今、日本では単身者が増えています。未婚の人、配偶者との死別や離婚など原因はいろいろですが、全国で1842万人(国民7人に1人の割合)になります。この30年間でその割合は約2.2倍になり、これからはさらに増えていくと思われます。
シングルで暮らすかどうかはその人の価値観であり、どのようなライフスタイルを選択するかはそれぞれ自由です。しかし、単身者世帯の増加は社会にいろいろな影響を与え、これからの日本の行く末にも大きく関わってきます。では、高齢単身者の増加がどうなっていくか、どういう対応が求められるかを少し考えてみましょう。
2030年になると団塊の世代は全員80代になり、80歳以上の単身者は334万人になります。高齢の単身者は同居家族がいないので生活上のリスクへの対応力が弱く、社会でどのように支えていくかが問題になります。考えられるリスクには次のようなことがあります。
①まず介護のリスクです。家族による介護が期待できないと公的介
護サービスに頼ることになり、その需要に社会は対応できるかどう
か。介護職員をどのように増やしていくか等多くの課題があります。
②社会的に孤立するリスクもあります。高齢単身男性の6人に1人
が「2週間に1回以下」しか会話をしていないという数字もあり、他
者との交流の減少は社会的支え合いを難しくしていきます。
③貧困のリスクも考えられます。2人以上世帯であれば、お互いに
経済的にも協力して貧困に陥らないようにできますが、単身者で
は難しいです。
これからの単身者急増時代にむけて、家族の支え合い機能が低下 しても単身者を孤立させない対応が自治体・地域に求められてきます。今まで家族に依存してきた日本の社会保障のあり方も再検討を迫られるでしょう。
身寄りのない高齢単身者であっても、住み慣れた地域で自立した生活が過ごせるような「地域づくり」が必要になります。医療・介護・生活支援などを提供する人的ネットワークを、地域にどのように築いていくか、そのための財政的な裏付けをどうするか等、検討していく課題は多いと思われます。
「青春の 眩しさ苦さ 夏の海」 <H・Y>