前回は、「現在のねじれの状態」について考察した。
『ねじれ考①:今のねじれは、ねじれではない!』 8/05
http://ameblo.jp/kitanotabito/entry-10611093268.html
前回で言うところの「ケースその3」が今の国会、今の民主党だ。
衆院でも参院でも過半数を占める、あるいは衆院で2/3を占めるという「圧倒的優位性」は、もはや無い。
いちおう、参院で「第一党」なだけという「相対的優位性」だけでの政権運営となる。
だが、菅総理はよくやっている・・・というより「こうするしかない」のが実情だ。
【へこへこしまくりの菅総理】
菅総理の低姿勢についても、以前に少しふれた。
『小沢一郎に民主党が破滅させられる』 7/30
http://ameblo.jp/kitanotabito/entry-10605043883.html
ここでは「党内に対する低姿勢っぷり」として取り上げたが、実際には国会でも、つねに低姿勢に徹している。
前評判では「イラ菅」、「強気の発言が売りの政治家」などと言われてたくせに、今や歴代総理と比べてもダントツに近い「ヘコヘコ野郎」となっている。
国民が「強い総理」を求める風潮が高まる中で、それに逆行しているのだから・・・一般的には「ダメ総理」に見えてしまうだろう。
だが、それでも、菅総理は、そうしなければならない事情があるのだ。
なぜなら、今や「与党が優位」だの「野党が優位」だの言わず、与野党が同じ地平に立って話し合わないと、政治は前に進まないからである。
【クリンチ作戦から土下座作戦へ】
「調子に乗っていた」感のある、選挙前の菅総理は、消費税増税をドドンとぶち上げたあげく、その批判をかわすために「自民党さんのアイデアに乗っかって」などとのたまった。
これは、ボクシングにおいて、抱きつくことで相手のパンチを逃れる姿を重ねて「クリンチ作戦」などと揶揄された。
だが、選挙後の、今の菅総理はどうか?
「消費税については、おわびしたい」
「これまでの国会運営も、かつて野党時代での妨害でも、反省すべき点は反省したい」
「野党の意見も柔軟に取り入れたい。修正協議も受けたい」
野党の強烈な質問にも、ほとんど言い返すことなく「シュン」として協力を求める。
菅さんらしからぬ、そして最大政党の党首らしからぬ・・・なりふり構わない協力要求は、ほとんど「土下座」に近い。
だが、そうしなければ政治は前に進まないのだ。屈辱を抑えてそれをやっている菅氏は、間違いではないと思う。
【感情的な政治家は取り残される】
こうした菅総理を「いまだ!」とばかりに口撃する野党議員は、まだ多い。
だが、菅総理を、今までのような「野党病」を発揮していびり倒しても、得られるものはないだろう。
むしろ「自ら膝をついて、協議を求める総理」に対し、感情的に優位性だけを保とうとする議員は、国会運営からも国民の支持からも取り残される可能性が高いだろう。
「自らの姿勢をハッキリさせない相手と、何を協力できるというのか?」
こんな的外れな批判をした野党議員もいたが・・・
ならば逆に言いたい。総理が強気に、
「消費税は絶対、上げる。さぁ協力してもらいたい」
「私の意見を最優先させる。さぁ協力してもらいたい」
などと、ゴーマンに要求されたとして、一体どこに「交渉の余地」が生まれるというのか?w
「修正を受け入れる」という姿勢だからこそ、あえてハッキリ明言しないで協力を求めているのに、とんちんかんな批判をしていては、野党もダメだ(´Д`)
【自民:谷垣総裁は柔軟系?】
選挙中は強気の谷垣氏だったが、初の党首討論では、終始低姿勢の菅総理に対し「諭すような」言い方で接し、案外宥和的なムードで終わった。
こうした谷垣氏の姿勢には、自民党内から「弱気すぎる」と批判も出た。それをいうなら、菅総理も民主党内から「情けない」と批判が出ている。
だが、これでいいのである。
というより、こうしていかないと、本当に進まないのだから。
どこかで、(与党と野党の)誰かが、手を組まなければならない、それが必須なのだから。
自民党は、「最大野党」ではあるが、野党内の優位性においては、決してダントツではない。
どういうわけか?
つまり、今の国会では、「公明・みん党、どこか1つでも」、民主党と部分協力するだけで、法案は通せてしまう。
ということは、自民がヘタにつっぱね続けても、他の野党に「抜け駆け」される事を止めることはできないのである(゚Д゚)
そういう点では、やはり民主党は「相対的には有利」なのだ。どこか1つの中規模政党と協力できればいいだけだから。
【みんなの党はいつまで突っ張るか】
躍進し、国会におけるキーマンになるほど成長できた、みんなの党。
「連立には興味ない」とし、「部分協力でアジェンダを達成する」という、彼らの言い分通りの国会模様になってきているではないか。
にも関わらず、民主党との論戦においては、どちらかというとまだ「みん党がやたら強硬的」に見える。
改革法案に対し、仙石氏らもだいぶ「話し合い」を持ちかけているが、みん党サイドはいまだに「丸呑みしろ」という勢いだ。
果たして、理性的な部分協力は、達成されるのか・・・?
このチキンレースは、どこまで続くのか・・・民主が折れるか、みん党が折れるか、お互い自爆するか。渡辺氏の政治手腕が試されるだろう。
【公明党は埋没するか?】
存在感を示しつつも、柔軟性も見せる自民党。
ツッパリ続けてはいるものの、注目度は高いみんなの党。
それに比べて、公明党は「微妙な位置」に置かれたかもしれない・・・
もともと「自民党のコバンザメ」みたいなもので、「玉虫色のマニフェスト」を掲げ続けた公明党。
勢力図で言えば、民主との協力で力を発揮できる位置にいるが、「どこで、どう協力するのか」というビジョンが、見えてこない。
なぜ見えないのかと言えば、「そもそも公明党は、何をしたいのか」が、見えていないからである(-ω-)
今のような国会情勢においては、こうした政党は、ますます埋没する可能性もある。
そうすれば、次回はさらに議席を失うかもしれない。
だが・・・一方で、国民の目を盗んで、民主と部分結託して、「創価学会に優位な法案」を、スルリと通過させてくる可能性もある。
僕はこの政党をあんまし信じていないので、油断せずに注視していきたい(・ω・)b
【国会・新時代】
党内から批判もされ、野党からバカにされ、国民の支持を失いかねないリスクを負いながらも、菅氏は「攻めの低姿勢」を続けてくれている。
あとは、野党が「手を差し延ばすか、どうか」だけである。
これが仮に「強気のイラ菅」が続いてたならば、国会は完全に空転していただろう。
政治を前に進めるために、野党のみなさんも、「今こそチャンス」と信じて、新しい政治プロセスを構築していってほしい。
もう「民主は売国奴」だなんて言うのは、もうやめよう。
本当に民主が売国奴だったなら、衆参で過半数を維持していた間に、夫婦別姓だって外国人参政権だって通せたのだから。通さなかったってことは、そんなに売国奴ではなかった、ってことだ。
そして、参議院がねじれた今は、今後成立するすべての法案に対し「売国法案」と言う事はできなくなる。なぜなら、ねじれ参院においては、それを「通過させる」のは、野党の監督責任になるからだ。
感情的な政治は、もう時代遅れになりかけている。今こそ、政治家も国民も、冷静に理性を発揮してほしい。
とはいえ、民主の内紛も批判せねばなあ・・・まったくもうw
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