★完全に「守り」に入ったJR九州。福岡地区鹿児島線でも例外なく減便

「【容赦なく大幅減便】2018年3月のJR九州ダイヤ見直しを詳しく説明」(2018年1月11日の当ブログ)

↑上記ブログでも説明したとおり、JR九州は2018年(平成30年)3月17日実施のダイヤ見直しで、定期列車を117本/日削減する。
具体的なダイヤについては、2月下旬発売の「時刻表」をみないとわからない所も多く、毎年12月に公表する内容は「大まかなもの」に過ぎない。
以下、「改正前」と記述した場合は3月16日までのダイヤ、「改正後」と記述した場合は3月17日からの新ダイヤを示す。
ダイヤ改正実施直前になって具体的な内容がわかったので、特に私が気になった内容を簡単に書いておく。

JR九州 811系(PM103編成)

↑福岡県内の鹿児島線普通・快速列車も例外なく削減対象。2018年3月のJR九州ダイヤ見直しでは、同社全線が対象。お客が多い福岡地区の鹿児島線や九州新幹線も例外ではない。

(門司港~小倉~博多)

改正前の日中は3本/時の快速系統の列車が存在し、そのうち1本が
門司港~小倉~福間は各駅停車する「準快速」と称する変わった種別。
これを改正後は「区間快速」に名前を変更するが、停車駅は改正前までの準快速と変わらない。
改正後は、日中の区間快速を増やす。小倉~博多で停車駅が少ない快速は1本/時に減少する。

その代わり日中に門司港~小倉~博多を”通す”普通が消える。(朝や夜間は存続)
普通は福間、海老津折り返しになって、お客が多い北九州市内では門司港~小倉~折尾のみで運行の普通を新設。車両は・・・

JR九州 817系1000番台(VG108編成)

↑817系(福北ゆたか線用)の2両ワンマン(都市型)になろう。

元々から普通しか止まらない駅の立場で見ると削減数が大きくなるため、救済処置として区間快速を増やして、しかも乗り換えなしで博多(福岡市内)への速達化する意図が見える。逆に小倉~博多の”通し”(中長距離)で乗る場合、今よりも所要時間が長くなるので、「18きっぷ」利用等で特急に乗れない場合は、サービスダウンになる。

JR九州 885系(SM11編成)

↑特急はどうか?と言うとこれも減便対象。
小倉~博多ならば特急料金は自由席で510円と安いが、鹿児島線内で完結する「きらめき」は朝と夜間限定。日中は大分からの「ソニック」(2本/時)のみで、普通・快速を削減して線路容量は拡大するが、空いた所に客数と客単価が多い特急を増発する動きは見られない。あくまでも日中の利用が少ない「きらめき」を削って、元々利用のある「ソニック」をそのまま残しているだけだ。
883・885系は増結が出来ないし、普通・快速も増結するようには見えないので、全体的に混雑が増えるだろう。
これは、門司港~小倉~博多は、”まだ良い方”で、博多以南は深刻だ。

(博多~鳥栖~久留米~大牟田)

長崎線系統の特急を除けば、普通・快速が主体になる地域で、JR九州としては自社の九州新幹線にお客を移行させたいのが本音。

JR九州 811系 JR九州 南福岡駅

↑しかし、普通・快速に乗ってみてわかったのが、「短距離利用」が多い事。
昨年平日の夕方に博多→鳥栖で普通に乗った。博多発車時点では乗る事も難しいほど立客でいっぱいであったが、利用区間が極端に短く、次の竹下、笹原で大量下車。特急待避の南福岡(写真)では、立客がいないどころか、空席も発生。この先鳥栖までの各駅からの乗車はわずかで、基本的には下車ばかり。

大型連休中には午前中に博多→大牟田で快速に乗った。鳥栖・久留米まではお客も多く、着席が難しい状況であったが、この先は一転して空席が目立つ。車両によっては立客もいたようだが、落ち着いた雰囲気。
大牟田から乗り換えた八代行きは817系(熊クマ車)であったが、これは大混雑。熊本県内の主要駅でお客の入れ替わりがあったが、基本的には熊本までの”通し”で、「ずっと混んでいた」印象。

JR九州 813系(RM006編成)

↑813系等の快速は、改正後大牟田行きや熊本県に入って荒尾行きと言うのは大幅に減少。多くが福岡県内で完結する運行になって、久留米行きや荒木行き(久留米の次の駅)までとなる。



↑その代わりに、熊本の815系(写真)や前述の817系が鳥栖まで来る。鳥栖~熊本~八代が基本的な運行系統に変わる事が注意点だ。
しかも、鳥栖~大牟田では博多方面からの快速が来なくなるので、これを救済する目的で熊本の815系・817系が快速運転を実施。大牟田から熊本方面に対しては各駅停車となるため、種別は「区間快速」。
ややこしいのが、博多~鳥栖でも区間快速が存在し、列車によって博多~二日市快速運転で二日市からの各駅停車、博多から先は各駅停車と複雑。

恐らく鳥栖~熊本~八代の列車は間違えなく815系・817系の2両ワンマンで、区間快速(鳥栖~大牟田快速運転)ではお客が集中し、慢性的な混雑となるだろう。
お客にとって混雑は良い事なく、JR九州にとっては「少ない両数で多くのお客を運ぶ」事が出来るので効率が良く、利益も取りやすい。
お客のメリットと言うよりは、自社の利益を確保するために、自社の鉄道事業生き残りのための「切羽詰まったダイヤ」と言う印象だ。

★日豊線の小倉~行橋は毎時4本→毎時3本に減便。一方で宮崎・鹿児島地区の日豊線ほぼ現状維持



↑夜間に小倉~行橋~中津で運行していた「快速」は全て廃止。普通に置き換える。
表題である通り、日豊線の福岡県内(小倉~行橋)は基本的に4本/時の普通が設定されていたが、改正後は基本的に3本/日(概ね20分/本)に減便。
813系の3両を基本的に使い、この列車もワンマンになる可能性が高い。但し都市型ワンマンなので、運賃やきっぷの回収は駅で行う。

小倉0:05発の571M柳ヶ浦行きは廃止。10分早くなって23:55発の5535M行橋行きに変更。改正前の571Mは終着の柳ヶ浦到着が1:22と地方の普通列車にしては異例の遅さであったが、”名物列車”も消える事になった。
また、最終の大分行き特急は、改正前「ソニック61号」(博多23:00→大分1:21)であったが、改正後は約1時間早くなって「ソニック59号」(博多22:05→大分0:35)に変更。「ソニック」自体の最終は中津行きの201号(博多23:01→中津0:28)である。

改正前の「ソニック51号」(博多19:20→佐伯22:51)は、改正後も同じ列車名で博多発が1分早まるが、大分止まりに変更。大分から先に行く列車は設定されない。幸崎までならば22:00発の4669M、臼杵・佐伯までならば22:30発の1647Mまで待たないといけない。利便性は低下するが、ソニック51号からの接続列車を設定しないので、普段から利用者が少ないと読み取れる。

JR九州 817系(VK009編成) JR九州 713系

↑宮崎・鹿児島地区の日豊線は、改正前と大きな変更がない。一部減便もあるようだが、私が改正後の時刻表を改正前と比較した限り全体では「現状維持」と言える。普通列車では数分程度の修正に留まった。
時刻表に記載はなかったが、「きりしま」「にちりん」ではワンマン化を推進。どの列車がワンマンになるのか?一切書いていない。

JR九州 787系(BO109編成・4両)

↑必ずしも787系4両の特急の全てがワンマンになるとは限らないようだ。
宮崎・鹿児島の駅ならばその情報を入手出来るのだろうが、それ以外の地域から来た人にとっては広く知らされていない気がする。その情報もしっかりと全国版の時刻表に書くべきではないか?


★ローカル線は大幅減便

この辺の事は報道等でも広く知らされていたが、実際のダイヤを見ると、「利用実態に合わせた内容」になっていると言わざるを得ない。

(吉都線)

完全な「通学ダイヤ」となる。朝5~8時、夜間は16時以降で本数が増えるが、この間の8~16時の日中に関してはたったの1往復しか設定されない。
どう見ても、高校等の通学生を配慮した内容で、実態は通学利用が多く占める事が時刻表から読み取れた。日中は地元の人(仕事、買い物、通院等)が主体となるが、それが極端に少なく吉都線は使わずに、クルマになっている事が伝わる。

(肥薩線の鹿児島地区)

JR九州 キハ40-8126

↑肥薩線で最も本数が少ないのが峠越えとなる人吉~吉松。
地元の人の利用は極端に少ないので、実質的には観光列車しか走らなくなる。3往復/日に減便し、写真のような一般型列車は1往復/日に限定し、残りの2往復/日は「いさぶろう」「しんぺい」になる。
吉松~隼人は「はやとの風」が土曜日曜祝日運行になって、一般列車も日中は2~3時間に1本しかない。

(日南線)

JR九州 キハ40(8097・日南線カラー)

↑見た限り大きく減っているようには見えないが、油津~志布志では日中は3時間に1本が基本となる。お客が多い南宮崎~油津は1時間に1本程度が基本。これも細かい区間列車を削減しているため、スッキリとした印象を持つダイヤになったが、末端区間は今後も減便されそうな感じあると思った。

・・・他の路線については記述しないが、全体的に見て「無駄をなくし、スッキリさせたダイヤ」と言う印象。正直言って、このようなダイヤになって妥当と言うしかない。今までよく「無駄を容認してきた」とさえも思った。今になってやり始めたのはむしろ遅く、もう少し早い時期にやっても良かったのではないか。
列車1本あたりの輸送効率、つまり多くのお客を乗せる工夫はあるが、それは逆に混雑しやすくなる事を意味する。それを嫌ってお客がJR九州からクルマに転移し、さらに使ってもらえなくなる・・・と言う「負の悪循環」が今後進行するように見えて仕方ない。
具体的な内容は、下記にリンクした2018年3月号以降の「時刻表」を見たい。

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