Hとの別れ

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それから3日後。
私はHと会った。
Hとちゃんと別れる為に。


私とHは、トータルで4年半付き合っていた。
Hの家(実家)によく遊びに行っていたし
Hの両親やきょうだいとも仲良くしていた。

Hは、私に優しくしてくれたし、大切に思っていてくれた。
思っていてくれたけど、「好き」をたくさん言ってくれたけど
なかなか会う時間を作ってくれなかった。
私より、友達と会うことをいつも優先していた。

Hは、私に、大切なことを何も話してくれなかった。

Hといることはすごく楽しかったし、
金銭感覚も食べ物の好みも笑いのツボも近かったし
2人でいることは居心地がよかった。

私はHのことが本当に好きだった。
だから、4年半一緒にいられたし、
そのための働きかけも努力もした。

Hはそれを受け止めてくれたけど、応えてはくれなかった。

それがいつか、ズレをどんどん大きくして
修復ができなくなっていた。


気付いていたから、「誕生日プレゼント、何がいい?」
というHの言葉にも「何もいらないよ」と答えていた。


きっとHは気付いていただろう。
私の心がHから離れていっていることに。

だけど、その原因がなんなのか、きっとHはわかっていなかった。

ズレを修復しようと努力することに、私はもう疲れてしまっていたんだ。
疲れて、いつか恋人と思わないようになっていたんだ。


だから、Hと別れた。

Hと私と、Hの友人とその彼女とごはんを食べて、
それぞれに別れた後、駅まで送ってくれたHに切り出した。

だけど、勇気を出せなくてひるんだ私は、ごまかそうとした。
けど、察した彼は、ちゃんと話すように促した。


「Hに話があるんだ・・・」

「うん」

「あの・・ね。Hのこと、もう昔みたいに好きって思えない。」

「うん・・・そうだと思った。」

やっぱり、Hは気付いていた。
その後、少し話をして、最後に私は彼に質問した。

「なんか聞いておきたいこと、ある?」

「誕生日プレゼント、どうしようか」

2人で、少しだけ笑った。
自分をふった私の誕生日プレゼントを気にするH。
義理堅いというか、やさしいというか。

「貰えないよ(笑)」

「俺も、kikiに貰ったしさ。」

「いいんだよ、それは私があげたかったんだから。」

「俺も、kikiにあげたいんだよ。」

「そっか。まぁ・・・考えとくよ。」

不思議な空気が流れて、少しの沈黙があった。

「まぁ、遊びには行こうよ。」

Hの思いがけない言葉に、私は泣きそうになった。

「ありがとう。」

「じゃあね。」

「うん。じゃあね。」

これで、私たちは別れた。

その日、気を抜いたら電車の中で泣き出しそうだった。
それでも、日常は続いてる。
今にも泣きそうな状態で、スーパーで買い物をしなきゃいけない。

店を出て、帰るだけになったとき、涙が出てきた。

やっと止めなくてもよくなった。
ぽろぽろ、涙がとめどなく出てきた。


「遊びには行こうよ」

Hの優しさ。


どうしてこんなにいい人とうまくやれなかったんだろう
どうしてちゃんと分かり合えなかったんだろう


後悔と、Hを失った悲しさ。


その夜は、ずっとずっと泣いていた。
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きっと

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ねぇ

わたし

きっとずっと

あなたのこと、好きだよ。


あなたとなら

今までこだわってきたこと、いらないや。
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私の誕生日

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12月のある日のこと。
深夜12時をまわって日付が変わった頃、
私の携帯がなった。

どうしたんだろう・・・?

彼からのメールだった。
着信音でそれはわかっていた。


そのころ、彼は昇進に伴う研修の為、特殊学校に入っていた。
そこは全寮制で、起床時間も就寝時間も決められていたから
そんな時間に彼からメールが来るなんて、滅多にない。

手が離せなかったので、しばらく放置していると
地元の友達からもメールが来た。


メールを開くと、

誕生日おめでとう

の文字。


自分でも忘れていたけれど、その日は私の誕生日だった。
しかも、誰よりも早くメールをくれたのは彼だった。

文面はあまりよく覚えていないけれど、
相変わらずの憎まれ口だった気がする。

多分、「これでお前も1つ年をとったな」とか
うれしいとは思えないような内容。

それでも、誰よりも早く誕生日を祝ってくれたことがうれしかった。

当時、付き合っていたHは、メールもくれなかったのに。


私はすぐに彼に返信した。
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私の将来

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その後も、私たちは何度か2人で遊んでいた。
彼が私の遊びに行く街に住んでいたからだろう。
それに、当時は今ほど忙しくなかった。


私たちはいろんな話をした。
彼の仕事の愚痴や、私の将来の話。

それは、会った時でも電話でも。


実家に帰りたいけれど、やってみたい仕事もある。
それは地元ではできない。

その悩みを話して、どうして彼は地元に帰って就職することを考えなかったのかを聞いたりもした。


私も彼も、親の転勤に伴う移動を子どもの頃に経験している。
新しい環境に順応しても、以前の友人を恋しく思うことはやはりあるし、できれば経験したくないことだ。


彼は、「これ以上移動したくない」という理由で、地元には帰らなかった。


その気持ちは、私もわかる。

だけど、私は実家のある地元で生まれたし、
居住年数も一番長いし
大好きな家族も親戚も友人も、地元にいる。


彼との違いは、地元で生まれたこと・親戚が地元にいることだ。
それがやっぱり、地元に帰りたいと思う気持ちにつながってる。


結局、地元には帰ろうと思えばいつで帰れる。
とりあえずは、今住む町で仕事に就こうと決めた。


この話をしたことが、大きな変化だった気がする。

普段、私は人に悩みを相談することが少ない。
それを彼にするということは、ただ遊ぶのが楽しいだけじゃなくて
信頼関係ができてきたっていうこと。


この街に、いい友達がひとり増えた。

香水を探して

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約束の日曜日、私たちは待ち合わせをして香水を探しに行った。

彼が探しているのは「kiton」の「NAPOLI」

どこのお店で聞いても、「今は取り扱ってないね~」とか
「ちょっとわからない。」とか、芳しい返事は返ってこなかった。
電車を乗り継いでここまで来たのに・・・

仕方がないので、諦めて彼の住む街に戻った。
(ちなみに、当時彼がすんでいたのはものすごい繁華街)
どうしても香水が欲しい彼は、香水専門店に足を運んだ。

私は私で、のんびり自分の気に入る香水を探していたら
不意に彼が声を掛けてきた。

「コレとコレ、どっちがいい?」

そういって私にムエットを渡した。

「ん~・・こっちの方が好きかな。」

「ふーん。じゃ、こっちにするか。」


まぁ、一緒にいるんだから意見くらいは聞くよな。

彼が香水を買った後、私たちは夕飯を食べて、家路に着いた。
別れた後には、毎回必ずメールのやり取りをする。

その日は
「ナポリはなかったけど、香水を買えて良かったよ。」
「お前が気に入った匂いなら間違いないだろ。」

たぶん、そんな内容だったと思う。
どうしてそんなに私に合わせようとするんだろう・・・
と、私は思っていた。

なかなか自分の考えを曲げようとしない彼が、
私に意見を仰いだり、それを実行したり。

それに、香水の好みって人それぞれだ。
それを私に合わせるって、どういうこと?


2人の関係が少しずつ変わってきている気がした。