偽の息子、偽の娘。『帝王の娘スベクヒャン』② | コワれるまで ALLORA

偽の息子、偽の娘。『帝王の娘スベクヒャン』②

科学忍者隊・・・じゃなくて、偽ス(カッチャ)ベキャンと、真ス(チンチャ)ベキャンが織りなす人間ドラマ。

守白香 『帝王の娘 (チェワン ウィッタル)スベクヒャン( スベキャン )(2013年)。

帝王の娘スベクヒャン

これはホントに面白いドラマです。
牢屋 『オクニョ 運命の女(原題:獄中花 (オクチュンファ)2016年) も著名な脚本家を起用し、一人の女性の成長を描いた長編ドラマでした。
でも、主人公が若くて華のあるキャラだし・・・ちょっと軽いかな。

『スベクヒャン』 は、もうちょっと重厚感のある、大人っぽい作品です。
主人公のミョンノン (後の第26代王聖王 (ソンワン )演:チョ・ヒョンジェ)、ヒロインのソルラン(ソ・ヒョンジン)とも落ち着いて渋めだし、全編に流れるBGMも重ためで、感動が込み上げてくるって感じ。

さて、この『スベクヒャン』の時代背景は、私にとってこれまで観てきた三国時代の穴を埋めてくれました。

時代の中心となる在位王は、ペクチェ第25代王の武寧王( ムリョン )ユン(イ・ジェリョン)。

帝王の娘スベクヒャン

イ・ジェリョンは Yen商道(サンド) (2001年) の主人公イム・サンオクを演じましたが、このときは若かったです。

ユンはドラマの序盤では、従弟である第24代王の東城王( トンソン )(チョン・チャン)の配下 佐平と(チャピョン)して戦に こき使われていました。

帝王の娘スベクヒャン

トンソン王の死後、ユンは「第24代東城( トンソン)王は私より優れた方だった。だが、これからは私が天下を治めなければならない」と、即位の遺志を固めます。

で、なんと本作では、ユンは即位直前に、2人の幼児の身分を取り換えてしまうのでした。
トンソン王の息子チンムを自分の直系の太子( テジャ)だとし、片や実子を、トンソン王の遺児として王宮から出してしまうのです。
外戚を殺害することが珍しくない王族の争いを避け、実子を外戚にしてしまおうという深慮からでした。
なので、聖王は(ソンワン )ムリョン王の直系ではない、というドラマ設定です。

ウネ王后(ワンフ)(イム・セミ)が王宮に怪しい占い師の老婆を連れてくるのですが、その老婆がムリョン王にこう告げます。
「なぜ、偽の(カッチャ)子供を置いておくのか。本当の子供の鳴き声が聞こえぬか」
偽の子供とは、トンソン王の息子( アドゥル)のことでもあり、偽ス(カッチャ)ベキャンのソルヒ(서우(ソウ))のことでもありました。

この複雑な人間関係が、『スベクヒャン』の見どころなのです。



     守白香     守白香     守白香


さて、ここまでで、東城王( トンソン )---武寧王( ムリョン )---聖王と(ソンワン )、ペクチェの三代の王たちに触れました。

事項では三国時代における、この3人の周辺の時代背景をもう少し押さえていきたいと思います。