全国化以降の速達郵便(3) 郊外あては高かった速達料
テーマ:速達郵便史3月20日付のこのコラムでは、昭和12年8月の速達郵便全国化の際の「チラシ」をご覧にいれましたが、ここには、
●速達郵便の料金は、一般の料金の外に
一、郵便区市内に宛てたもの 八銭
二、郵便区市外に宛てたもの及び配達局を指定したもの
陸路八キロメートルまで 三十銭
八キロメートルを超える四キロメートル毎に 二十五銭
という記述があります。
要するに、画像のような普通のはがきを速達扱いにするには、速達料金8銭が必要ということですが、これはあくまで名宛人が配達局の郵便区市内にいる場合に限られます。
このはがきは、昭和15年に熊本局から岡山県あてに差し立てられたもので、一見したところ何の変哲もない、ごくありふれた速達便の使用例です。速達料金分として、当時としては封書基本料金用にもっとも頻繁に使用された「東郷4銭」切手が貼られており、これだけならば300円も出せば、簡単に手に入れることが出来るでしょう。
しかし話はこれだけでは終わりません。葉書の上部をよく見てください。なにやら付箋のようなものがついています。これを見てみると・・・。
この付箋には次のように書かれています。
「本郵便物は市外地の為、速達料金30銭を要しますので、不足料金となりますから当局より普通郵便となります。 笠岡郵便局」
■葉書のデータ
櫛/熊本 15.8.13 → 櫛/笠岡 15.8.14
料金: はがき2銭+速達8銭(本来は30銭<配達局より8キロまで>必要)=計10銭
貼付切手: 1次昭和4銭
希少性☆☆☆(少ない/通常はオークション・アイテム)
※但し付箋がなければ希少性☆(ありふれている)
つまり、差出人は名宛人が笠岡郵便局の区内に住んでいることを前提に8銭料金を貼り足して速達としたつもりだったのが、実際には名宛人は市外地(笠岡局より8キロ以内)在住だったので、折角の8銭が失効し、普通郵便になってしまったというわけです。
折角全国化された速達郵便ですが、名宛人が郵便局の区内なのか、市外なのか、あるいは通常の市外よりもさらに遠いところなのかを予め調べてから差し出さないと、折角の速達料金が無駄になるリスクがあったのは、少々不便なことであったかもしれません。
いずれにしてもこの葉書は、ありふれた速達使用例に付箋が残されていることで郵便史的にはかなり興味深い使用例に格上げされた実例といえましょう。
最後に、当初から速達料金30銭が納付された葉書の速達便の使用例をご覧にいれておきます。当然、普通の8銭貼の葉書よりはぐんと少ない使用例といえます。
■葉書のデータ
櫛/奈良・高田 12.11.6 → 生駒郡富雄村
料金: はがき2銭+速達30銭(配達局より8キロまで)=計32銭
貼付切手: 富士鹿8銭・20銭、1次昭和2銭
希少性☆☆(ありふれてはいないがよく探せば見つかる)








