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■はじめに







私は、日本の財政は破綻しないと思っています。しかし、市場参加者が財政は破綻すると考えた場合、国債の相場が暴落することは充分に考えられます。その時、どのような事態に陥り、それがどのように収束するのか、頭の体操をしてみました。







数回の連載を予定しています。今回は、「日銀の債務超過」「財政は小康状態」「不気味な雰囲気」に次ぐ4回めです。ご笑覧いただければ幸いです。







冒頭、経済初心者用の解説を載せました。一般の読者は飛ばしていただいても結構ですが、復習のために一読していただければ幸いです。







■「格付け」は借り手の返済可能性を示す指標・・・経済初心者向け解説


英語検定という試験がある。学生が受験料を支払って試験を受け、結果を就職試験の際に提出することで、自分の英語能力をアピール出来る、というものである。企業の採用担当者は、学生の英語能力を知らないから、アピールするためには第三者の「成績表」を見せる必要がある、という事である。







格付けも、同様である。貸し手は借り手の返済能力を知らないから、借り手は検定会社(この場合は格付機関)から成績表をもらって、貸し手に対して自分の返済能力をアピールするのである。日本政府の場合は、頼まなくても格付機関が無料で格付けをして発表しているようだが、本質は同じである。







格付けは、一定以下になると「投機的」となる。成績表で言えば「不可」である。こうなると、投資家たちから「買いたくない」と言われるのである。学生にとって不可と可の境目の1点が極めて重要な意味を持つのと同様に、借り手にとっても格付けが「投機的」であるか否かの境目は、極めて重要な意味を持っているのである。







■日本国債の格付けが「投機的」に


203☓年☓月☓日、米国の格付機関が日本国債を「投機的」に引き下げると発表した。日本時間の未明、ニューヨーク市場の日付は、まだ前日であった。猛烈なドル高円安となり、ニューヨーク市場に上場している日本株はすべて暴落した。邦銀のニューヨーク支店には外銀から返済要請が相次ぎ、ニューヨーク連銀が(おそらく日銀の要請を受けて)資金を融通して難を免れた。中央銀行は、「最後の貸し手」なのである。







翌朝、東京市場が開くと、日本国債は暴落した。額面100円の国債が30円で取引されたのである。機関投資家の中には、投機的格付けの債券を保有してはならないとの自主ルールを設けている所も多いため、売りが殺到したのである。自主ルールを設けていない投資家も、「自主ルールを設けている投資家が売るだろうから値下がりするだろう。自分も急いで売ろう」と考えて売り注文を出した。







1ドルは300円になった。政府が破産するような国の通貨は誰も持っていたくないので、ドルに替えようという注文が殺到したのである。株価は、当然のようにほぼ全ての上場銘柄がストップ安となった。







金融市場という所では、値下がりすると売り注文が増える力が働きやすい。たとえば「損切り」という自主ルールを設けている投資家は多い。一定以上の損が出た場合には、一度すべての持ち物を売る、というルールである。損失が無限に拡がる事を回避する目的、負けが込んだ担当者が冷静になるための時間を設ける目的、等があるとされている。このルールにより、値下がりが売り注文を増やすのである。







借金で国債を買っていた投資家には、不安になった銀行から返済要請が来るので、泣く泣く売らなければならない、という場合もある。国債先物を売っていた投資家も、同様である。株式であれば、「信用取引」を行っている投資家が株価の下落によって「証拠金の追加」を要求され、払えない場合には泣く泣く持ち株を手放す事があるが、同様のことが国債についても通貨についても発生し得るのである。







このように、「売りたくない売り」が大量に出てくる事が予想されると、先読みをして「売りたくない売りが出てくるはずだから、自分が先に売っておこう」と考える一般の投資家たちが出てくるので、一層価格が下落することになりかねない。







金融市場は、まさにパニックであった。多くの市場参加者は、持っている国債や株を投げ売りし、円をドルに替えようと奔走したのである。







特に悲惨だったのは、外国人投資家であった。彼らは来日した際に1ドルを約100円に替え、概ね額面で国債を購入していたのだが、額面の3分の1に暴落した値段で国債を売り、売却代金の円をドルに替えて本国に逃げ帰ったのである。投資額は、およそ10分の1に目減りしていた計算になる。







■この世の終わりを覚悟する


政府は、大規模なドル売り介入として、外貨準備を1兆ドル売却したが、焼け石に水であった。ドル売り介入で市場から吸い上げられた資金を供給するため、日銀は巨額の買いオペ(市場から国債を購入して代金を支払う取引)を行なったが、国債価格は回復しなかった。







株価は暴落し、GPIF(年金の資金)などが必死に買い支えたが、ほぼ全銘柄がストップ安のまま、取引を終えた。







市場関係者の多くは、「この世の終わり」が近づきつつあると感じていた。ため息もつけないほど青ざめていた人も多かったのである。

しかし、彼らが本当に青ざめたのは、翌日、嵐が去った後のことであった。

次回は、いよいよ最終回です。「嵐のあとで」を御覧いただければ幸いです。URLは以下のとおりです。
http://ameblo.jp/kimiyoshi-tsukasaki/entry-12200284732.html






 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 




 










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