。そんな中、管理栄養士は選手の食事をしっかりチェックしていました。食事内容だけでなく、試合時間から逆算して食べ終える時間まで目を光らせていました。これもプロチームならでは、ですね。←宮部選手の華麗なライトアタック選手の顔ぶれ、リラックスムード、充実したスタッフ体制。勝利を確信しましたが、宿泊したスポーツチームの結果は気になります。チケットまで手配していただいたので、試合観戦に行きました。全く危なげない試合運びで3-0の完勝でした。井上選手の対角に入っていたチャッチュオン選手は、さすがタイナショナルチーム代表の活躍ぶり。日本、タイの両エースがエース対角。強いわけです。この豪華メンバーの中、富士見高校出身の伊藤麻緒選手がレギュラーセンターに入っていたのは驚きました。実家は静岡市内で、ホテルの近所だそうです。石垣イチゴが差し入れに届き、チームで盛り上がっていました。もう一人、懐かしい顔がコーチで加わっていました。こちらも静岡市出身、清水桜が丘高校、東レなどでを経て元日本代表メンバーの伏見大和さん。身長は2メートルを優に超えます。←伏見さんと並ぶと私は小学生のようです伏見さんは中学時代、国体選手だった高校時代の2度、私が浜松で経営していたホテル米久に泊まってくれてことがあるのです。本人もその時のことを覚えていてくれました。ベッド2台縦に並べる「伏見対策」が15年ぶりに復活しました。すっかり、大人なっていた伏見さん。今年から全日本女子のコーチにも就任されたようです。パリ五輪で日本代表の中に映る彼の雄姿が、今から楽しみです。大変な準備と緊張の中、文字通り、総力戦の宿泊対応となりましたが、終わってみれば結果も残り、貴重な体験、財産となりました。関口GM、山口マネージャー。至らぬ点の多いホテルでしたが、この場を借りてお礼申し上げます。遠い姫路市のチームでしたが、静岡県ゆかりのメンバーが活躍していて、身近なチームに感じました。ヴィクトリーナ姫路にとって今回の2部優勝は全くの通過点。来年から始まるSVリーグで優勝争いに加わるチームだと実感しました。静岡から今後の活躍を祈ります。