今年 第1回目
テーマ:幹細胞移植治療おもしろい!
間葉系幹細胞の神秘性の報告をみつけました。
幹細胞とは、(1)分裂した時に自分とそっくりな細胞を作ることができること(自己複製能)(2)1個の細胞から複数の異なった細胞を作ることができること(多分化能)を併せ持つ細胞のことを指す。
体内のすべての細胞へ分化する性質を持つ幹細胞として、受精卵から作られる「ES細胞(胚性幹細胞)」、皮膚などの細胞に万能性を誘導することによって人工的に作られる「iPS細胞(新型万能細胞)」がある。
その一方で、人間の体には、体のいろいろな組織を作る“種”になる「幹細胞」が存在することが分かってきた。これまでに血液を作る造血幹細胞、神経になる神経幹細胞、肝臓になる肝臓幹細胞、心臓の筋肉(心筋)になる心筋幹細胞など、ほぼすべての臓器で幹細胞がみつかっている。これら人間の体の中に自然と存在している幹細胞のことを「体性幹細胞(組織幹細胞)」と呼ぶ。
体性幹細胞の中でも、その実像が大変見えにくいのが「間葉系幹細胞」だ。
間葉系幹細胞(または間質細胞)は骨・軟骨・脂肪など体を構成する細胞で、様々な細胞を定着しやすいように支える「縁の下の力持ち」のような支持細胞だ。皮膚などのけが(創傷)の際に創傷面に赤い芽のような柔らかい「肉芽(にくげ)」を作り、治癒を早める機能を持つ線維芽細胞などの源となる細胞でもある。おもに骨の中心部の骨髄にある。
間葉系幹細胞は、「線維芽細胞様」と呼ばれる切れ長の目のような形をしている。大きさは均一ではないが、横の長さは10-50マイクロメートル(1マイクロメートル=100万分の1メートル=0.001ミリメートル)程度とみられる。骨髄にはほかに、血球細胞などに分化する造血幹細胞があるが、こちらは、直径6-20マイクロメートル程度の円盤型の細胞で、間葉系幹細胞とは由来が異なると考えられている。
再生治療における間葉系幹細胞
2002年頃から、間葉系幹細胞が肝臓細胞や神経細胞に分化するなどとする、それまでの「定説」を覆す研究結果が相次いで報告された。
定説とは「体性幹細胞は胚葉を越えて分化しない」ということだ。
人間の受精卵は、細胞分裂した初期の頃に、外胚葉、中胚葉、内胚葉の3つに分かれ、それぞれ特定の組織に成長する。外胚葉からは脳や脊髄などの神経組織や皮膚などが、中胚葉からは骨、軟骨、脂肪、筋肉、血球、血管、生殖器などが、内胚葉からは肝臓、膵臓(すいぞう)、肺、食道、胃、大腸などが形作られる。
間葉系幹細胞は、中胚葉からできるとされる反面、少なくとも試験管内では、神経や場合によっては肝臓細胞など、中胚葉以外の細胞への分化能を示す。そのため、幹細胞を用いた細胞療法の有望な材料と考えられてきたが、なぜ胚葉を超えた分化能を持つのかはよく分かっていなかった。
これらの性質を説明する研究が最近、発表された。大阪大学の研究チームが2011年2月、外胚葉系の神経と、中胚葉系の骨・筋肉は別々の幹細胞からできるのではなく、同じ「体軸幹細胞」という幹細胞から生まれるとの研究結果をまとめたのだ。
間葉系幹細胞も体軸幹細胞の一つとするならば、神経細胞への分化能を持つことは自然である。一方で、内胚葉系である肝臓細胞等への分化能を持つとは考えにくく、間葉系幹細胞が肝臓細胞などに分化したなどとする研究結果に対し、松崎准教授は「投与された間葉系幹細胞が、肝臓細胞と融合したため、あたかも分化したように見えたと思われる。現状では、胚葉を越えた分化はやはり難しいのではないか」と話す。
また、間葉系幹細胞は、(1)細胞増殖を促すHGF(肝細胞増殖因子)(2)免疫・炎症反応を鎮静化する「プロスタグランジン(PG)E2」や「IDO(プロラクチン)」(3)末梢神経の再生を促す「ガレクチン(Galectin)-1」・・・などのサイトカインや酵素を放出することが知られている。
このことから、間葉系幹細胞が、免疫・炎症反応が関係する関節リウマチや強皮症などの自己免疫疾患の治療に役立つとされ、臨床治験が開始されている。また、間葉系幹細胞自身が神経細胞に分化しなくても、生き残っている神経幹細胞に働きかけて神経細胞の再生を促すかもしれない。
このように、間葉系幹細胞を含む体性幹細胞を使った再生医療は、将来、難病などへの有効な治療法になる可能性がある。最近、脂肪、筋肉、腱、歯髄・歯根膜など体内の様々な場所に間葉系幹細胞に似た幹細胞が存在することがわかってきた。特に脂肪組織に含まれる幹細胞は、骨髄よりも採取がしやすく、試験管内で簡単に増やすことができるため、注目を集めている。
ただし、マウスを使った研究などによると、体外で培養された間葉系幹細胞を静脈内に投与すると、ほとんどが肺の細い血管で詰まってしまい、血流に乗って全身を巡ることはないという。一方、体から採取したばかりの新鮮な間葉系幹細胞は肺をすり抜け全身に届くが、逆に免疫・炎症を抑制するサイトカインを放出する能力がないなど、培養した間葉系幹細胞とは異なる性質を持つことも明らかにしている。
某医師は「培養された間葉系幹細胞を安易に静脈に投与するのは大変危険だ。今後、再生医療に応用するためには、純度の高い幹細胞を使って、生体内でどのような機能を持つのかなど、本質を明らかにする必要がある」と指摘する。
マウスにいくつ間葉系幹細胞を入れたら血管が詰まるか実験データを持っていますが、こんな数を人間には投与しないというくらいの数です。
でも新鮮な幹細胞はサイトカインを放出しないとは、不勉強で知りませんでした。






















