日本で、この国で、こういう戦いがあったと知らずに生きてきたことが恥ずかしいのです。

 

沖縄戦だ。

第二次世界大戦の末期、沖縄に上陸した米軍と日本軍の死闘。

 

キリスト教に誠実に生きているアメリカ青年が、主人公。

人を救うために従軍した変わり者。

彼は、激戦を極めた沖縄戦でたった1人、戦わずに人を救い続けた。

衛生兵として。実話である。

 

信仰心が描かれる前半は、なかなかに理解が難しい。

私事ながら当方、都合の良い時だけ神に頼む典型的な日本人だから尚更だ。

なのに、彼を理解できるようになるのだから、映画とは尊い。

 

主役は戦場だ。

戦闘中、中盤まで音楽が鳴らない。

銃撃音、砲撃音、叫び声。

それらに包囲されるから、死の恐怖に泣きそうになってしまう。

煙にむせびそうになる。

沖縄シーンに関わったスタッフ、キャスト、スタント、エキストラに称賛しかない。

 

 

 

主演のアンドリュー・ガーフィールドは御本人にも寄せており、圧巻の芝居!

今作でアカデミー主演男優賞にノミネートされた。

劇中、恋する瞳がウルウルすぎて色々と不安になったが、観終われば微笑ましい。

 

恋のお相手、テリーサ・パーマーが美しい。

 

父親役のエージェント・スミスこと、ヒューゴ・ウィービングがいい!逸話もいい。切ない。

 

軍人役、サム・ワーシントンの滲み出る人間味。

 

苦難の時を経て、ついに監督業に復帰したメル・ギブソンはカトリック教徒。

信仰という核心あっての、映画だろう。ある意味、神の目線であり。

敵味方という見せ方をしない。

公平に、戦争の凄まじさに焦点を当てている。

監督としての腕の確かさ、舌を巻きっぱなしだ。

 

 

 

あまりに激烈な上陸戦。

一瞬先は、死だ。

戦場に放り出されたような臨場感。

しかも、日本兵だから。

痛みが手に取るように分かる。

日本語が、耳につらい。

 

個人の権利を尊重するアメリカに驚き。

これだけの血が流れた上に成り立つ日米を思う。

善良な人々が殺し合うさま。

死闘を描いて、これほどに強い反戦があるだろうか。

 

戦争の愚かさと。

そこに差し込む眩い光と。

メッセージは峻烈で、スクリーンから気概があふれてくる。

 

クライマックスは、と考えるに、戦闘が始まってからずっとクライマックスなのだけれども。

衛生兵の働きに、神の御業(みわざ)を見るようであった。

 

日米双方に向けられた敬意。

人間の可能性への期待。

またひとつ、戦争映画の名作が誕生。

 

 

 

※米軍からハクソー・リッジと呼ばれた断崖は、沖縄県浦添市前田高地

公開前には、反日映画と非難されることを危惧した配給会社の微妙なプロモーションが話題になりましたが、公開後の評判はご存知の通りであります。

 

浦添市では映画公開を機に、様々な企画も開催されました。

詳しくは⇒市役所HP「『ハクソー・リッジ』の公開によせて」

 

 

映画 スクリーン

 

『ハクソー・リッジ』
Hacksaw Ridge
2016年・アメリカ/オーストラリア
監督: メル・ギブソン
脚本: ロバート・シェンカン、アンドリュー・ナイト
撮影: サイモン・ダガン
出演: アンドリュー・ガーフィールド、サム・ワーシントン、ルーク・ブレイシー、テリーサ・パーマー、ヒューゴ・ウィービング、レイチェル・グリフィス、ビンス・ボーン

 

[関連作品]
アンドリュー・ガーフィールド⇒ 『沈黙 ーサイレンスー』 『アメジング・スパイダーマン』 『アメイジング・スパイダーマン2』 『Dr.パルナサスの鏡
サム・ワーシントン⇒ 『エベレスト 3D』 『崖っぷちの男

 


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※鑑賞の感想です。情報に誤りがございましたら御一報頂けましたら幸いです。

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