混迷する日本の社会保障改革(13)

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混迷する日本の社会保障改革(13)

<前回より>

敗戦を告げる玉音放送の半年後の1946年2月16日夕刻の渋沢敬三蔵相によるラジオ演説で国民は「国家財政の敗戦」を知らされました。「預金の支払制限 世帯主三百円」「新日銀券を発行」……。

元財務相の藤井裕久氏(84)は「旧円に証書を貼った紙幣を新円代わりにしたことをよく覚えている」と語っています。預金封鎖と新円切り替えの準備は極秘に進められ、新札を刷る余裕がなかったためです。

米経済学者のカーメン・ラインハート氏とケネス・ロゴフ氏は金融危機の歴史を研究した大著「国家は破綻する」で事実上の国内債務デフォルト(不履行)の例に終戦直後の日本を挙げています。同書によると45年のインフレ率は568.1%。政府は国民の財産を吸い上げ、インフレで債務の実質価値を目減りさせて、戦時国債で借りたお金をなんとか返したとのことです。

70年後の日本、ネット上には「発行残高1000兆円の国債は政府の債務で国民は1000兆円の債権者」「国債のほとんどは国内で消化しているから財政破綻には至らない」といった言説があふれています。戦時国債もほぼ国内で消化され、国民は債権者だったが紙くず同然になってしまった過去を既に忘れてしまったかのようです。

今の日本の財政状況は異常です。国際通貨基金(IMF)の最新の統計によると日本の国内総生産(GDP)に対する債務残高は249%でギリシャの178%を大きく上回っています。第2次世界大戦中の44年の204%より高く、古今東西を見回しても46年の英国の270%に匹敵し、大戦でもないのに史上最悪に近い状況と言えます。

それでも日本には1,700兆円と言われる豊富な個人金融資産があるため、国家は最終手段として預金封鎖と新円切り替えを行なうことで、財政破綻を回避することができます。さすがに現代において預金封鎖はあり得ないと思いますので、現実的には今後さらに深刻になる少子高齢化社会に備えて、税収を増やし、社会保障関連費用を効率化することで対応していくことになると思います。

消費税10%引上げは再延期となり、人口減少が続く日本で今後の税収増は望むべきもありません。今後はやはり国民年金、国民健康保険といった社会保障関連費用が大幅に縮小されていくことを前提として、全ての日本国民は自らの老後を自らで守る必要性に迫られています。現在の現役世代の皆様は、老後の暮らしを公的年金制度に頼ることなく、自分の年金は自分で作る時代が来た、と考えるのが賢明です。

<次回へ続く>

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