「夏期限定トロピカルパフェ事件」 米澤穂信 読書感想 | きまぐれうさぎ

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その名にちなんで、きまぐれです。一応は読んだ本の紹介を毎回書いていきたいのですが、なにせきまぐれなので、映画や音楽などの紹介になるかもしれません。

小市民を目指す小鳩君と小佐内さん。二人の高校生活もいよいよ夏に突入する。

スイーツと日常の謎解きの日々は相変わらずかと思いきや…。

 

 

「春期限定いちごタルト事件」の続編です。

前作同様、小鳩君と小佐内さんがたわいない日常の謎解きに挑むかと思いきや

本作はちょっとテイストが変わっていました。

 

それというもの今回は

小佐内さんの過去と本性を中心に語られているからです。

なので、前作のような一話ですっきり完結する物語は

前半に少しあるだけで、

あとはある大きな事件に向かっての展開のためか

一話だけではすっきりしないお話が続きます。

 

前作のような一話で完結する短編を期待していた人には

少々期待はずれかもしれません。

ただ、物語の登場人物達が好きで読んでいた人には

小佐内さん過去と本性について深く語られていた本作は

満足出来る作品になっていたと思います。

 

以下少々ネタばれがあります。注意!!


 

 

 

 

 

 

 

 

さて前作で小佐内さんのちぐはぐさを感じる性格が

理解しづらいと思っていた私は

今作を読んで小佐内さんの性格に納得できたのかといえば

納得以前に強く感じたことがあります。

それは

小佐内さんってめっちゃ極悪じゃないか!!!

ということです。

 

そこらへんのちょっとした悪い人など可愛いと思えるくらいに

小佐内さんが怖すぎると思いました。

 

小佐内さんが正義感からあの計画を実行したならまだ理解できたかもしれませんが、

おそらく楽しくて快感だからやっていたんですよね。

 

そんな人実際にいたらいたら極力近づきたくない人物ですよ。

 

なので物語のヒロイン的な登場人物が

まったく共感出来ない人物と判明したまま終わった今作は

前作ほど読後感が良かったとは言い難いです。

 

ただ、まだ続編があるので

その後二人にどういう展開が待っているのか

読むのが楽しみではあります。

 

スリリングさが加わり、前作よりもビターさが増した本作。

前作で登場人物達に魅力を感じた方や

ラストでのどんでん返しが好きな方等におすすめです。