『Go ahead,Make my day ! 』

【オリジナルのハードボイルド小説(?)と創作に関する無駄口。ときどき音楽についても】


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えー、そんなわけで(どんな?)年末繁忙期の更新サボリをごまかすために書庫サイト収録前にリバイバル公開した「パートタイム・ラヴァー」なのですが。

わたしの作品の中では珍しいアンハッピーエンドのこのお話、繰り返してアップすると由真が何度もふられているようで忍びないのですよね~。(笑)

 

ストーリー的にはまったく改稿前と同じなのですが、一部で意味が曖昧だったところの加筆、一部で必要性の薄い描写の削除を行っています。

 

再掲載前の記事でも書いてますけど、このお話は本編「Left Alone」のいくつかある話の流れのうち、主人公とその親友の関係悪化に関する重大な伏線なのです。

ところが、それにしてはある一点で意味をどうにでもとれる部分がありまして、それはどうも良くないなとずっと思っていたのですよね。

それをこの機会に修正した、というのが実はリバイバル公開の真相だったりします。再読されていない方のために申し上げますと、それは第10回のラストです。

 

(改稿前「Part-time Lover」第10回)

 

 あたしは素早く恭吾の唇にキスした。
「――!?」
「はい、ご馳走さま」
 あたしはクルマを離れた。当惑する恭吾に向かって小首を傾げて、悪戯っぽく笑って見せた。
「あたし、ホントに恭吾のこと好きだよ」
 恭吾はしばらくあたしのことをジッと見詰めた。そして、低くて静かな声で「ありがとう」と言った。メルセデスは短いクラクションを残して、暗い通りの向こうに滑るように走り去った。
 あたしは泣きそうになるのを懸命にこらえた。

 それはこれまで聞いた中で一番優しくて、そして、一番残酷な「ありがとう」だった。

 

(改稿後「パートタイム・ラヴァー」第10回)

 

 何かを感じたように恭吾のまぶたが動いた。それが開く前に素早く恭吾の唇にキスした。
「――っ!?」
「はい、ご馳走さま」
 飛びずさるようにクルマを離れた。呆然としている恭吾に向かって、小首を傾げて悪戯っぽく笑って見せた。
「あたし、ホントに恭吾のこと好きだよ」
 しばらく――といってもほんの数秒だけど、恭吾は顔を曇らせてあたしを見つめていた。それから悪戯っ子に向けるような微笑を浮かべて、小さな声で「……ありがとう」と言った。

 メルセデスは短いクラクションを残して、暗い通りの向こうに滑るように走り去った。その姿が見えなくなるまで、あたしの笑顔は持ちこたえることができた。

 でも、それが限界だった。マンションの中に走り込んでから、廊下にしゃがみ込んだ。

 泣きそうになるのを懸命にこらえた。泣くのは間違ってる。ふられるのは最初からわかってたことなんだから。 
 恭吾の声が耳の奥でずっとリフレインしていた。
それは、これまで聞いた中で一番優しくて、そして、一番残酷な「ありがとう」だった。
 

「描写が詳しくなっただけで、何がどう違うんだ?」というご意見もあると思いますが、そうであれば、その方は改稿前のヴァージョンで作者が意図したとおりの解釈をされていたということで。

 

この作品、あらためて書くほどのことは何もないのですが、一つだけ発見したのが「由真の語り口はちゃんと完成していたのだな」という事実だったりします。

「Part-time Lover」はわたしの初シリーズ番外編ですが、作中で”何を考えているのか分からない”ことにおいては双璧である二人(由真と村上)が主役なので、特に由真の一人称を「由真の名前だけかぶせた真奈」にならないようにずいぶんと苦労した覚えがあります。

わたしの場合、一人称の語り口が不自然でないかは、その語り手の声や話法での脳内朗読でぎこちないところや通りの悪いところがないか、というポイントでチェックしていますが、やはり最初ということでちゃんとチェックがかかっているか、自分でも不安だったのです。

今回の改稿ではその部分を大きく見直す――いっそのこと、全面改稿しようとすら思っていました。

 

ところがいざ取り掛かってみると、意外なほど書き直すところがなかったのですね。無理に直そうとするとかえっておかしなことになるので、語り口の部分ではあまり大きな変化はさせませんでした。強いて言うなら由真の語りの特徴である「一人称の省略」を徹底したことくらいでしょうか。

 

由真の一人称は今後、発掘屋さんリクエストのちょいエロ作品(笑)と、「Left Alone」完結後の特別編「Wedding Bell」がありますので、この作品でもう一度確認しながら書こうと思っております。


なんだか後書きっぽくないですけど、それはいつものことなので(おい)ご容赦いただければ……。

 

 


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