普通の暮らし16

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真子が参加していた、こどもを守る~という団体の分裂劇に戻る。


この会は特に会費を徴収していなかったので、団体と呼んでよいのかわからない。

 

 

市民団体というより、市民・国民の有志。

 

会員のページには習院大学の教授、あと医師や弁護士、東京や四国、神奈川に住んでいる人もいた。

 

この有志達がやったことを具体的にいうと、

 

原発反対の署名活動や、学校給食に福島産を使わないよう要望した署名活動、定期的なお茶会、議会の傍聴。

 

あとは有志が週末に通学路や公園などの除染をすることだった。

 


誰でも見れるICSネットワークのHPには放射線量や移住・保養情報が書いてあるのだが、

 

会員のページの掲示板では

 

保養、移住情報や自分のガイガーカウンターで測った数値を掲示板に投稿すると、

 

嫌というほど罵倒する先生方(瀬上その他とりまき)が出てきて、投稿者をコテンパンにやっつけていた。


ガイガーの数値については、特に厳しかった。素人が測ったのはデマと言い切っていた。


数値の正誤ではなく、高いか低いかを相対的に述べることも許されなかった。


 

当然、普通の会員は保養・移住、放射能汚染の話をすることはなくなり、

 

 

徐々に除染すればこのまま福島で暮らしていけるという投稿だけが増えていった。

 

今冷静に考えると、

 

 

この団体は、一般に見れるHPで放射能の危険性を訴え、放射能に不安を感じる人々を集め、

 

 

クローズドの会員ページで放射能汚染への不安を払しょくするために作られた団体の様にも思える。

 

 

当時、瀬上たちを野放しにしているICSネットワークの方針がおかしいと感じる人は何割かいた。真子もその一人。

 


瀬上たちの暴言に、真子と同じように感じていた人たちの不満があふれそうになった時、

 

突然、幹部たちの言い合いが掲示板で始まった。

 


掲示板を読んでみると、どうやら意見があわず、一人が何人かを引き連れて会を離れたようだった。

 

 

そして、IPSネットワークを離れた人たちは、毎週集会を開いていた。


こうやって、何が何だかわからないうちに、

 

 

放射能汚染からこどもを守るために集まった人たちは分裂した。

 

 

キリのない除染を毎週やる団体と、

 

 

ただ放射能汚染を不安に思うだけで、特に根本的な解決には触れずに、集会を開いては人集めをする団体になったようだった。

 

 


こういう団体の分裂劇は多分あちこちで起きていたとおもう。(のちほど真子自身も分裂劇の当事者になる)

 

分裂は市民団体だけではなく、

 

学校でも放射能汚染を不安に思う保護者と

 

国の言っていることを信じ放射能汚染を心配する人を批難する人たちと

 

様子見している人たちに分かれていた。

 


真子は

 

自分の住んでいる場所がどのくらい放射能汚染されているのか。

 

土壌汚染はどのくらいあるのか。

 

飲料水は安全なのか。

 

野菜はどのくらい汚染されているのか。

 

それが知りたかった。

 

 

新聞等で空間線量というのは毎日下がっていることは報道されていたが、土壌汚染の正しい数値は報道されなかった。

 

 

だから何となく、

汚染がゼロということはない~と思っていた。

 

 

でもその疑問に学校や行政は

「基準値内の汚染だ。」という言葉で安心させた。

 

 

その基準値というのがどういうものかの説明は曖昧だったが、大部分の人はその言葉を信じた。

 

 

やはり報道の影響力は大きい。

 


真子も含めて福島県民の多くは放射能汚染の被害がそれほどではないと信じたかったのだ。

 

 

だから、基準値内の汚染=安全である~ということに乗った。

 

 

学校の保護者会の中でも、放射能のことを発言する人は

 

 

「風評被害を招くから発言しないでくれ」と言われた。

 


「放射能のことをもう考えたくないんだ」

 

 

「もっと前向きに放射能汚染と向き合っていく。」

 


「そんなに放射能が心配なら福島から出ていけば?」

 


「事実と向き合ったら、生活なんかできないよ。」

 


「もっと、楽しくいこうよ。」

 


学校はあの爆発からたった二か月で子どもたちに外の活動をさせていたが、

 


校庭に放射性物質がないと思えなかった真子は外の活動と給食を拒否した。

 

 

同じように外の活動と給食を拒否していた人が最初たくさんいたが、その数は、段々減っていった。

 


真子の子どもと同じクラスの子どもたちは、


「もう大丈夫だって先生が言っているのに、なんで夏ちゃんは何時までもお弁当で、体育の授業休んでるの?ズルい!」

 

 

と真子の娘に毎日のように言っていた。

 


外の活動と、給食を食べていた子どもたちが、放射能を気にする子どもを許さなかったのだ。

 

 

最後、外の活動と給食を拒否する子どもは教室で二人になり、とうとう夏一人になり、

 

 

子どもたちは集団で夏をいじめるようになっていた。

 

 

夏は、叩かれたり、文句を言われたり、仲間外れにされたり・・・


子どもは大人同様容赦がなかった。

 

 

とうとう、夏は

「学校に行かない」と登校拒否になった。

 

 

何とか行かせようと、学校に夏を叩く子どもの名前を挙げ、保護者への指導をお願いしたが、

 

 

「お母さんが、国の言うことを信じるようにしてください。」

 

「普通に夏っちゃんに給食食べさせて、体育の授業も受けさせてください。」

 

と担任に言われてしまった。


「では、先生、校庭の土壌汚染は一体何ベクレルあるのですか?放射線量ではなく答えてください」

 

と質問したが、その質問に

 

 

「国が言っていることが信じられないのなら、話すことはありません」

 

 

という答えにならない答えが返ってきた。


・・・もう、終わった。

 

 

何もかもがおかしくなっている。

 


というか、とっくにおかしかったけど、私が気づかなかっただけなんだ・・・・

 

 

一番考えたくなかったけど、

 

真子は母子移住を真剣に考え始めた。

 

 

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