電力王・福沢桃介さん。
木曽川の水力発電の開発に情熱を注ぎ、「読書発電所」(大正10年9月~大正12年12月完成)を始めとした、木曽川沿いの多くの発電所の建設に尽力した人です。
さて、そんな発電所の開発・建設の当時の状況に関する貴重な資料を見ることができるのが、ここ、「桃介記念館」です。
この桃介記念館ですが、もとは読書発電所建設に際し、その活動の足場とするために福沢桃介が建てた別荘なんだそうで、当時は別荘の周囲に社宅等も建っていたんだとか(発電所の建設後、徐々に周囲の建物は取り壊され、桃介記念館の建物だけが残ったらしいです)。福沢桃介は、1919年(大正8年)頃から約5年間ほどこの別荘に滞在し、発電所の建設現場に通っていたそうです。
ちなみに、現在の桃介記念館の建物(2階建)は、1997年(平成9年)に天白公園の整備にあわせて、復元されたものです。…復元と聞くと気になるのがその理由。どうも、当時の建物は1960年(昭和35年)に火災に遭い、2階が焼失してしまったそう。その後、1985年(昭和60年)に2階部分を失った平屋状態のまま桃介記念館として公開され、復元を経て現在に至ります。
そんな桃介記念館の中では、発電所の建設にあたった福沢桃介を始めとする多くの人々の写真・手紙や、読書発電所の建設用資材を運搬するためにつくられた「桃介橋」の設計図、発電所の建設に尽力する桃介を支えた川上貞奴(さだやっこ)に関する資料等を見ることができます。この貞奴さん、何でも日本で最初の女優とうたわれた方なんだそうですよ!
なお、桃介記念館のすぐ外に、読書発電所の発電用水車も飾られています。
桃介記念館の左隣に、記念館と通路でつながった建物があります。その名も「山の歴史館」。
その名の通り、木曽における江戸時代頃からの林業の歴史などを紹介しています(外から山の歴史館の窓を見たら、シカのような動物の剥製が見えたので、ドキッとしました)。
山の歴史館は、もとは1900年(明治33年)に御料局妻籠出張所庁舎として、旧妻籠宿本陣跡地に建てられた洋風の建物を移築・復元したものなんだそうです。
なお、山の歴史館の建物の横には
その山の歴史館のさらに左隣には、ちょっとした小屋(?)があり、そこには当時の桃介橋を形づくっていた資材の展示がされています。
最近では、天白公園の近くに、飲食ができる休憩場所「桃介亭」もできています。福沢桃介が滞在していた空間で、ちょっと一服というのも良いかもしれませんね。(yoko)
※なお、残念なことに冬季(12月1日~3月中旬)までは休館なんだそうです。訪ねるのは、暖かくなってきてからがよさそうですよ!