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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと


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BGM:アントニオ猪木テーマ曲『炎のファイター』

 

 

「ハヤブサ一周忌追悼興行」の翌日1日、午前中から生前に江崎英治さんが兄のように慕った新崎人生と八代市日奈久のご実家へと向かいました。もちろん、ハヤブサ選手の御仏前に手を合わせるためです。母・江崎千恵子さんと弟・貴範さんに手厚く迎えられ、お話をしました。その内容は広くプロレスファンにも伝えたいものでしたので、場を改めてお知らせしようと思います。

 

その後、熊本市内に戻りホテルキャッスルへ。前夜、一周忌追悼興行の会場でビアホールMANのスタッフさんから「明日、マスターの50周年を祝うパーティーをおこなうんです。もしお時間がありましたら、いらっしゃっていただけませんか?」とお誘いを受けていました。

 

ビアホールMANとは熊本のプロレスファンなら誰もが知っている社交場で、マスターの村田善則さんはハヤブサ&ミスター雁之助が熊本商科大学のプロレス研究会時代から面倒を見ていた方です。83歳となった今もご健在で、会場で再会するやとても高齢とは思えぬ俊敏な動きのシャドーボクシングを披露し、驚かされました。

 

▲ハヤブサ一周忌追悼興行を終えたあとも、もちろん店に立った村田先生。お祝いのケーキと花束を贈られた

 

若い頃からボディビルで体を鍛え、その縁あってアントニオ猪木さんとも知り合いとなり、昭和の新日本プロレスが熊本巡業へ来ると選手たちが店に顔を出していました。猪木さんに惚れたマスターはそのブロンズ像を作るようになり、当時の専門誌に広告が掲載されてファンの間でも知られるようになったのです。

 

▲昭和のプロレス男子ならば誰もがほしがった猪木ブロンズ像。「見るだけで勇気が湧いてくる!」という当時のキャッチコピーは秀逸だった(ビアホールMAN HP「MAN SPORTS BRONZE」より)

 

1992年2月、FMWでデビューした江崎英治&本田雅史(その時点でリングネームはミスター雁之助)が初めて熊本へ凱旋したさいマスターを紹介されたのですが、まさかそのお方があの猪木ブロンズ像の作者だとは…もっと職人気質のカタい人だとばかり思っていたら、初対面でいきなり「おー、二枚目!」ですよ。

 

「二枚目」というのはビアホールMANにおける挨拶代わりのようなもので、二枚目だというだけで「5割引き!」となるザル会計。ただし、マスターが進めたビールが飲めないと「なんだと? じゃあ5割増し!」となります。ノリだけで言っているのかと思いきや、よく見ると奥様(夫婦同い年。週プロの中嶋聖カメラマン似)はそのたびに伝票へ書いており、一応本当に計算をしているようでした。

 

▲パーティーで飾られた50周年を記念した奥様との似顔絵。ハヤブサ&雁之助にとってはもう一組の父と母だ

 

一度5割引きしたものを5割増ししたからといって計算上は10に戻らないので(1000円だったら750円)、これがどんどん進むとややこしくなります。最終的には正規の値段からどう変わっていようが、それを細かく言うお客さんもいません。

 

▲ビアホールMAN名物の馬力焼。馬肉とネギを炒めたシンプルなものだが、ここでしか食べられない絶品。ハヤブサも雁之助もこれを食べてプロレスラーになったのだ

 

そんなことより、そういったマスターとのやりとりを楽しみに来ているのですから。とにもかくにもブロンズ像作者ということで初めて出逢って以来、マスターを「先生」と呼ばせていただいてきました。

 

週プロ在籍時は熊本へいくと必ずMANに足を運んでいました。最後にお会いしたのは2006年6月、ハヤブサ選手が地元でライヴをおこなうというので仕事ではなくプライベートで訪れたのが最後だったと記憶しています。

 

なので今回は約10年半ぶりの再会となったわけですが、本当に形状記憶人間ではないかと思うほど風貌もノリも変わっていなくて安心しました。ところで50周年というのはなんのことなのか。スタッフさんに聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

 

「じつはマスターによると、お店をスタートさせたのがいつ頃だったのかハッキリしないそうなんです。もしかするとまだ50年経っていないかもしれないし、もう50年を過ぎているのかもしれない。でも、それに関係なく今回はマスターにお世話になった人、マスターが好きな人たちが感謝の気持ちとしてお祝いをしたいという思いで開催しようと。だから50年というのはアバウトです」

 

以前は夫婦2人で店を切り盛りしていた先生ですが、この数年は奥様も次第に立ち仕事がキツくなってきたため、MANを愛する若者たちがスタッフとして働くようになりました。加えて常連客、世話になったプロレスラーや関係者などが秘密裏にプランを練り、当日まで先生には内緒で試合を見せて喜ばせたいとなりました。

 

▲試合のために入場してきた雁之助は、リングインする前に村田先生のもとへいきハグを交わす。先生も「雁之助、頑張れよー!」とばかりにゲキを飛ばした

 

会場に入るや、目の前にリングがデン!と組まれていたため先生は驚きました。猪木さんからはビデオメッセージが届き、さらにはサプライズゲストとして藤原喜明組長も熊本へと駆けつけたのです。

 

各団体やプロレスラーからの花も多数届き、丸テーブルには「馬力焼」「ちくわ」というようにMANのメニューの名前がつけられる趣向。何もかもに先生へ対する真心がこめられていました。

 

▲熊本出身・堀口元気H.A.Gee.Mee!!からも花が届いていた

 

▲広いパーティー会場がいっぱいになるほどの人数が村田先生をお祝いするべく出席。手前の席は「フランクフルト」でその向こうは「怪力焼」と、MANのメニューがつけられている

 

私が日奈久から会場へ滑り込んだ時点でパーティーは佳境へ入っており、雁之助vs宮本裕向のシングルマッチがおこなわれようとしているところでした。すでに試合を終えた選手たちもリング下で観戦。先生は、奥様と組長にはさまれながらテーブルから選手を見守っていました。

 

▲左の後ろ姿が藤原組長

 

▲観戦しているところを押さえるべく声をかけたところ「おー、二枚目! 来とってくれたんか―。ありがとう、ありがとう!」と話が始まってしまったため「せ、先生、試合中ですので…」

 

試合は蒼魔刀、ファイアーサンダーを繰り出した宮本がムーンサルト・プレスで前夜の6人タッグマッチで敗れた雪辱を果たしました。その後、出場選手がリングに上がり、先生を囲みます。だいぶ時間が押していたようなのですが一人ひとりと握手を交わし、言葉を投げかけるためなかなか段取り通りに進まず、司会の方の泣きが何度も入ります。

 

▲この蒼魔刀がマトモに雁之助の顔面を直撃。それでもピンフォールを許さないのだからプロレスラーはすごい

 

▲前夜のハヤブサ一周忌興行メインの6人タッグマッチでははやぶちゃ→雁之助の連係に沈んだ宮本だったが、シングルではキッチリと師匠に雪辱

 

▲熱戦を繰り広げた2人にスタンディングオベーションで拍手を送る村田先生

 

じつはこの時、雁之助は蒼魔刀を受けて顔面を痛めていました。あとになって病院で精密検査を受けた結果、顔面多発骨折で全治3ヵ月と診断される重傷…上顎と鼻骨と眼窩底が10箇所骨折していたそうです。

 

▲リング内へ呼び込まれた村田先生はまず何より先に、顔面へ痛みが走り立ち上がれない雁之助へ手を差し伸べた

 

それでも最後まで闘い続け、試合が終わっても先生に対し感謝の意を述べて記念撮影にまで収まったのです。欠場により決まっていたカードが流れるのは残念ですが、追悼興行の翌日には先生のために試合をするというスケジュールで激走する盟友に対し、ハヤブサ選手が「おっさん、そう急ぐなよ。ちょっとは休め」と言ってくれていたような気がします。

 

▲あの鬼神道も先生の前では深々と頭を下げる。長崎から熊本の大学にやってきた本田青年にとっては、本当に親代わりのような方だった

 

多くのかわいい選手たちに囲まれ、記念撮影に収まったあと猪木さんよろしく「1、2、3、ダーッ!」と力強くコブシを天に向かって突き上げた先生。『炎のファイター』と万雷の拍手の中、花道を去るさいにはそっとハンカチで目を拭っていましたが、扉を出たあとは例によって控室に戻らず立ち止まり、出席者の方々をつかまえては「ありがとー、ありがとー!」と喋り続けて止まりません。

 

▲83歳のダーッ!は猪木さんよりも高齢。このコブシを突き上げるポーズひとつをとっても、しゃんとしているのがわかるだろう

 

その横をすり抜けるようにして、私は東京へ戻るべく熊本駅へと向かいました。初めてお会いして26年後に、このような形で先生への感謝を伝え、皆さんにお祝いされる場へ立ち会うことができるとは想像していませんでした。これもハヤブサ選手や雁ちゃん、そしてMANスタッフの皆様のおかげです。そして先生にはあと100年、誰よりも二枚目でいていただきたく思います。

 

【関連リンク】アントニオ猪木ブロンズ像の製作者による オーダー注文&限定品の直売「MAN SPORTS BRONZE」

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