~囚人にやさしい国からの報告~ 犯罪学者ニルス・クリスティ
テーマ:ドキュメンタリー(ヨーロッパ)
『未来への提言 「~囚人にやさしい国からの報告~ 犯罪学者ニルス・クリスティ」社会秩序の維持ほか』 「刑務所に拘禁される囚人数が世界的規模で増えている。米国ではこの40年で6倍、日本でもこの15年でほぼ倍増している。厳罰化がもたらしたこの“囚人爆発”という現象に警鐘を鳴らし 「刑罰を厳しくすれば、犯罪は減るどころか治安は悪化し社会は崩壊する」 と訴えるノルウェ・オスロ大学教授、犯罪学者のニルス・クリスティ氏に話を聞く。
クリスティ教授は世界中の刑務所を訪れ、囚人増の社会的背景を探り続けてきた。その結果、「囚人の大半は失業者など社会からの逸脱者であり、厳罰化は、彼らを刑務所に隔離することで、平和な社会を享受しようという中産階級の世論が司法に反映した結果にすぎず、犯罪抑止につながらない」 と指摘。 犯罪を減らすには、すべての市民が裁判に参加し、逸脱者の実態を知るべきだと訴える。
ノルウェーでは古くから市民が裁判に参加する 「参審員」 制度を導入、日本の裁判員制度のモデルとなった。市民の議論による改革を進めた結果、囚人への厳罰をためらうようになり、世界一囚人にやさしい国となったという。犯罪のない社会の実現のため、市民は犯罪者にどう向き合い、何をすればいいのか。クリスティ教授の提言を、映画監督で作家の森達也さんが聞く。」
ノルウェーと日本の犯罪件数は、1300~1600人に一人と同じくらい。イギリスは600人に一人。ロシアとアメリカは非常に多く、アメリカは100人に一人が服役している。日本もアメリカも厳罰化を推進している。アメリカでは、どんな軽犯罪であれ、3回有罪になれば、終身刑になる。刑の重さも殺人なら何年など、決まっており、理由などは検討されない。アメリカの刑務所では、複数の服役囚が、体育館くらいの牢屋に入れられているので、エイズや喧嘩などの騒ぎが絶えない。日本でも、囚人は征服に着替えさせられ、髪は坊主にされる。
では、ノルウェーの刑務所はどうかというと、囚人は好きな服装で、看守たちと雑談しながら、食事をしている。厨房には、コンロも包丁もおいてあり、冷蔵庫には、ぎっしりと食材が詰まっている。好きなものを調理して食べられる。
個人の部屋には、TVもCDもゲームもある。インターネットには繋がらないが、PCも使える。
また、首都オスロから南に75kmのバストイ島は、島全体が 「バストイ刑務所」 になっている。島の中なら、どこでも移動は自由。家は、3~4人でシェアし、太陽光発電なので、自給自足の生活を営む。家事炊事を全部自分でする。一日数時間の仕事をすれば、後は自由時間。大きなTVもあるし、島内には図書館も、教会もある。ボートは、物資を運ぶために定期的に運行している。ボートに乗り、荷物の揚げ降ろしを担っている囚人もいる。 さらに、囚人には、3日間の休暇がもらえ、家族の待つ家へ帰ることができる。
犯罪事件が起こると、まず地域の中で、犯罪者や犠牲者をよく知る人々の間で話し合いがなされる。殆どの事件は決着がつくそうだ。例えば、夫の暴力で訴えた妻は、地域の人が夫の暴力の原因、どんなストレスを抱えているのかを探り、夫婦は和解した。それでも、決着がつかない場合は、裁判になる。
ノルウェーにおける 「修復的司法」 は、弁護士や裁判官から、一般市民、被害者、被害者の家族、囚人が参加し、2泊3日でスキー場の近くのホテルで行われる。 囚人も看守と一緒に、昼間はスキーをするそうだ。
クリスティ教授は、ノルウェーに、ナチスが送りこんだ外国人捕虜をノルウェーの軍人が殺したという事件があったと知り、愕然としたそうだ。そして、捕虜を殺した人と殺さなかった人の差を調べた。捕虜を殺した人は、捕虜を人間だとは思っていなかったが、殺さなかった人は、捕虜と家族など色々な話をし、人間同士の付き合いをした人だった。
森達也さんは「罪と罰」について、クリスティ教授のご意見を伺った。 「罪を犯した人は、もう十分に苦しんでいます。罪を犯した人に、モンスターは一人もいないのです。彼らは普通の人間です。勿論、被害者や家族が、苦しみを加害者に訴える機会を持つことも必要です。でも、だからと言って、刑を重くしなければならないというわけではありません。」 誰でも、加害者になる可能性はある。
犯罪を無くすには? 「近隣の人を良く知ることです。地域同士で悩みや問題を相談しあえれば、犯罪の繋がることは、なくなるはずです。」 うろ覚えなのだけど、というような事を仰っていたと思う。
日本やアメリカのような刑務所では、話し相手は囚人しかおらず、心の安らぎも得られないまま。社会で自立するために必要なことも習得できない。帰る家がなければ、また犯罪仲間のところへ戻るしかない。
ノルウェーでは、地域のボランティア団体により、ホームレスのためのアパートが建てられた。シャワーも完備。ホームレスの人が、次の仕事を見つけるまで滞在してよいことになっている。 「人間は生まれながらにして家があります。どんな人でも、衣食住は、整っているべきです。」
そして、クリスティ教授からの最後のメッーセージは、 「全ての人間が人間である」 だった。 「この意味は、皆さんが、ご自分で考えてみてください。」 ・・・私も考えてみる。
殺人事件は年間1件だけ!?ノルウェー紀行
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