1週間休みます

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最寄りのスーパーが明日から1週間休業する──。そんな張り紙を見た時、人はどんな顔をするだろうか。

驚いた顔、困った顔、悲しい顔……おそらくそんなところだろうと思うが、私の表情はどれにも当てはまらなかった。



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感情がどこかへ行ってしまったのだ。


正直にいうと、若干の予兆はあった。とはいっても、それは外壁を工事しているというだけで、まさか長期の休業になるとは思っていなかった。

そのスーパーへは、2〜3日に一度は行っていたが、休業を匂わせるような張り紙はなく、だからこそ私は買いだめることもなく、日々のちょっとした買い物を、ちょこちょことしていたのである。

そして今から3日前──。スーパーに足を踏み入れた瞬間、強烈な違和感を覚えた。いつもだったら入り口付近に山積みにされている果物が、甘い香りと共に私を迎え入れてはずだが、なんと今日は、イチゴが1人(パック)で寂しそうに佇んでいるだけだ。

店内を見渡しても同様だ。いつもは暴力的なまでに山積みにされたレタス、確かな存在感を放っているブナシメジWパック(150円)、いつだって19円のもやしたち──そいつらの姿が全く見当たらない。

そう、在庫がほとんどないのだ。

そして売場のいたる所にある「明日から1週間休業致します」という張り紙で、私は全てを察した。

そう、棚卸&改装のダブルパンチだ。

しかも閉店間際で、明日から休業なので、商品はほとんど残っていない。キャベツも!鶏肉も!なにもかも!もうそこにはなかったのだ。それぞれの売場にある「全品半額!」の文字が、より一層、心をえぐった。

全品半額である。

私は──この祭りに参加できなかったのだ。こんなに悲劇的なことはそうそうない。特売の神は、私に祭りに参加する権利さえ与えてくれなかったのだ。

そして何より、これから1週間、スーパーが使えないという恐怖。料理というものは食材があって初めて成立するもので、スーパーが休業するということは、食材の調達が滞ってしまうということだ。

神は、私から料理まで奪うのか!

私は打ちひしがれた。こんなにもスーパーが大事だということを、改めて痛感した。

今まで普通に存在してくれていたから忘れかけていたが、私は自著「うちメシ」のあとがきにも「夜遅くまで営業してくれている近所のスーパーへ感謝する」と書いたではないか……!


とはいえ、スーパーにもたまには休息が必要だ。毎日毎日闘い続けて、そのカラダはもうボロボロだったのかもしれない。

結局、最後の買い物はほとんど満足できずに終わった。しかし私の心は、不思議と穏やかになっていた。帰り際、心の中でスーパーに向かってこう呟いた。

「ゆっくり休めよ」

来週には、また新たな製品を取り揃えてオープンしてくれるに違いない。その日が来るのを、私は心待ちにしている。


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