2006-10-17

ファイナンス的には割に合わない話

テーマ:ファイナンス関係

大阪府・市、人権金融公社に2百年ローン 70億円融資


 同和地区の零細業者への低利融資を目的に設立された財団法人「大阪府地域支援人権金融公社」(旧府同和金融公社)に対し、大阪府と大阪市が無利子で貸し付けた約70億円について、府市と公社が200年以上かけて分割返済することを認める合意書を交わしていたことがわかった。大阪市の旧芦原病院に対する支援などに続き、行政が同和関連団体に異例の便宜を図っていた実態がまた明らかになった。


 府市は69年の財団設立時から、低利融資の原資に充てるため、無利子貸し付けを開始。貸付総額はピーク時に計約100億円に達したが、02年の地域改善対策財政特措法の失効に伴い、財団名を変更。融資対象を一般事業者やNPOにも拡大した。

 府市は03年度、財団に財務体質の改善を提案。この時点で未返済だった約90億円のうち20億円を一括返済させ、残金の一部を年利4%超で運用し、残る約70億円を30年で返済してもらう計画を立てた。


 しかし、実際には運用先が見つからず、府市と財団は04年3月、財団が府の仲介で25億円を府住宅供給公社に年利1~2%程度で貸し付け、年4000万円の利子収入のうち府に2100万円、市に900万円の計3000万円を毎年返済に充てる契約を結んだ。結局、貸し付け金の完済までに200年超かかる計算となった。


 大阪府商工労働部は「返済は早くしてもらいたいが、財団の事業は公益性が高く、行政の支援が必要」と説明。大阪市経済局も「返済を早めれば、財務体質を悪化させるため、こうした手法をとった」と話す。


 新藤宗幸・千葉大教授(行政学)は「財団が一定の公共性を持つのは事実だが、返済が滞れば、将来、税金で穴埋めを迫られる可能性がある。府市は財団との関係を最大限情報開示すべきだ」と話している。

(asahi.com)


注意:某財団がどうのとか、そっち関係の話題じゃないので、あしからず。どっち関係であろうと変な話と思ったんで取り上げたまで。なお、upするまで時間がかかってるのは、単に忘れてただけ。


ふー、びっくりした。まず驚いたのが返済に200年超かかるというスキーム。今から200年後って、もう23世紀 だよ。宇宙戦艦ヤマトなら白色彗星が襲ってくるころだよ。ガンダムならとっくに宇宙世紀に入ってる頃だろ。スペースノイドがコロニーに移住したり、戦争したり、若さゆえの過ちしたり、してんじゃねぇの?


そんな遠い未来にようやく完済か。すげえ壮大な計画だな。その頃に大阪府とか大阪市が存在してるかさえ分かんないのにね。だいたい今から200年前なんて、まだみんなちょんまげ結ってたわけで、その当時に今の大阪の状況を想像できたちょんまげがいるか?いないだろ。それぐらい200年の時の流れってのは重いんだよ。予測不能なんだよ。安易にリスケしてんじゃないよ。


大阪府と大阪市にはファイナンスの知識がある人間はいないのかしらんと、ちょっと心配。いや、きっといるんだろうけど本件にはタッチしてないんだろうな・・・。


お馬鹿な頭の不自由な役人にとっては元本が戻れば帳簿は合うのだろうけど、実質的に財団は70億円を返済していないってことになるんだよね。


財団にしてみれば、役所の仲介で25億円貸せば、200年以上かけて元本を返したことにしてくれるわけで。記事には書いてないけど、利子で返済するってことは、25億円については貸しただけで最終的に財団に返されるってことだろうから。自分の懐はまったく痛んでいない・・・。



ここで問題。


200年以上かかって回収する70億円の現在価値は、いったいいくらなんだろう?


毎年30百万円のアニュイティで70億円回収するとすると233年と4ヶ月かかるよね。20年国債の利回りが2.283%っていうこのご時勢に、233年ローンか。いくらの割引率にすりゃいいんだか・・・。


甘めに見て割引率5%とすると、だいたいPVは6億円ってとこ。そんな馬鹿なと思った方(大阪在住)は自分で計算して、233年の時の重さをかみ締めて欲しい。複利って怖いよね。


これじゃ、25億円を即金で返してもらって、45億円は債務免除のほうがまだましだね、腹は立つけど。


念のため、PVが25億円になって転貸する25億円に見合う(NPVがゼロとなる)割引率をはじくと、だいたい1.1%になる。国債の信用力より高くないとありえない利率。ちなみに70億円無傷で回収するためには、当然のことながら割引率がゼロでないと無理。


このへんは、ファイナンスの教科書の章末問題に実名で掲載して、未来永劫恥ずかしい思いをして欲しいところ。


なんか、マンハッタン島の土地売買におけるアメリカインディアンとオランダ人の話を思い出した。インディアンが380年前に売ったマンハッタン島の対価24ドルを複利8%で銀行に預けてたら、現在のマンハッタン島全部の土地を買い戻せるとかいう話。うろ覚えだけど。

 

それから、大阪府の言い訳や千葉大教授の話も的を外している。そもそも25億円を他に貸し付けられるってことは、少なくともその金は公益性とか公共性のある使途に使われてないってことだから、「財団が公益性・公共性を持つ」ってのはリスケを許容する理由になってないじゃないの?とっとと回収しちゃいなよ。


結局のところ、常識的にありえない話がまかり通るところに、私のような凡人の計り知れない事情があるのだろうなぁ。こわいこわい。

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2006-09-27

証券化は魔法の杖なのか

テーマ:ファイナンス関係

ソフトバンク、携帯事業を証券化――1兆4500億円調達


 ソフトバンクは25日、買収したボーダフォンの携帯電話事業の収益を事実上の担保に、「証券化」と呼ばれる手法で複数の金融機関から1兆4500億円を調達する方針を決めた。事業そのものを証券化するのが日本では珍しいうえ、規模の面でも過去に例がない巨額調達となる。通常の借り入れより低利での資金調達が可能で、買収に伴う利払い負担の増加を抑制する狙いがある。

 1兆円を超える「事業の証券化」の登場は、活発になる企業買収時の資金調達手法が多様化するという意味もある。

 ソフトバンクは4月のボーダフォン日本法人買収資金として期間1年の短期借入金で1兆1600億円を調達。借り換えを模索していたが、米系格付け会社による社債格付けが「投機的」水準のダブルBであるなど同社の財務体質は強固とはいえないため、利払い負担が膨らまないようにするのが課題だった。

(NIKKEI NET)


平気そうな顔して何気にテンパッている私。正直いって頭が回っていない。

でも気になるニュースは気になるわけで・・・。


とりあえず問題意識のみ書きなぐる。


今回やわらかバンクは短期で借りてた資金を携帯電話事業のキャッシュフローに紐付けたわけだけど、証券化によって良質なキャッシュフローは他の借入や社債には充当されなくなってしまうわけで、その分他の借入や社債のリスクは高くなる(≒金利引き上げにつながる)ことで、証券化の効果は相殺されてしまうんジャマイカ?


余計なお世話だけどさ。なんだか気になって夜しか寝られない。



そういえば、先日池袋を散歩してたらゲーセンで「やわらか戦車 」のUFOキャッチャーがあったっけ。

やわらかバンクの場合は、差し詰めこんなところか。実在の企業・人物とはまったく無関係。


やわらかバンクの心はひとつ 金借りたい 金借りたい

メインのたぐいは お持ちでないので 生まれて このかた 四苦八苦

電話の赤字 キムラに押し付ける

(いつか帳尻あわすから!)

黒字の事業は 担保に入れられる

(証券化!)

やわらかバンク やわらかバンク

他のツイズイを 許さぬ借金

格付を 下げられたら そこから ハ○ン

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2006-08-23

近年まれに見る喜ばしい話

テーマ:ファイナンス関係

ガウス賞に京大名誉教授の伊藤清氏・国際数学連合 (NIKKEI NET)



伊藤のレンマで有名な伊藤清 氏がガウス賞を受賞されたそうな。いや、めでたい。ガウス賞なんて聞いたことないけど・・・。副賞にエレキバン1年分ぐらいもらえるのかしら。


伊藤のレンマが発表されたのが第二次大戦中の話だから、私の中では伊藤教授はすでに歴史上の人物になってたのだけど、まだご存命だったのね。なんか新鮮な驚き。勝手に殺すなと言われそうだけど。


伊藤教授の功績ってのは要するに、オプション評価で用いられるブラック・ショールズ・モデルの基礎になる確率微分方程式(私のような数学オンチを悩ませる悪いやつ)を確立したこと。


伊藤のレンマがなければ、金融工学の発達はなかったと思うよ。んー、たとえて言えば、ガンダムの世界におけるミノフスキー博士 のポジション、かな。まぁ、それぐらいエライと。


日本には腐るほど経済系の学部があって、掃いて捨てるほど経済学者がいるらしいけど、世界的に通用する業績をあげたのは数学者の伊藤教授ってのも皮肉な話。ノーベル経済学賞も取れてないしね。世界第2位の経済大国なんだけどね、一応。


発表から60年以上たってからようやく受賞というのもあれだよな。人間やはり長生きはするものだね。ブラック・ショールズ・モデルを発表したフィッシャー・ブラックは早死にしてるからノーベル賞取り損ねたしね。共同発表者のマイロン・ショールズはノーベル賞もらったのに・・・。


なんにせよ、伊藤教授が再評価されるのは、まったく関係ない私にとっても嬉しい話。これにかこつけて、もう一度確率微分方程式を復習しようなんて気は、もちろんさらさらない。

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2005-12-01

Crystal Ball

テーマ:ファイナンス関係

構造計画研究所(Jasdaq4748)がすごい勢いで株価上昇しています。

たぶん某事件関係でしょうが、事件前のほぼ倍の株価。

 


姉歯プレミアム

 

この会社はファイナンスを勉強している方にはおなじみのモンテカルロシミュレーション・ソフト「Crystal Ball 」を日本で販売している会社です(本業はよく知りません)。私も修士論文を作成する際に活用させてもらいました。

 

この会社が翻訳に関与した「リアルオプションのすべて」という本は、リアルオプションに関して非常によくまとまっており、リアルオプションの考え方を理解するには最適でしょう。上記のCrystal Ballの試用版も付録でついており、お得感があります。

 

ジョナサン・マン, 川口 有一郎, 構造計画研究所
実践リアルオプションのすべて-戦略的投資価値を分析する技術とツール

 

最近はこっちのクリスタルボールのほうがお気に入りです。


The Flash Mind Reader

 

どうして当たるか分かりますか?目からうろこが落ちるかも知れません。

 


 



 



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2005-10-07

阪神タイガース上場の件について

テーマ:ファイナンス関係

ご老公がえらくご立腹。血圧上がって死にそうな勢い。


巨人渡辺会長激怒「村上阪神あり得ない」


そうですか、野球協約を盾にしますか。


野球協約はある意味買収防衛策の役割を果たしているわけで、まぁ納得。国籍条項については、某お口の恋人はどうなんだと。柔らか銀行だって外国籍の株主が50%超える可能性もあるわけで・・・。そもそも資金の出元はともあれ、村上ファンド自体は日本法人なので、タイガースの親会社である阪神電鉄の株主の国籍は日本ジャマイカ?


野球協約をつらつら見てみると、株主の変更手続きとか結構煩雑なので、そもそも球団自体の上場は想定していないと思われ。市場で株が売買される都度、手続きが必要なんじゃ、現実的じゃないなと。


そういうわけで、野球協約を変えずに実質的に上場と同じ効果をもたらすことができないかと抜け道を考える。


多分、阪神タイガース株式を対象とした子会社連動配当株 (トラッキングストック;TS)を発行すれば、ナベツネに一泡吹かせられるのではないかと。


1)TS発行後も阪神タイガース自体の株式は100%阪神電鉄が所有しているので野球協約はクリア。


2)ファンに広く株式(TS)を持ってもらえる。TS株主に対する優待も可能。


3)選手や監督にストックオプション(SO)を付与することも可能。


4)TS自体には議決権がないので、TSを買い占めても支配権に影響なし。したがって、某国で問題になっている敵対的買収に伴うファン離れもない。


5)TS発行による資金調達が(親会社経由となるものの)可能。渋チン阪神にとっては、ファンから補強費を調達するようなもん。


6)八百長の問題については、市場をナメるなと。そもそも選手や監督にSOを付与しているので、わざと負けるというインセンティブが働きづらい。


7)多分、タイガースを上場させるよりは、TS発行のほうが(阪神電鉄の発行となるので)容易と思われ。


8)そのうちソニーがTSの上場をやめるだろうから、唯一のTSになるかもよ。


こんなところか。


我ながら、今日は冴えてるなぁと思いつつ、別に阪神ファンでもなんでもないことに気付き、しばし呆然。まぁ、頭の体操ということで。


(関連エントリー)

欽ちゃんダービー実現か?

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2005-05-17

ファイナンスの迷い道くねくね(予告編)

テーマ:ファイナンス関係

タイトルを見てピン ときた方は私より少しご年配の方でしょうか。私は銀行員時代に上司がやたらカラオケで“くねくね”を歌うのでトラウマになりかけた思い出があります。ま、それはさておき。

 

えぇと、新学期が始まってひと月になります(追記:GWに準備してたのにUP忘れた・・・orz)。今年から大学院でファイナンスを勉強するという方もいるかも知れません。あるいは独学で勉強しようと考えている方もいるでしょうか。

 

私自身は残念ながら3月にファイナンス修士という学位を与えられ、大学院を追い出されてしまいました。まだまだ学び足りないこともたくさんあるのですが・・・。あとは勝手にやってくれってことでしょう。

 

自分がこれまで勉強してきたことを記録しておく意味合いと、今後同じ道を進まれる方の道しるべと思ってエントリーしようかと。多分ほとんどの方に興味のない話になります。

 

こういうガイド的なものは、本来その道を極めた人が書くべきで、私が書くのは大それた話なのでしょうが、往々にして、道を極めた人は自分の能力を基準にして、“常人には上れない絶壁を気合で踏破しました!”みたいな内容になってしまうことも多いと思うので、富士山の3合目ぐらいで日和って下山した(あるいは富士の樹海で彷徨って絶命した)私のような人間が失敗談を紹介するのも意味があるのかなと。他山の石にして欲しいというか・・・。

 

そうはいっても、一応こんな本を読んできましたとか、これはクソ本(金返せ!)、くらいなことしか書けませんが・・・。参考になるのか知らん?

 

あまりあてにせず、放置していただければ幸いに存じます。本編はぼちぼちとエントリーしていきます。最初は統計とか数学とかそのへん書こうかと。


(追記:すっかり忘れてたので、まとまった時間が取れたら掲載いたしたく)

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2005-02-10

ライブドアの本質

テーマ:ファイナンス関係
ライブドアの10―12月期、企業買収で連結営業益22%増

昨日ライブドアの第一四半期業況が発表された。ニッポン放送TOBの余波もあり、注目を集めていたわけで、早速konitanblogさん(このブログは分かり易くて個人的に凄く好き)でも取り上げられている。Richstylesさんとこでもポータルとしてのライブドアの実力について論じている。

ライブドアの業績について云々語るのが趣旨ではないので、数字で見てもらうほうがいいだろう。
(数字はすべて連結ベースの四半期数値、単位は百万円)

(表をご参照)

これを見る限り、「あっ、凄いじゃんホリエモン。筍みたいに成長してるじゃん!」と思ってしまう。報道でも「前期比283.4%増加」とか平気で書かれている。早とちりして株を買ってしまう人もいるかも知れん。

もう一個数字を出す。これはセグメント別の売上高。

(表をご参照)

売上の殆どをイーファイナンス(これは買収したライブドア証券、ライブドアクレジット等)で稼いでいることが分かる。急拡大しているモバイルソリューション、ソフトウェアに関しては、子会社化したライブドアモバイル(携帯販売屋)、買収した弥生の数字が入ったため。要は、買収した企業の売上が加算されているだけって構造。

ライブドア単体での売上高は2,287百万円(7.8%増加)にとどまる。確かに話題を振りまいたこともあって、ポータルサイトの売上は成長したろう(それももともと買収した会社だけど・・・)。特段急成長企業というわけでもない。成長イメージに騙されてはいけない。

何が言いたいかというと、ライブドアを普通の会社と錯覚してはいけないということ。実態は、投資ファンドをイメージしてもらうほうが理解しやすい。名づけてホリエモンファンド。つまりライブドア本体をファンド運営者と見立てた場合、連結子会社群がファンドのポートフォリオという形。ファンドマネージャーは黒Tシャツの若旦那。

単にファンドの規模が大きくなったから凄いですねと投資ファンドを誉める人はいない。ポートフォリオ企業の売上を連結して、俺たち成長してるねって悦に浸っているファンド関係者もいない。ファンドの評価は当然投資家に対してどのようなリターンを与えたかで決まる。もちろん評価された結果として資金が集まってファンドの規模が大きくなるということは素晴らしいことで、賞賛に値するが・・・。

ホリエモンファンドが、上記の評価されたファンドのケースと違う最大のポイントは、買収した企業を連結して成長イメージを作り出して、新たな資金を集め、さらに買収を繰り返して規模を拡大するという手法にある。これは厳密には成長とは呼ばない。さらにホリエモンファンドのリターンは通常の投資ファンドに要求されるリターンを充足していない(少なくともここ数ヶ月は株価下落してるしね。)

で、ホリエモンファンドはこの先どこに向かうのかねぇ。
個人的には非常に興味あるのだが・・・。
ファンドに組入れる会社でも見繕って持参しようかしらん?

(追記2/11)
ホリエモンファンドは当然のことながら洒落のつもりです。ライブドアと投資ファンドの違いは、ポートフォリオカンパニーに対するシナジーの有無にあると思っています。(ストラテジックインベスターとフィナンシャルインベスターの違いといえば分かりやすいかな)

ライブドアは少なくともポートフォリオの中でのシナジーについては追求しているはず(何でもいいから買うよといってる役員もいるようだが・・・)。これが投資ファンドとの最大の違い。

ただ、投資をして、如何に回収するかという点に関しては、ストラテジックとフィナンシャルの違いはありえないので、ホリエモンがどのように投資の回収を図るかについては、乞うご期待といったところ(笑)。自転車操業だからそんなところまで気にする余裕はないかなぁ・・・。 
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2005-02-05

教科書補完計画(笑)始動!!

テーマ:ファイナンス関係
修士論文を提出したのも束の間。指導教授から呼び出しが・・・。

「ふぐ食べたくね?」

「(二つ返事で)食べます!!」

教授のお膝元でふぐ会食。

用件は、教授が先ごろ上梓した「コーポレートファイナンスの原理」の続編の話。この本の原書は第7版が既に出版済みで、現在泣きながら翻訳作業中とのこと。で、この本は良いテキストだが、当然ながら日本の事例が欠落していると。これを補完する副読本として日本の事例を盛り込んだテキストを出版したいとのこと。

「なるほど、大変ですねぇ。」ふぐをつつきながら上の空で話を聞いている私。

「そう、大変なんだよ。3月末締め切りでよろしく。私は翻訳のほうが忙しいから。」と爽やかに教授。

「・・・。」

ということで、ふぐに釣られてテキスト執筆を引き受けてしまいました。とりあえずは、こんなところを軽やかに書き上げて欲しいそうな。

・日本の会計と税制
・日本の証券市場
・日本企業の資金調達方法
・日本企業の資金管理
・日本の企業破産と清算手続き
・ケーススタディ

今回はRWJのテキスト(下の奴ね)の副読本として出版予定だが、将来的に内容を充実させて独立したファイナンスのテキストにしたいとのこと。日本のファイナンスのテキストは中途半端なものが多いので、いずれはRWJのテキストのようにスタンダードにしたいなぁと。

将来的なビジョンというか意気込みはさておき、目下の課題はドラフトをいかに書き上げるかということ。テキストとはいえ、面白みのないものにはしたくないな。内容を鋭意検討中。どうなることやら。このブログのトーンと違い、当然真面目に書きます。乞うご期待。

ちなみに、下のテキストの売れ行きが悪いと没になる企画らしい・・・。それって徒労ってことですか? > 教授



著者: Stephen A.Ross, Randolph W.Westerfield, Jeffrey F.Jaffe, 大野 薫
タイトル: コーポレートファイナンスの原理
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2005-01-25

無借金経営の幻想

テーマ:ファイナンス関係
1月23日付け日経新聞の記事。

上場企業の3社に1社が実質無借金に・昨年9月末

以下引用

 上場企業の財務が改善している。現預金などの手元流動性が借入金などの有利子負債を上回る実質無借金の企業は昨年9月末に全体の3社に1社にのぼることが、日本経済新聞社の調べでわかった。3月末にはNTTドコモやヤマハなども仲間入りする見通し。資産売却に加え収益力の向上で有利子負債を削減した結果、企業は投資などに充てる資金面での自由度が高まっている。

 対象は金融と新興市場を除く3月本決算上場企業1687社。連結で実質無借金の企業は9月末に591社と3年前より70社程度増え全体の35%を占めた。バブル崩壊で財務が傷んだ10年前は全体の27%(単独ベース)だった。


ふーん。

手元にキャッシュがあれば資金面での自由度が高まるのは当たり前の話。でも手元にキャッシュを置くことは、投資家の要求するリターンを得られないので、一刻も早く、配当か自社株買いで投資家に返してしまうのが賢い経営者と思う。

この記事を読んでいると、実質無借金はいいことだ、という暗黙の前提が置かれているようだ。

これに限らず、日本の企業には無借金信仰があるように思われてならない。
「借金は悪」という考えは、日本の公開企業が依然として中小・零細企業の発想がDNAに染み付いているせいだろうか。

確かに代表者の個人保証を求めてきた日本の金融慣行の下では、会社の借金=個人の借金という図式が成り立つのも不思議ではない。所有と経営が未分離な中小・零細企業ならなおさらである。

加えて、過去数年の金融機関によるいわゆる「貸し渋り」で痛めつけられた記憶が依然として鮮明であることも要因に挙げられるかも知れない(余談だが、私の経験上、「貸し渋り」と文句を言う企業に限って、逆立ちしても貸せない財務状態にあったように思う。)。

勢い余って、会社の業績が上がったとたん、せっせと手元キャッシュを積み上げているようだが、本当にそれでいいのか?

昔のエントリーで書いた記憶があるが、現預金+企業価値=借入金+株式価値という等式を紹介したように思う。

この式を少し変形すると、次のようになる。

企業価値=借入金+株式価値-現預金

この式において、キャッシュリッチな企業というのは、借入金<現預金という状態にあるが、このことが意味するものは、企業価値<株式価値ということである(分かりますか?)。

つまり、企業価値と株式価値の差額に相当する部分が、キャッシュとして(無駄に)滞留しているというわけ。魅力的な投資対象事業がない、という言い訳でキャッシュを溜め込んでいる企業もあるように思う。

株主としては、その余剰資金を事業につぎ込んで企業価値を高めて欲しいところだが、上記の日経の記事を読む限り、手元で死蔵させているようだ。将棋にたとえれば、持ち駒にした飛車角を使わずにおいているようなものか。

ということは、株主として本来要求すべきなのは、配当として余剰キャッシュを返してもらうこと。そしてその資金でより有望な企業に投資すればいい。無駄に銀行の預金残高を積み上げておくのなら、配当で返してもらって、タンス預金にでもしたほうがまだマシってもの。

スティールパートナーズや村上ファンドの行動が新聞を賑わすケースが多いが、これは株主として当たり前の行動だと認識している。一般には好意的に受け取られていないようだが・・・。

経営者が、余剰キャッシュは株主のもの、という本質を見失わなければ、彼らの付け入る隙は生じないと考えるが、いかがなもんか。

まぁ、要は、企業価値を高める投資対象があれば、借金してでも投資すればいいし、投資対象がないのであれば、いつまでも手元に残してないで、借金を返すなり、投資家に還元するなりすればいいんじゃないのってこと。

書き忘れたが、銀行等債権者からするとキャッシュリッチな企業はありがたい。返済原資は手元キャッシュがもっとも確実だからだ。今回のエントリーは株主の視点から書いている。そして経営者は(銀行のではなく)株主の代理人に他ならない。この点、企業の経営者は認識を欠いているように思われてならない。
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2005-01-20

懲りずに地震のエントリー

テーマ:ファイナンス関係
山口さんとこでも地震を取り上げてた。

こないだの地震エントリーで自爆してしまったので、今回は控えめに。
簡単に感想を書いときます。

山口さんの提案は、①自治体間リスク取引市場の創設と②逆保険だ。
どちらも面白い提案だと思います。詳しくは上記のリンク先からどうぞ。

①は、いわゆる頼母子講みたいなものです。みんなでちょっとづつお金を集めてプールしておいて困った人に払うイメージ。山口さんのはこんな単純じゃなくて、市場メカニズムを導入して地震リスクを取引することを想定しているわけです。

一口に市場メカニズムといっても、機能させるのは意外に難しいのかなというのが率直な感想です。

おそらく根本的な問題は、地震リスクは自治体ごとに偏っていて、かつそれが経済力の分布と一致していないことにあるのかなと思います。

地震リスクの高い自治体は必然的に他の自治体のリスクを多く引き受ける必要がありますが、それを可能にするだけの経済力があるとは限りません。リスクを負うだけの経済力のない自治体からは住民が移動してさらに経済力が落ちる、という可能性も指摘できます(これこそ市場メカニズムですが)。

次に、地震の規模と被害額は必ずしも相関しないことから、地震リスクを金額で評価しづらいこともネックになるかと思います。

支払をどのように担保するのかという点も問題点かな。例えば首都圏に大震災が生じたとして、その被害をカバーする資金の拠出が可能なのか。リスクを引き受けるだけ引き受けて、支払できない自治体が生じないとも限らないし・・・。

まぁ、そんなところです。詳しく考察していないので違ってたらスミマセン。またお詫びエントリーします(笑)。

②については、何となくイギリスのロイズ保険組合の仕組みをイメージしてしまいました。投資商品に仕立てるところがさすが山口さんですね。

とはいえ、私がこの商品を買ったとして、どこぞで大地震がおきて資産を失ったら、凄い勢いでその地域を恨みそうだ。期限切れの食料を送っちゃうかも知れない。人格否定されそうだ。損をして、軽蔑までされたら、踏んだり蹴ったりだな・・・。ある意味人間性が問われる商品になりそうな予感。

こんなところでいかがでしょうか。

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