奈良県桜井市の男児餓死事件で、死亡した吉田智樹ちゃん(5)が親からの愛情を受けられないため、身長や体重が伸び悩む「愛情遮断症候群」に陥っていた可能性があることが16日、捜査関係者の話で分かった。母親のパート従業員、眞朱容疑者(26)=保護責任者遺棄致死容疑で逮捕=は約3年前から智樹ちゃんに暴力を振るい始めたと供述。死亡時の智樹ちゃんの身長は2歳児程度で、県警は智樹ちゃんが当時から十分な愛情を与えられず、成長が滞ったとみている。

 愛情遮断症候群は、親が無関心だったり体罰を与えたりすることで乳幼児がストレスを感じ、身長や体重などの発育が滞る症状。死亡時の智樹ちゃんの身長は85センチで、厚生労働省が公表している2歳~2歳半の男児の平均(平成12年で87・1センチ)に近かった。

 捜査関係者によると、眞朱容疑者は智樹ちゃんの食事について「パートを始めた昨年5月から、おにぎり2個と水だけ置いて出勤するようになった」と供述。智樹ちゃんが5歳の誕生日を目前にした時期で、県警は、この時期以降の欠食だけでは低身長の説明がつかないと判断。すでに愛情遮断症候群で発育が滞っていたとの見方を強めている。

 津崎哲郎・花園大教授(児童福祉論)は「乳幼児虐待事件では、愛情遮断症候群がしばしば見られる。暴力や育児放棄が本格的に始まる以前から、智樹ちゃんは親の『愛情がわかない』という感情を敏感に感じ取り、正常な発育が阻害されたと考えられる」と話している。

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