2008年03月02日

久しぶりにショパン

テーマ:ピアノ
 ホイマーデン教会の年間行事の中で、私が「ピアニスト出演」をする数少ない行事の1つが、毎年2~3月に行われる「バラードの夕べ」
 「バラード」とは、「主に人間の遭遇する運命的な出来事を物語った詩」である。時にはユーモアたっぷりに、時にはちくりと皮肉をこめて、人間の生き様や死を描いたバラードをドイツの学校では教わり、暗誦もするらしい。そういった懐かしの詩から、有名ではないけれど興味深い詩まで、毎年教会員の有志何人かが持ち寄って選び、その詩の朗読の合間にピアノソロや、歌曲も入れて1つのプログラムにまとめたのが「バラードの夕べ」である。私がこの教会で働き始めてから出来た行事だが、今回で7回目…と聞いて時間のたつのは速いなぁ^^; と思った次第。

Ballade08
 さて、毎年選曲にとても悩む私なのであるが、今回はショパンの曲を2曲選んでみた。1曲目は「ワルツイ短調」(作品34-2)、2曲目は有名どころで「雨だれの前奏曲」である。
 ワルツイ短調は、ショパンのワルツの中でも地味な作品なのだが、とても深い悲しみがこめられている。成就しなかった恋を語った作品だと言われており、ショパンはこの曲が生涯お気に入りだったという。この作品を、恐れ多くも私は小学校3年生の時に弾いた。……当然、小学校3年生に成就しなかった恋の悲しみがわかるわけはないのであって、弾いたことは弾いたのだが、音楽的な深みは何一つ表現できていなかった。「バラードの夕べ」のための選曲にあたってふとこの曲を思い出したのは、私自身が成就しない恋を諦めなくてはいけない運命にあるせいかも…なーんてね(ぉぃ^^;)
 小学校3年生の時の演奏のリベンジ(!?)をはかって、このワルツイ短調に再トライしたわけだが…いやはや、難しいのなんのって。ゆっくりと悲しみを語り始め、やがて美しい思い出や、楽しかった記憶も語られるののだが…その「希望」が全て打ち砕かれ、取り返しのつかない現実の前に、大きな痛みを持って曲が終わる…という、そんな流れなのだ。
 ショパンの書いた悲しみの音は幾度となく私自身の心も突き刺したから、練習している時に何度泣いたかしれない。そうやって、書かれた音を頭でだけではなく、心で理解しようとする作業は、私にとって不可欠な「音楽的作業」だ。そうやって理解したものを、どのように聴衆に伝えるか考えていく。例えば、同じメロディーが2回出てきたときには、1回目と2回目の違いをどう出せばよりよく言いたいことが伝わるか。音の大きさは?テンポは?音色は?等…数限りなくある表現の可能性から、もっともよいと思われるものを選び取って練習していく。
 「雨だれの前奏曲」の方が、音楽的には「ワルツイ短調」より感じが掴みやすかったのだが、どっちにしてもこの2曲は指を速く動かすという意味でのテクニックは必要ないものの、音色による表現力が必要とされる曲である。もう1人ピアノを弾く出演者がいて、そちらがロシア系の大胆にピアノを叩きまくる演奏なので、かなり意図的にこういう選曲にしたのだが…音色の繊細さを売りにするのも疲れるよ~^^;

 というわけで、1週間ほどかなり集中してピアノを練習し、本番に臨んだわけだが…おかげさまで非常に好評だった。「ワルツイ短調」はプログラムの冒頭で弾いたので、私自身も緊張していてぎこちなくなり、表現の幅が狭まった感があったが、プログラム第一部の終わりに弾いた「雨だれ」の方はリラックスして弾けた。(これはもちろん、「雨だれ」の方が弾き慣れたレパートリーだというせいもあるのだけれど。)
 バラード朗読の方も、私には1回聴いただけではイマイチ意味の取れない難解なものもあった(とくに方言の詩は難しい!!)が、印象に残った詩もたくさんあった。例えば不慮の事故で亡くなってしまったお母さんが、天国の扉の前で「どうして私は死んでいるのだろう、もうすぐ息子が帰ってきて嘆くだろうに…」と家族ややり残した家事のことを心配する詩。「もし死んでいなかったら、もうすぐ夕食なのに…!」という最後の一言が、笑いと同時に哀れさを誘う詩であった。他に、息子の心臓病を治すために母と息子が無理をして聖母マリアゆかりの地へ巡礼に行ったものの、その晩宿に聖母が現れて息子を連れて行ってしまうという悲しい詩から、メルヘンの「カエルの王子様」をもじった詩、しまいに狼と同じ穴に落っこちるハメになっても一個の卵を死守したおばさんの詩(これはかなり笑えた^^;)まで、変化に富んだいいプログラムだったと思う。

 「雨だれ」はちょっとした本番でまた弾く機会があると思うが、「ワルツイ短調」にもぜひいつかまた挑戦してみたい。今度の時はもうちょっと、取り返しのつかない悲しみの恋を冷静に見られるだけの落ち着きが私に備わっているかもしれないし…ね(笑)







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2006年02月19日

ピアノも好きなんですよ(笑)

テーマ:ピアノ

 すっかり恒例行事となってきた、ホイマーデン教会の「バラードの夕べ」。バラードの朗読と音楽とで、文化的なひとときを過ごす催し物だが、それが今日行われた。

 「バラード」という言葉、よく聞くけど何なんだろう?と思われた方のために説明。バラードとは「物語る詩」である。避けられない運命などを物語る詩が多いが、中にはもっと軽い内容の物語もある。この「物語る詩」に曲をつけたものが、本来の音楽の「バラード」である。やがて器楽曲の「バラード」も登場するが、奏でられる音楽から「物語」を頭の中で想像しながら聴くと、いっそう味わい深いものとなるだろう。


 さて、私のお仕事は5分ぐらいのピアノソロ曲をバラードの朗読の合間に2曲弾くことである。ホイマーデン教会の集会所には、アップライトだがスタンウェイが入っている。個人的には音色が硬いのが気になるのだが、教会の集会所のピアノとしては、これ以上は望めないほど贅沢な代物だ。そんなピアノを入れているせいか、少なくとも年2回は教会の催し物でピアノを弾いてくれと声がかかる。そのうち1回がこの「バラードの夕べ」である。

 今回は、モーツァルト・イヤーということでモーツァルトのハ短調ソナタの1楽章と、シューベルトの即興曲変イ長調を選んだ。モーツァルトの方はシュトゥットガルト音大のピアノ科時代に弾いた曲である。シューベルトの即興曲はそれこそ中学生ぐらいの頃に弾いたことのある曲だが、今回声がかかったときに急に弾いてみたくなって選んだ。

 今朝、すでに聞いていたことだったのだが、牧師の挨拶の後、いきなり私のモーツァルトの出番であった。なので早めに行って、指のウォーミング・アップ。ホイマーデン教会集会所には、別々の部屋に2台ピアノがある。もう1台の方はかなりひどい状態のものだが、それでも本番前のウォーミングアップには十分である。


 何だかんだ言って、150人ぐらいは人が入っている。牧師の挨拶の後、早速モーツァルトの演奏開始。ただ…この曲は実は、学生時代に弾いた時に先生にコテンパンにやられた曲である。何って…


 「あなた、この曲はベートーヴェンじゃないのよ」

 …ええ、知ってます。私はモーツァルトが苦手なんです!どうしたって、音色とかが「ベートーヴェン風」になってしまうのです。直し方を知ってたら教えてください!!


 というわけで、今回も弾きながら「う~ん、我ながらベートーヴェンみたい」と思ってしまった_ _; いや、音色等を何とかしようと努力はしたのだが……そもそも、ピアノ科時代も一番の得意がベートーヴェンだった私である。モーツァルト・イヤーだからって、その辺が変わるわけではないのだ(苦笑)

 無事に最後まで弾いて、大拍手をもらったものの、見事ベートーヴェンなモーツァルトだった…やれやれ。


 ゲーテやハイネなどのバラードの朗読が4つほど続いて、次にまた音楽。私の他に、もう一人ピアノを弾くロシア人女性がいるのだ。彼女はなんと、ハチャトリアンの「カウカスのバラード」を演奏。初めて聴く曲だったが、これがまたリズミカルで力強い、なかなか楽しい曲であった。またそれをこの人、力任せにバンバン弾きまくるのである。技術的にはこの曲を弾きこなせているとはいえないのだが、音楽的にはロシアっぽい大胆さを見せてくれて面白い。

 更に3つバラードの朗読が続き、前半の終わりはなんと「21世紀のバラード」だそうで、シラーの「鐘」というバラードの一部を、ラップにアレンジしたという壮絶なもの。近くの学校の生徒が2人、CDに合わせて歌ってくれた(というか「リズムをつけて読んでくれた」という方が正しいのかな^^;)。この日の客層はけっこう年齢が高めだったので、度肝を抜かれるのではないかと心配していたのだが、意外にみんな面白いと受け止めていたようで一安心。それにしても、シラーのバラードのような思いっきり「古典文学」をラップにするとは、考えたもんだな…と私はニヤニヤ。


 前半と後半の間に、約20分の休憩で簡単なビュッフェが出た。ちょっとしたものを乗せたパンやお菓子がテーブルにずらり。これは全部、教会員の手作りだ。「ほら、いっぱい食べて!」と言われるのだが、後半に演奏が控えてると思うとそんなにお腹いっぱい食べられない。ちまちまとつまみながら、「モーツァルト、よかったよ~」と声をかけてくださる方々と会話する。「やっぱりああいう演奏ができるのって、練習あるのみよね?」とか聞かれて、「う~ん、実は近頃ピアノは練習してないんですけど…」みたいな会話になってしまったり(汗)…いや、実際のところ、ピアノ科現役時代に比べて、腕はどう見ても落ちているのだけど。見かけない顔の人に「あなたはピアノを専門に勉強したんでしょ?」と聞かれ、こんなに腕が落ちていてもまだ、元専門だったとわかってしまうのかなぁ、とちょっと不思議だった。いや、もしかするとお世辞かも…_ _;


 後半の最初は、レーヴェの「詩人トム」。フォンターネのバラードに曲をつけたものである。伴奏は先ほどのロシア人女性、歌はホイマーデン・ゴスペル合唱団の指揮者MKさん。アマチュアだが、この表現力の必要なバラードに果敢にも取り組んで、彼女なりによく歌い上げていた。

 その後、再びバラードの朗読が4つ続いて、それから私のシューベルトの出番だったのだが、ちょうど私の出番の前に、フォンターネの「タイ河口の橋」というバラードの朗読があった。1879年に起こった、スコットランドのタイ河口にかかる鉄道橋が落ちた事件を詩にしたものである。橋の上を渡っていた列車ごと落ちて、多くの死者が出た。フォンターネはシェークスピアの「マクベス」とスコットランドの言い伝えからヒントを得、詩の中に3人の「嵐の魔女」を登場させて、橋が落ちる経緯を描いている。今回の朗読では、この3人の魔女の台詞をきちんと別々の人が読むことで、朗読劇のような効果を出していて興味深かった。


 さて、いよいよシューベルトの即興曲を弾くことになったのだが、いざ始めてみたら指が固まっていて動かない。モーツァルトを弾いてから、かれこれ1時間たっているわけだから、休憩が長すぎたらしい_ _; 何とかごまかしながら…といっても、この曲は最初から指がしっかりと動いている必要があるのだが…中間部のトリオに入ったら、だいぶ調子が出てきた。トリオの後はもう一度最初に戻るのだが、今度はだいぶ良くなって、ようやく気持ちを込めて弾けるようになった。

 終わってまた大拍手を頂いたが、ごまかしはいかんなぁ(苦笑)せっかく久々にこの曲にトライしたのに、ちょっと残念。


 その後、また3つバラードの朗読があって、最後にみんなで有名な夕べの讃美歌 "Der Tag ist um, die Nacht kehrt wieder" (日は過ぎ去り、夜が再び来る)を歌って、この「バラードの夕べ」は終わりとなった。

 終了後、私とロシア人女性と歌のMKさんは、帰っていく人たちを横目に、まだ食べ物の残っているビュッフェにまっしぐら(爆)。だって~、お腹空きましたよ!!おかげさまで、残り物をしっかり楽しませてもらえた(笑)。


 今回の出番をこなして思ったことが一つ。


 ピアノも好きなんですよ(笑)

 

 ピアノにはない迫力と音色が魅力で、パイプオルガンに憧れて教会音楽を勉強したのだけど、逆に言うとピアノにはオルガンに出せない音色が出せるということなのだ。だからピアノの前に座ると、その音色を存分に楽しんでいる。もっとも、腕前が落ちてきて思うような音が出ないことも多々あるけれど(苦笑)

 …でも、考えてみたら私、チェンバロも好きなのよね(爆) 単なる浮気性なのかも!?^^;


 次のピアノの出番は7月の「セレナーデの夕べ」。少しはそれまでに、時間を見つけてピアノも練習しようかなぁ、と思いつつ帰路についたのであった。

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2005年02月10日

世界祈祷日のテーマは…

テーマ:ピアノ
 3月の第一金曜日は世界祈祷日。毎年一つの国をテーマにして、その国の人たちが作った礼拝順序と歌を元に、教派を超えて世界中の教会が礼拝を捧げる日である。この礼拝は世界中で教会内の女性が中心となって計画し、とり行うことになっている。今年もその日がだんだん近づいてきた。

 いつものようにリコーダーアンサンブルに出かけていったら、その世界祈祷日の準備委員に呼び止められた。「世界祈祷日の礼拝の献金の時に、電子ピアノでショパンを弾いてもらえませんか?」だそうで。
 ってことは、今年のテーマ国は…ポーランド!!ですね(笑)
 ポーランド=ショパン、なんてとっても単純な構図だけど、やっぱりそれが一般人にもピンと来やすいだろうなぁ。ペンデレツキを是が非でも演奏してくれなんてさすがに言わないだろう(笑)※注:ペンデレツキはポーランドの現代作曲家。
 正直に言って、電子ピアノでショパンを弾くのは嫌である。ピアノらしくは作ってあるが、あくまで「猿真似」に過ぎない楽器だから、まともに演奏しようと思ったら使い物にならない。だが、教会の会堂内にアコースティックのピアノがないのだから仕方がない。電子ピアノでも音量が問題ないなら、という条件付でとりあえずOKしたが、ちょっとばかり気が重い。

 ともかく、引き受けたからにはぶつくさ言ってないで、選曲にかかりましょうか…。やっぱりマズルカあたりがポーランドっぽくていいかなぁ?(注:マズルカはポーランドの民族舞踏の一つ。ショパンはたくさんマズルカを書いている。)
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