TPPへの積極的な参加決定、本年1月11日のネット販売訴訟での最高裁の画期的な判決。あらがいようのない大きな潮流が日本社会、殊に医薬品の世界に押し寄せています。

その流れの中、高騰する医療費、逼迫するTPPへの積極的な参加決定、本年1月11日のネット販売訴訟での最高裁の画期的な判決。あらがいようのない大きな潮流が日本社会、殊に医薬品の世界に押し寄せています。

財政を見据えて、日本の医療福祉を支え国民皆保険制度を持続可能なものにするため、以下の施策を提言します。第一回の今日は、改革の方向性を論じます。その後、個別の問題について深く提言していきたいと考えています。

1、 流通改革
  
医薬品の流通形態は根本的に変わります。一般用医薬品(大衆薬)のみならず医療用医薬品も、インターネット販売を始め、様々な形態での販売を可能にする規制緩和が現実化しています。

販売に当たって、対面に限る、とする対面原則については、1月11日の最高裁判決において法的根拠のないもの、とされました。薬事法において『対面原則』と言う言葉は一切書かれていません。

法に基づかない規制は排除されるものです。医療分野をはじめとして対面や書面の交付を求める規制が多数ありますが、合理的根拠があり法制度化された規制以外は、すべからく国民生活の利便性向上や競争の公正さを守るため、それらはすべて違法となります。

これらの規制撤廃に反対する者は、安全性を盾にしていますが、流通規模の大きい処方箋薬に及ぶのを恐れて反対しているのだろうと思います。何故なら、薬事法では一般用医薬品(大衆薬)と処方箋医薬品との間に差異が書かれていないのです。むしろ、患者さん一人ひとりにお医者さんが診察し、治療方針を説明し、薬を処方し納得してもらう処方箋医薬品のほうが、余程わざわざ屋上屋を重ねるような対面販売など必要とされません。


不合理な販売規制を取り除く事により、一般用医薬品(大衆薬)はもとより医療製剤にも合理的な価格原理を導入したり流通過程の合理化を図る事により、年間3-5兆円規模での保険財政の削減を目指し、新たな医療の発展の財源とすることができます。

無駄なお金を使うより、IPS細胞の研究開発や先端医療の充実に、そして疲弊しきっている医療の現場に有効なお金を回す必要があります。

消費者が、医薬品製造者からの直接購入を可能にし、流通過程のムダを省き、配送拠点、配送箇所を集約させます。流通段階における古い商慣習を抜本的に見直し、積極的に自由化を促進し、効率化を図ります。

もう既に、多くの医薬品製造メーカーはインターネット販売を始めとする消費者への直接販売の道を模索しています。

医療用医薬品の販売の合理化を図る必要上、処方箋の電子発行、電子取引が認られ、また、処方箋の枚数規程も撤廃されます。リフィル処方(症状が変わらない患者に同じ薬を処方するー反復調剤)を認めるなどの規制緩和が加速されます。


2、 制度改革
  
抜本的に『薬剤師のあり方』を見直されなければなりません。
薬剤師は医療人であり、薬の販売員ではありません。法で、そう規定されています。
でありながら、医療人としての業務より、調剤と言う名の処方箋医薬品販売の業務が余りにも収入に繋がり過ぎているゆえ、医療人としての存在感がなくなってしまっています。

薬剤師自体の業務が形骸化している実態や販売店での薬剤師のありようなどを考慮すると、各販売拠点における薬剤師の配置基準を緩和し、逆に地域医療の窓口として薬剤師を活用促進します。薬剤師が在宅訪問指導を行い、服薬指導を行うと同時に、薬剤師が窓口となって地域医療との連携を図ります。

例示すれば、薬剤師が薬局や在宅患者を訪問した現場で血圧血糖値測定等を行いトリアージ(選別)や入院勧奨の担い手となるのです。

それこそが医療人としての薬剤師の仕事です。それゆえ、調剤と称して、処方箋通り医薬品を箱から出して袋に詰めるだけの業務は、諸外国同様、それ専門のファーマシーテクニシャン(調剤士)に任せる。

ファーマシーテクニシャン制度が積極的に導入されるでしょう。
同様に、登録販売者の意味もなく、単なる門戸を狭めるだけの受験資格も合理的基準に改めることにより、登録販売者を積極的に創出し、薬剤師の役割を患者個人とじっくりと対面する臨床医療の分野にシフトさせます。

ジェネリック医薬品の価格設定を見直します。現在、後発医薬品(ジェネリック)の価格設定が先発医薬品の70%に設定されていますが、当面先発医薬品の25%に設定変更し、将来的には、国際標準相場である先発医薬品の10%以下に価格設定を変更します。医療用医薬品の市場が年間10兆円相当見込まれている以上、数兆円規模の費用軽減に結びつきます。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)のあり方を抜本的に見直し、海外とのドラッグラグ(医薬品の認証に掛かる期間の問題)や国内でのスイッチOTCラグ(安全性が検証されている医療用医薬品が、なかなか一般用医薬品(大衆薬)にカテゴリー変更されない状況)を解消します。スイッチOTCは、セルフメディケーション推進のためには必要不可欠な条件です。

しかしながら、現況一般用医薬品販売額の内、スイッチOTCはたった4%しか占めていません。これは、スイッチOTCを取り扱う薬剤師自身が、医師が処方箋の権利を持つ医療用医薬品の一部が医療人である薬剤師に処方する権利が移った、と言う事を自覚していない事が原因かもしれません。

同時に、ドラッグラグ解消促進のためにも、海外からの医薬品の並行輸入品の使用制限の緩和が必要であり、医療現場での保険適用外医薬品の積極的な使用を促進する必要があります。

3、 見えてくる課題
  
上記の提言で見えてくる課題として、特にTPP条約批准後に以下の抜本的な検討が必要になります。

全面的混合診療の導入、医療用医薬品の自由価格制度、薬を医療保険制度から除外(ジェネリックが先発薬の10%以下に価格が下がり、海外からの安価な医薬品が購入可能になれば、患者負担の増加には繋がらない)などが当面の課題になる。

また、現況行われている医療機関と医薬品卸業界との間で見られる不合理な商慣行である、仕切り価格制度(建値制度)、総価制度、未妥結、仮納入などの商慣習も消滅してしまいます。