今回は、薬剤師のあり方について書いてみたいと思います。

薬剤師法によれば、薬剤師の役割は、「薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」とあります。

これは、薬剤師は、「医療人」であることを示しており、単なる薬の販売員やレジ打ちではないはずです。現状はどうでしょうか。

病院での臨床部門の取り組みよりも、医薬品販売業務にかたよりすぎています。これは、調剤という名の処方箋医薬品販売の業務があまりにも収入がいいことが背景にあります。調剤と称していますが、実際にやっていることは、医者の出した処方箋通り医薬品を箱から出して袋に詰めているのが主な仕事になっています。

先日近所のお医者さんに診察してもらい、隣の薬局で薬を購入した領収書が手元にあります。医者に支払った分が三割負担で2640円、だから医者の売り上げは8810円ですね。薬局に支払ったのは7460円、つまり薬局の売り上げは24870円になります。そのうち、薬局の表面上の調剤料などの手数料は3570円、それから薬代21300円の内、巷間噂されている3割ぐらいの薬価差益があるとすると6390円、総計33680円の医療行為の内、薬剤師の収入が9960円で医師より多い収入になってしまいます。

ある調剤薬局チェーンの経営者の役員報酬が約6億円以上という話もあります。
勿論、他人がいくら稼いでも、それが正当な努力、革新的貢献の結果なら賞賛こそすれ非難する事はありません。しかし、不合理なシステムの結果、国民の共通の財産を食いつぶしているとなると話は違います。

服薬指導などの他の業務はどうでしょうか。厚生労働省が行った大衆薬の販売に関する覆面調査があります。法令上第1類医薬品の販売時には薬剤師が文書を用いて適正使用に必要な情報を説明しなければならないとされています。しかし、実態はどうでしょうか。第1類医薬品の購入の際に「文書を用いて詳細な説明があった」のは55.2%にすぎず、半数近くが満たしていません。この事実は、薬剤師自体の業務が形骸化している実態を端的に表しています。対面でありさえすればよしとするのはあまりにも詭弁でしょう。

今、日本の医療全体を考えると、人的側面だけを見ても医者が足りません。看護師も足りません。だから医療人である薬剤師にもっと活躍して欲しいのです。

単純な販売業務に薬剤師を貼り付けるのではなく、医療人として医療の臨床部門で薬剤の専門家としての役割を積極的に果たして欲しい。

例えば、患者さんに薬剤監理指導を積極的に行う。ある論文によると、臨床薬剤師の数を10倍に増やすことによって、病院内死亡者数が43%も低下したと言う報告もあります。

また、地域医療の最前線で、まず薬局で健康相談、そして在宅患者に対して訪問して服薬指導や病状見守り、病院との連携。地域医療の中核として期待する役割は一杯あります。

このような薬剤師の活躍により医療の安全面、経済面も含めて医師の負担を大きく軽減する事ができ、また医療人として見做される薬剤師の本来の姿であるべきでしょう。

現況、薬剤師が本業として行っている調剤の袋詰め作業など、諸外国で行われているようにそれ専門で行うファーマシーテクニシャンと言う制度を作って、薬の販売は登録販売者、調剤の袋詰めはファーマシーテクニシャンと役割分担をすればよいのです。

そして、医療人である薬剤師は、臨床医療、地域医療の重要な担い手となる。

労働人口が減少し、医療資源も乏しい中、超高齢化社会を向かえ、医療保険制度も、介護保険制度も、そして国家財政全体も破綻しかけている日本社会においては、貴重な人材の有効利用を図るべきでしょう。