2015年06月25日

オレキシン講演メモ

テーマ:肥満

昨日筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構教授の船戸弘正教授のご講演を聞く機会がありました。


一番興味深かったのは、食欲を亢進させる神経ペプチドとして同定されたorexinをマウスで過剰発現させると、むしろ高脂肪食負荷時に体重増加抑制効果が見られるということ。


OrexinAの受容体OX1RとOrexinBの受容体OX2Rがあり、ノックアウトマウスを使った実験によれば体重増加抑制効果はOX2Rが担っている。OX2R agonistは食事誘導性肥満を抑制すると考えられるが、身体活動時間は不変であり、基礎代謝が上がっているためと推測されるとのこと(褐色脂肪細胞でUCP1の発現が上がっているなどから)。一方OX2R agonistによる減量効果は期待できないかもと。


生命活動の複雑さに、昨夜もまた圧倒されました。

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2009年09月14日

お勧めのダイエット本

テーマ:肥満

『先生、どうやってヤセたんですか?』

WAC BUNKO

山田春木


合理的かつ実践的な、中高年向きのダイエット本。

著者は、社会保険中央総合病院の内科部長。


勤務している病院の薬局に、採用してほしいぐらい。

肥満症患者で、この本を処方した群と対照群でrandomized controlled studyを組むと、有意差が出るのではなかろうか。



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2008年03月14日

第二のカナビノイド1型受容体拮抗薬(食欲抑制薬)

テーマ:肥満

カナビノイド受容体(CBR)は、マリファナの受容体として同定されました。

1型と2型があり、1型が主に食欲調節、2型が主に精神神経作用を担うとされます。

マリファナを吸うと食欲が出ることから、CB1Rをブロックすると食欲抑制を来たしダイエット薬になるのではないかと考えられ、2年ほど前にサノフィ・アベンティスというフランスの製薬会社がリモナバンという薬を発表し話題になりました。


懸念されていた精神神経系の副作用(うつなど)が一定の確率で見られることから、リモナバンは欧州数カ国では認可されているもののアメリカFDAは認可していません。FDAの決定を受け日本でも認可がおりにくい状況のようです。


メルクというアメリカの製薬会社が、より選択性が優れているとされる第二のCB1Rの拮抗薬タラナバンを開発しました。第1相短期臨床試験の結果では、有効性は確認されましたがやはり精神神経系の副作用があるようです。2相試験の結果はどうなるでしょうかね。


文献; The Acyclic CB1R Inverse Agonist Taranabant mediates weight loss by increasing energy expenditure and decreasing caloric intake.

Addy C et al. Cell Metabolism 7, 68-78, 2008



リモナバンもタラナバンも、欧州・米国ともに断念。

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2007年10月26日

visfatinはうそなのか

テーマ:肥満

当ブログの2005年3月12日づけの記事で少し触れたvisfatinの論文(Scienceという一流誌)が取り下げられた、という本日のニュースがありました。


visfatinはScienceに掲載された後、研究にあまり大きな進展が見られずどうなったのかなあ、と思っていました。


同じ研究室から、PTENという遺伝子の働きに関し2004年にNature Medicineという一流紙に発表された論文が捏造であったと以前に発覚しています。


真実を追い求めるべき研究者が不正な研究をしてどうするんでしょうか???何を目的として研究をしているのでしょう。自分で実験ができない臨床医は、医学のフロンティアを走る一流Laboの成果に敬意をもって注目しているのです。大変残念なニュースです。

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2006年05月27日

新しいやせ薬

テーマ:肥満

東京の国際フォーラムで、5/25-27に日本糖尿病学会が開かれています。

5/26のモーニングカンファレンスで、新しい食欲調節メカニズムの解明と、そのメカニズムに作用する食欲抑制薬『リモナバンRimonabant』に関する講演がありました。


Mayo ClinicのDr. Jensenによると、脳の視床下部内に存在するオピオイド受容体の一種であるカナビノイド受容体は食欲中枢に関与しています。神経週末から放出される神経伝達物質であるendocanabinoidがカナビノイド受容体(CB1 receptor)に作用すると、食欲が亢進します。既知の食欲抑制ホルモンであるレプチンも、CB1 receptorに抑制的に作用するようです。CB1 receptorは視床下部の他に脂肪、肝臓、筋肉、消化管に存在します。カナビノイド系は脂肪細胞においては内臓脂肪蓄積に働きます。


サノフィ・アベンティスという会社がカナビノイド受容体拮抗薬『リモナバン』を開発しました。サノフィ・アベンティスは世界第3位、ヨーロッパでは第1位の製薬会社です。リモナバンを投与すると、主に内臓脂肪が減少することにより9割の人で体重が5%以上減少しました。また、高脂血症・糖尿病・高血圧の改善効果が認められ、善玉アディポサイトカインであるアディポネクチンの上昇作用がありました。


どうやら、このカナビノイド系は食欲調節のメインシステムではなく微調節用のサブシステムのようです。実際、マウスでCB1 receptorをノックアウトしても内臓脂肪が消失する以外に生存に大きな問題はなさそうです。従って、CB1 receptor antagonistであるリモナバンは安全に使用できるようです。つまり、体重減少効果も限定的ではある、ということですが。


以上の結果はNew England Journal of medicineに報告される予定だそうです。アメリカでの発売まで1年、日本では4年後の予想だとか。1錠300円ぐらいのコストということ。なんだか、薬局で売ってもバカ売れしそうな気がしますね。因みに主要な副作用は1割未満の頻度で吐き気だとか。


PS. 耳学問につき、多少不正確な点はあるかもしれないことをお含み置きください。

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2006年03月31日

レプチン抵抗性と内臓脂肪

テーマ:肥満

肥満や食欲調節のメカニズムの解明が進んでいます。


脂肪細胞は、単に余剰エネルギーをストックしているだけではなく、アディポサイトカインと呼ばれる一群のホルモンを分泌していることが分かっています。


善玉アディポサイトカイン

・レプチン        血中濃度は体脂肪量と正比例、食欲抑制作用

・アディポネクチン   血中濃度は体脂肪量と反比例、インスリン作用増強・内臓脂肪分解など


悪玉アディポサイトカイン

・TNF-α

・レジスチン

・FFA


体重調節のメカニズム

体脂肪量増加→脂肪細胞からレプチン分泌増加→視床下部の食欲中枢→食欲低下


体脂肪量減少→脂肪細胞からレプチン分泌低下→視床下部の食欲中枢→食欲増加


このように、体重の恒常性が維持されるメカニズムが、私たちの体内には内在しています。しかし、実際に太っている人は、レプチンが食欲中枢に効きにくい状態(レプチン抵抗性)になっています。


内臓脂肪の代謝促進がレプチン感受性を亢進させる、という研究成果が今年3月に発表されました。内臓脂肪から、視床下部の食欲中枢に向かっている神経が存在し、その神経を伝ってシグナルが伝達される結果、食欲中枢のレプチン感受性がコントロールされていることが判明しました。


文献:Signal from intra-abdominal fat modulate insulin and leptin sensitivity through different mechanisms: Neuronal involvement in food-intake regulation. Cell Metabolism 3,223-229, 2006



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2006年01月13日

睡眠時無呼吸

テーマ:肥満

BMIが30を上回るような人の場合、死亡(原因を問わない)や脳梗塞のリスクとしては睡眠時無呼吸が一番大きいようです。高度肥満者では、糖尿病、高血圧、高脂血症よりも睡眠時無呼吸の方が死亡率や脳梗塞の発生率を上昇させます。高度肥満者の心筋梗塞に関しても同じような報告があります。


文献:Obstructive sleep apnea as a risk factor for stroke and death. H.K. Yaggi et al. NEJM 2034-2041, 2005



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2005年10月20日

天天素に含まれていた薬剤が治験中

テーマ:肥満

天天素という違法なダイエット食品がしばらく前に問題になりました。麻薬性の食欲抑制剤であるマジンドールと、シブトラミンという日本で承認されていない薬剤が含有されていました。死亡を含む健康被害が報告されています(http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/050527-1.html )。

このシブトラミンが、現在治験中だそうな。セロトニンやノルアドレナリンの再取り込み阻害作用がありますが、末梢での交感神経活性を上昇させ基礎代謝を上げるというよりも、中枢に作用して食欲を抑制するというのが主な作用機序らしいです。しかし、不整脈や心筋梗塞のリスクがあるだろうことは容易に想定できます。

いくら毒にもなるから薬にもなりうるとはいえ、倫理的に問題があるような気がしますね。メーカーはもっと安全な薬の開発・発売を目指すべきだと思います。


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2005年04月24日

メタボリックシンドローム 2

テーマ:肥満

同テーマで3/12に記事を書いてきますが、この時点ではメタボリックシンドローム(代謝症候群)の日本人むけの診断基準がありませんでした。今月8日に、日本内科学会で日本の診断基準が発表されたので、追加記事を記載致します。

 

メタボリックシンドロームとは

血圧が高い、中性脂肪が高い、血糖が高いといった異常が軽度であっても、複数集積すると動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)が起こりやすくなるという概念です。軽度の異常が集積する根本的な原因として、内臓脂肪の蓄積があるようだ、と考えられるようになってきました。

 

メタボリックシンドロームの診断基準

 

必須項目

 男性:ウエスト85cm以上

 女性:ウエスト90cm以上

 

必須項目を満たした上で、下記の3項目中2項目以上を満たした場合にメタボリックシンドロームと診断。

1.血圧

  収縮期血圧が130mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上。

2.中性脂肪

  中性脂肪が150mg/dl以上、またはHDLコレステロールが40mg/dl未満。(朝食前採血で)

3.血糖値

 空腹時血糖値が110mg/dl以上。

 

解説

動脈硬化性疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)のコントロール可能な4大危険因子として、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、喫煙が挙げられます。個々の危険因子の治療は、動脈硬化の予防のために取り組まれて来た結果、一定の成果を挙げるに至りました。

特に高コレステロール血症は、そのメカニズムがノーベル医学賞を受賞した研究で解明されて以来、急速に進歩してきました。食事・運動療法でコントロール不良な場合、スタチン系と言われる薬剤が発見され使用されるようになってから、治療成績が格段に改善しました。スタチンは、抗生物質のペニシリンと同様にカビから発見された薬剤で、「血管のペニシリン」と言われる程に高コレステロール血症治療の第一選択薬(まず使うべき薬)として力を発揮しています。

高脂血症と言うと、高コレステロール血症と高中性脂肪血症がありますが、動脈硬化を起こしやすくする原因としては高コレステロール血症の方がより危険なため、高中性脂肪血症の治療は後回しにされてきた面もあります。しかし、高中性脂肪血症だけでなく、血糖や血圧が高めな状態も併発していると、個々の異常が糖尿病や高血圧の診断に至らない軽度の異常であっても、動脈硬化性疾患のリスクが4大リスクに劣らず上昇することが分かってきました。それらの異常集積の根本的な原因として、内臓脂肪の蓄積が考えられるようになってきました。

ウエストサイズについて

内臓脂肪量の評価は、厳密には腹部CTスキャンが必要ですが、なかなかそういう訳にもいきません。簡便な指標として、ウエストサイズが診断基準に採用されました。上記診断基準のウエストサイズが、おおむね臍の高さでCTスキャンを撮影した場合に、内臓脂肪の面積が100cm2に相当します。

男性と女性を比較して、女性が甘めになっています。女性の方が男子に比べ、同じBMIでも体脂肪率が高めですが、それはもっぱら皮下脂肪の蓄積によるものだからです。

血圧について

高血圧は、収縮期血圧140mmHg以上、拡張期血圧90mmHg以上です。収縮期血圧130~139mmHg、拡張期血圧85~89mmHgは正常高値血圧とされてきましたが、これぐらい軽度な異常でも他の異常を伴っていると無視できないという事です。

中性脂肪について

中性脂肪とHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)はシーソーの関係にあります。片方が上がると片方が下がります。

血糖値について

空腹時血糖値の正常値は70~109mg/dlです。糖尿病型と判定されるのは126mg/dl以上。110~125mg/dlは境界型です。血圧と同様、この程度に軽度な異常でも、他の異常を伴っていると無視できない、という事。

糖尿病との関係

糖尿病は太っている人も多いし、非糖尿病に比べ高血圧や高中性脂肪血症の頻度も高い。実際、糖尿病の約60%はメタボリックシンドローム型との報告もあります。糖尿病でも内臓脂肪の蓄積は原因として重要なのですね。

私がある日の外来で拝見した糖尿病の患者様で、新診断基準でメタボリックシンドロームと診断される人の割合を見てみた所、男性で21人中10人(48%)、女性で8人中0人でした。男性に比べ女性の方が動脈硬化性疾患を起こしにくいのは事実ですが、診断基準は女性に甘すぎるかも、という印象を持ちました。

 

 

 

 

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2005年03月12日

メタボリックシンドローム

テーマ:肥満
 メタボリックシンドロームという概念が注目されています。血圧高め、血液中の中性脂肪の値が高い、血液中のHDLコレステロール(善玉コレステロール)の値が低い、肥満、血糖が高めの5項目のうち、3項目以上に当てはまるとメタボリックシンドロームと言います。これらの異常は、一つ一つが軽度の異常でも、集積すると動脈硬化の大きなリスクになります。軽度のリスクが集積した状態をメタボリックシンドロームと名づけた、といった所です。
 メタボリックシンドロームの根本的な原因は内臓脂肪の蓄積であるという説を提唱している人がいます。大阪大学医学部の前教授の松沢祐次先生です。他に、インスリンの効き目が悪くなった状態がメタボリックシンドロームの根本的な原因だと考える人もいます。あるいは、軽度のリスクが集積した状態の根本的な原因など無くても良い、メタボリックシンドロームなど大げさだ、たまたまリスクが集積した状態に過ぎないだろう、と考える人もいます。
 今年の1月に、松沢前教授の説を裏付ける可能性のある論文がScienceという科学雑誌に発表されました。内臓脂肪から分泌されるホルモンが存在する、という報告です。Visfatinと名づけられました。脂肪細胞の発達(脂肪の脂肪細胞内への取り込み)を促す働きがあるようです。Visfatinの受容体はインスリン受容体と同一だが、インスリンとは受容体の結合部位が異なる、ということも報告されていました。
 肥満の科学は日進月歩です。Visfatinはどれくらい重要なホルモンなのか。その機能の更なる解析が待たれます。

追記

 細かいことを言えば、メタボリックシンドロームの定義は2通り提唱されています(WHO、ATPⅢ)。
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