2008年11月20日(木)
ブルドッキングヘッドロック vol. 15
テーマ:演劇・ライブ
昨日。
17:30に会社を出て、新宿サンモールスタジオへ。初ブルドッキングヘッドロック。ナイロン100℃繋がりで立ち上げ当初から気にはなっていたのだが、どうも決定的な感じで食指が動く事が無かった。とにかくコンスタントに公演を打っている団体。今回の作品は、5月に公演があった「役に立たないオマエ」と同じ設定・役・セットで行われた2部作の2作目とのこと。
いやぁキツかった。面白くてキツかった。高校を舞台にした学園物。何といっても3月の卒業時期で終幕するのかと思いきや4月で終わるところが、延々と繰り返される悪夢の様な幕引きでなんとも怖かった。「役に立たないオマエ」は観ていないのだが、それでも十分面白かった。前作も観ておけば良かったなぁ・・・更に楽しめたかもしれんのに。dead seriousという感じではなく、全編に渡って笑いがバラまかれていたところもうれしい。これからは毎公演観に行かねば。
もちろんなんとなくノスタルジックな気分にもさせてくれたのだが、やはり一番残ったのは恐怖だな。いじめの起因である子は何事も無かったかの様に3年になり、何食わぬ顔で吹奏楽部の部長に収まり、新入生を迎え、新たな学生生活のサイクルが始まる。近くにいるはずの教師もいじめられていた子も、結局何が原因で何が問題で誰の意図で生活が乱されたのか気付いていない。同人誌の子も、自分に悪意を持っていたのが誰だったのか気付いていない。でも個人が独自に不満を言い消化をし自分を見つめ直し他人から学び成長していく様、そして特に学ぶという事はなく正の経験も負の経験も受けては流し受けては流しして何事もなかったかの様に生活を進めていく様が分かりやすくまとめられていた気がする。類は友を呼ぶ感じで一人、裏も表も見渡していた美術部の教師の役は若干無理がある設定ではあったが、あの心の闇は大なり小なり誰もが持っている。あの「ひねくれた子供」と「ひねくれた大人」の差がまた恐怖。
ブログだのプロフだのmixiだの裏サイトだの、精神的な駆け引きを多くしなければならない今の中高生は大変だろうなあとつくづく思ってしまった。しかしあの文化祭の時のビデオの中身がなぜか気になる。前作に文化祭のシーンがあったのだろうか。
セットの構造も良く出来ていて、奥も幅もそんなにない劇場なのだが、スライドする壁の裏側にいろいろな場面を作る事で話の挿入がシームレスに成されていた。夕刻の校庭を浮かび出させていた照明も良かった。高校時代、暗くなるまで学校に残っていると、内も外も、見える景色の雰囲気が日中と全く違っていたのを思い出す。
陶山役の永井幸子さん、最高。最初の方はあまりいい印象が無く、ちょっと引き気味に観てしまっていたのだが、徐々にもの凄い光を放ち始める女優さん。あと辻先生役のいせゆみこさん。キレがある。ネクラオタク軍沢役の佐藤幾優さんも見事。あの病的な感じはどこまでが演技なのか分からなかった。小室役の黒木絵美花さんとブル主宰の西山宏幸さんは、劇団競泳水着の「真剣恋愛」に出演していて、あの公演を観た時に「あ、ブルドッキングヘッドロックの次回公演は観に行かねば」と思ったのであった。
しかし、あの客席の椅子配置はちょっと問題あり。たくさんの人を入れたい気持ちも分かるし、こっちとしても可能な限り入れる方がうれしいのだが、前3列のあの椅子のサイズと、席間隔の無さはちょいとやり過ぎかも。全席指定なのに・・・まあそこをさっ引いても、お釣りが来るくらい素晴らしい出来の公演だったのだが。
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ブルドッキングヘッドロック vol. 15
「とける」
2008/11/13(木)~24(月・祝)
サンモールスタジオ
脚本 喜安浩平(ナイロン100℃)
演出 喜安浩平(ナイロン100℃)、篠原トオル
2月。とても静かなある日―。
廊下には肌を刺す冷気が漂い、校庭にはとけ残った雪の残骸が横たわる。ある教室では、若い教師が日本の近代史について饒舌に語り、ある教室では、年老いた教師が念仏を唱えるように数学を説く。グラウンドからはランニングする男子生徒の掛け声が響き、体育館からは女子生徒がバレーボールに興じる声が届く。どの教室にも、必死に教科書を読み解く生徒や、睡魔に負けて突っ伏す生徒がいる。そして美術室では、授業の無い美術教師が、ぼんやりと窓の外を眺めている。いつもと同じ平凡な光景。今日もまた、一日がゆっくりと終わっていくはずだった。
事件は突然起こった。
地方の県立高校。三学期もあとわずか。やがて多くの生徒が進級し、多くの生徒が卒業する。今、彼らはゆっくりと、あるいは急激にどこかへ押し流されている。その小さな事件に気づく者が少なかったのは、誰もがその流れに飲みこまれ、誰もがそれどころではなかったからだ。そしてわずかに気づいた者たちも、その事件の全てを知ることはきっとできない。後に残るのは、かすかな謎とかすかな傷跡・・・。
春待ち遠しい季節、雪解け水は静かに濁流を生み、人を、時間を押し流す。抗う者の、声もかき消す。一人の教師が姿を消すまでのいくつかの瞬間をそっとすくいあげます。どうぞご覧ください。
喜安浩平
出演者 西山宏幸、寺井義貴、山口かほり、小島聰、永井幸子、猪爪尚紀、藤原よしこ、三科喜代、岡山誠、篠原トオル、清水洋介(SpaceNoid)、岩堀美紀、黒木絵美花、伊藤聡子、國武綾、佐島由昭、佐藤幾優(boku-makuhari)、いせゆみこ
スタッフ
舞台美術:長田佳代子
照明:斎藤真一郎(A.P.S)
音響:水越佳一(モックサウンド)
舞台監督:高橋京子
映像:篠原トオル/猪爪尚紀
音楽:西山宏幸
衣裳:山口かほり
大道具:長谷川ちえ/森久憲生
演出助手:加納健詞(KENプロデュース)
宣伝美術:オカイジン
モデル:佐伯佳奈杷
記録映像:吉良山健一
スチール:nana
映像操作:諸田奈美
映像協力:市川敦之
衣裳協力:森川美香
WEB:寺井義貴
制作:田中絵美(J-Stage Navi)
協力:ナイロン100℃ ダックスープ マリエ・エンタープライズ株式会社 KNOCKS,INC. 太田プロ boku-makuhari 有限会社レトル SpaceNoid 六尺堂 金本美智子
企画・製作:ブルドッキングヘッドロック
17:30に会社を出て、新宿サンモールスタジオへ。初ブルドッキングヘッドロック。ナイロン100℃繋がりで立ち上げ当初から気にはなっていたのだが、どうも決定的な感じで食指が動く事が無かった。とにかくコンスタントに公演を打っている団体。今回の作品は、5月に公演があった「役に立たないオマエ」と同じ設定・役・セットで行われた2部作の2作目とのこと。
いやぁキツかった。面白くてキツかった。高校を舞台にした学園物。何といっても3月の卒業時期で終幕するのかと思いきや4月で終わるところが、延々と繰り返される悪夢の様な幕引きでなんとも怖かった。「役に立たないオマエ」は観ていないのだが、それでも十分面白かった。前作も観ておけば良かったなぁ・・・更に楽しめたかもしれんのに。dead seriousという感じではなく、全編に渡って笑いがバラまかれていたところもうれしい。これからは毎公演観に行かねば。
もちろんなんとなくノスタルジックな気分にもさせてくれたのだが、やはり一番残ったのは恐怖だな。いじめの起因である子は何事も無かったかの様に3年になり、何食わぬ顔で吹奏楽部の部長に収まり、新入生を迎え、新たな学生生活のサイクルが始まる。近くにいるはずの教師もいじめられていた子も、結局何が原因で何が問題で誰の意図で生活が乱されたのか気付いていない。同人誌の子も、自分に悪意を持っていたのが誰だったのか気付いていない。でも個人が独自に不満を言い消化をし自分を見つめ直し他人から学び成長していく様、そして特に学ぶという事はなく正の経験も負の経験も受けては流し受けては流しして何事もなかったかの様に生活を進めていく様が分かりやすくまとめられていた気がする。類は友を呼ぶ感じで一人、裏も表も見渡していた美術部の教師の役は若干無理がある設定ではあったが、あの心の闇は大なり小なり誰もが持っている。あの「ひねくれた子供」と「ひねくれた大人」の差がまた恐怖。
ブログだのプロフだのmixiだの裏サイトだの、精神的な駆け引きを多くしなければならない今の中高生は大変だろうなあとつくづく思ってしまった。しかしあの文化祭の時のビデオの中身がなぜか気になる。前作に文化祭のシーンがあったのだろうか。
セットの構造も良く出来ていて、奥も幅もそんなにない劇場なのだが、スライドする壁の裏側にいろいろな場面を作る事で話の挿入がシームレスに成されていた。夕刻の校庭を浮かび出させていた照明も良かった。高校時代、暗くなるまで学校に残っていると、内も外も、見える景色の雰囲気が日中と全く違っていたのを思い出す。
陶山役の永井幸子さん、最高。最初の方はあまりいい印象が無く、ちょっと引き気味に観てしまっていたのだが、徐々にもの凄い光を放ち始める女優さん。あと辻先生役のいせゆみこさん。キレがある。ネクラオタク軍沢役の佐藤幾優さんも見事。あの病的な感じはどこまでが演技なのか分からなかった。小室役の黒木絵美花さんとブル主宰の西山宏幸さんは、劇団競泳水着の「真剣恋愛」に出演していて、あの公演を観た時に「あ、ブルドッキングヘッドロックの次回公演は観に行かねば」と思ったのであった。
しかし、あの客席の椅子配置はちょっと問題あり。たくさんの人を入れたい気持ちも分かるし、こっちとしても可能な限り入れる方がうれしいのだが、前3列のあの椅子のサイズと、席間隔の無さはちょいとやり過ぎかも。全席指定なのに・・・まあそこをさっ引いても、お釣りが来るくらい素晴らしい出来の公演だったのだが。
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ブルドッキングヘッドロック vol. 15
「とける」
2008/11/13(木)~24(月・祝)
サンモールスタジオ
脚本 喜安浩平(ナイロン100℃)
演出 喜安浩平(ナイロン100℃)、篠原トオル
2月。とても静かなある日―。
廊下には肌を刺す冷気が漂い、校庭にはとけ残った雪の残骸が横たわる。ある教室では、若い教師が日本の近代史について饒舌に語り、ある教室では、年老いた教師が念仏を唱えるように数学を説く。グラウンドからはランニングする男子生徒の掛け声が響き、体育館からは女子生徒がバレーボールに興じる声が届く。どの教室にも、必死に教科書を読み解く生徒や、睡魔に負けて突っ伏す生徒がいる。そして美術室では、授業の無い美術教師が、ぼんやりと窓の外を眺めている。いつもと同じ平凡な光景。今日もまた、一日がゆっくりと終わっていくはずだった。
事件は突然起こった。
地方の県立高校。三学期もあとわずか。やがて多くの生徒が進級し、多くの生徒が卒業する。今、彼らはゆっくりと、あるいは急激にどこかへ押し流されている。その小さな事件に気づく者が少なかったのは、誰もがその流れに飲みこまれ、誰もがそれどころではなかったからだ。そしてわずかに気づいた者たちも、その事件の全てを知ることはきっとできない。後に残るのは、かすかな謎とかすかな傷跡・・・。
春待ち遠しい季節、雪解け水は静かに濁流を生み、人を、時間を押し流す。抗う者の、声もかき消す。一人の教師が姿を消すまでのいくつかの瞬間をそっとすくいあげます。どうぞご覧ください。
喜安浩平
出演者 西山宏幸、寺井義貴、山口かほり、小島聰、永井幸子、猪爪尚紀、藤原よしこ、三科喜代、岡山誠、篠原トオル、清水洋介(SpaceNoid)、岩堀美紀、黒木絵美花、伊藤聡子、國武綾、佐島由昭、佐藤幾優(boku-makuhari)、いせゆみこ
スタッフ
舞台美術:長田佳代子
照明:斎藤真一郎(A.P.S)
音響:水越佳一(モックサウンド)
舞台監督:高橋京子
映像:篠原トオル/猪爪尚紀
音楽:西山宏幸
衣裳:山口かほり
大道具:長谷川ちえ/森久憲生
演出助手:加納健詞(KENプロデュース)
宣伝美術:オカイジン
モデル:佐伯佳奈杷
記録映像:吉良山健一
スチール:nana
映像操作:諸田奈美
映像協力:市川敦之
衣裳協力:森川美香
WEB:寺井義貴
制作:田中絵美(J-Stage Navi)
協力:ナイロン100℃ ダックスープ マリエ・エンタープライズ株式会社 KNOCKS,INC. 太田プロ boku-makuhari 有限会社レトル SpaceNoid 六尺堂 金本美智子
企画・製作:ブルドッキングヘッドロック
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