混迷する日本の社会保障改革(14)

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混迷する日本の社会保障改革(14)

<前回より>

年金支給額の上昇をおさえる「マクロ経済スライド」を強化する国民年金法改正案は11月29日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決されました。

今回の年金法改正案には、現役世代の将来の年金受給水準を維持するため、賃金の変動に合わせて年金額を改定する仕組みが盛り込まれています。物価が上昇しても賃金が下がり、年金額も下がる可能性があるため、野党は「年金カット法案」と批判していますが、新ルールは年金制度の持続可能性を高めるために必要な方策の一つと言えます。

公的年金は毎年の物価や現役世代の賃金の変動に合わせて、支給額を改定しています。これまでは物価よりも賃金が下がった場合には、原則として物価分だけしか支給額を減らさない、といった仕組みになっていました。

新ルールでは、賃金が減るならばそれだけ現役世代が苦しくなり、年金制度を支える力も弱まるので、賃金が減った分と同じだけ年金も減ります。さらに今回の法案には、年金受給者の増加や現役世代の減少に合わせて、年金支給額を毎年小刻みに切り下げていく「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みの見直しも盛り込まれています。

内閣府調査によると、マクロ経済スライドが発動された場合、公的年金をもらえる額から支払った額を差し引いた生涯収支を世代間で比べると1955年生まれ(61歳)世代の収支は数千円のプラスに縮小し、それ以下の世代の収支はマイナスになります。最も損をする1985年生まれ(31歳)は712万円の受け取り不足になります。

今回の対策のほかにも、制度の持続可能性を高めるためには、年金の受給開始年齢の見直しや、私的年金の充実などの大きな改革が避けて通れない状況となっています。いまの現役世代の皆様は、自分の年金は自分で作る時代が来た、と考えるのが賢明です。

<次回へ続く>

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