2013年09月11日

実践的カーボカウント

テーマ:糖尿病

今日は徳島大学のA.K先生の御講演を拝聴。

実践的な工夫の数々に感動した。


糖質の計算法


ごはん(g) ×40%

パン・もち(g)×50%

麺類(g)   ×20%

全粥(g)   ×15%


おかずは一律 20g

(病院食のように理想的な量の場合)

外食のおかずは40g


ビール500ml 15g

蒸留酒は微々たるもの


(直径がおはしのサイズの関西風)お好み焼き 80g


カーボカウントで±10gの誤差は血糖コントロールに影響しない(Diabetic Med 26, 279-285, 2009)


インスリン効果値(インスリン1単位で血糖値が何mg/dl低下するか)


1700ルール(超速効型インスリンの場合、1単位で血糖は(1700÷1日総インスリン量)mg/dl下がる)

は正しいが、より簡便には


インスリン1単位で血糖は50mg/dl下がる

ただし1日総インスリン量が30単位未満の場合、インスリン1単位で血糖は100mg/dl下がる


炭水化物/インスリン比(血糖を変えないためにはインスリン1単位で炭水化物何g必要か)


500ルール(超速効型インスリン1単位と見合う炭水化物(g)は500÷1日総インスリン量)はおおむね正しいが、日本人の場合は300~400ルールの方がよりあっている。朝は300ルール、昼・夜は400ルールなど。


より簡便には炭水化物10gあたり超速効型インスリン1単位。


CSIIの工夫


Basal

飲み会や焼き肉などの場合は、basalを120%~130% ×10時間

(ペン打ちの場合は、食前に中間型インスリンを持効型インスリンの20%~30%注射。)


Bolus

・食前の10~15分にうつのが理想的。

・ぎとぎと豚骨ラーメンの場合~まず7割を注射、3割は5時間のスクエアで。


カーボカウントとは


初めて食べるものの必要インスリン量を概算するためのものだ

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2013年07月24日

米ハフィントン・ポストの衝撃

テーマ:社会

『米ハフィントン・ポストの衝撃』

牧野洋 著

アスキー新書


ハフィントン・ポストは1995年に創刊された米国のNo1ネット新聞だ。

一応日本版もある。

最近あることを契機にハフィントン・ポストに興味を持ち、この本を見つけたので読んでみた。

一言でまとめると、インターネット新時代を解説してくれる本としては梅田望夫『ウェブ進化論』以来の良書だった。紙媒体の新聞メディアの将来像を理解させてくれる。


本を読み終わってから著者に興味を持ち巻末の著者紹介を読んでみた。1960年生まれ、慶応卒。日経のニューヨーク駐在や編集委員を経て2007年に独立したジャーナリスト。秀逸だ。

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2013年07月09日

ゲノムが語る生命像

テーマ:遺伝子

『ゲノムが語る生命像』

講談社Blue Backs

本庶佑著


一番印象的だった記述は、日本学術会議が2012年8月、ゲノムコホート研究を推進すべしという提言を出したというくだり。いよいよGWASからwhole genome sequenceを用いた病気の原因遺伝子探索の時代へ移るのだな。

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2013年05月08日

老化と発がん

テーマ:循環器

東大循環器内科の小室先生の御講演を聞く機会があった。


先生が2007年のNatureに発表された、心肥大で虚血が起こる分子メカニズム(恒常的な圧負荷がかかると癌抑制遺伝子p53が誘導され、p53がHIF1の発現を抑制し、血管新生が阻害されて虚血になる)の解明研究についてさらに理解を深めることができた。


圧負荷や心筋梗塞などでDNA損傷が起きると、細胞は癌化する危険性が発生する。したがってDNA損傷により癌抑制遺伝子が発現する。癌抑制遺伝子は細胞の増殖を抑える作用を有するが、その中にHIF1発現抑制により血管新生を抑えるメカニズムも含まれるということ。


小室先生によると、細胞の老化の定義とは、「細胞が増殖を止めた状態」であるという。DNAが劣化してくると、細胞が増殖するときに癌化のリスクが増大するので、老化のメカニズムが発動し細胞は自発的に増殖を止めるという。つまり老化はがんの発生を抑制している。増殖を止めた細胞自体は代謝活動が活発であり、アポトーシスによる細胞死も起こさない。


心筋細胞や神経細胞など、もともと増殖しない細胞の老化の定義は難しく、まだ定義が存在しないという。


また近年、老化のマーカーと言える血中で測定可能な物質が同定されたという。それは補体のC1qであるという(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3529917/ )。


HIF1の臨床的な役割に関して、興味深い話もあった。重症な閉塞性動脈硬化症でPTAもバイパス手術もできない人に、単核球を足の筋肉に筋注すると、虚血を伴う心臓機能が改善するという。そのメカニズムは、単核球注射により筋肉細胞が再生を促されると、その筋肉細胞が相対的に虚血に陥りHIF1を放出する。それが局所の血管新生を促すだけでなく、心臓の血管新生をも促しているのではないかということ。


では、虚血性心疾患患者にASO加療を行うと、心臓の予後が改善するのだろうか。Pubmedで検索してみると、ASOをインターベンションすると薬物療法と比べて心血管病予後が改善するという報告が確かにあった(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3499211/http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22790191 )。


老化を無理に抑えると発がんにつながるという含蓄あることばを、循環器内科の教授から拝聴するとは思っていなかった。すごいです。

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2013年02月27日

PUFAの高中性脂肪血症改善の分子的機序

テーマ:内分泌代謝

PUFAの脂肪酸β酸化の亢進機序;

 PUFAはPPARα(フィブラートのターゲット遺伝子)の内因性リガンドでもある。


PUFAの脂肪酸合成の抑制機序;


①SREBP1cの切り出し抑制


 SREBP1cは細胞膜から切り出されて活性上昇。

 PUFAは膜からのSREBP1cの切り出しを抑制。

 こちらの働きは比較的high sensitivity。


②SREBP1cの遺伝子発現抑制


 SREBP1c遺伝子のプロモータ領域の、LXREより下流のSREにPUFAが結合して転写を抑制

 こちらの働きは用量依存的だがlow sensitivity。

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2013年02月27日

摂食時の中性脂肪合成促進の分子的機序

テーマ:内分泌代謝

筑波大学准教授の矢作直也先生に『ニュートリゲノミクスの挑戦 ~脂質代謝と糖代謝の統合的理解を目指して~』と題して講演して頂いた。


TCAサイクルから供給されるacetyl-CoAを基質としてコレステロール合成、中性脂肪合成が行われる。


中性脂肪合成を司る遺伝子~SREBP1c

コレステロール合成をつかさどる遺伝子~SREBP2


SREBP1cが活性化することで誘導される中性脂肪合成酵素は、ACC1、FAS、SCD1など。


SREBP1cは摂食により遺伝子発現がダイナミックに誘導される。そのメカニズム解明の話。


****************


SREBP1cはマウスで過剰発現させると脂肪肝になるが脂質異常症は呈さない。中性脂肪合成も促進するが、肝臓のLDL受容体の発現も亢進するから。LDL受容体欠損マウスと交配させると高中性脂肪血症を呈する。


ob/obマウスとSREBP1欠損マウスを交配させると脂肪肝が改善。


LDL-R欠損マウスとSREBP1欠損マウスを交配させると動脈硬化が改善。


****************


SREBP1cのpromoterを活性化させる因子の発現クローニング

→LXRα、LXRβを同定。


転写活性はSREBP1a>SREBP1cだが、食後の誘導はSERBP1a << SREBP1c


食後のSREBP1cの活性上昇はインスリン非依存的。

(STZマウスでの実験;LIRKOでの実験→多少はインスリンも関与あるかも)


マウスの生体内の肝臓でプロモーター解析ができる実験系を作成した。


Adenovirusへ必要な遺伝子を組み込むことが試験管の中でできるようになった。この実験手法の進歩が役にたった。Adenovirusを肝臓へ注入すると、個体間の遺伝子注入量のバラツキは多いが個体の肝臓内では部位によらず均一、個体間の肝臓への遺伝子注入量のばらつきも注入されたadenovirus量で補正することで実用的な実験系になった。


マウスにルシフェリン注入後にIVIS Imaging system(高感度カメラで微量な光を測定)を用いてマウスの肝臓内での遺伝子発現活性を可視化。


Adenovirusでマウス肝臓に入れるSREBP1cのプロモーターをどんどん削っていき、SERBP1cの摂食時の活性上昇に寄与するプロモーター部位がLXREa、LXREbであることが判明。


LXR/RXRの発現量は摂食で不変。


ではSREBP1cの摂食時の活性上昇はどのように調節されているか。


プロモーターを削る実験で判明したこと;LXREa,bの周辺領域も重要→リガンド応答ではない。

さらに細かく削り込むことで、LXRE以外の重要な要素が判明;NuRE (Nutritional responsive element)と命名。GCCCCATTCAGAGCA。NuREの構造は脊椎動物間で種を超えて保存されており、その重要性が示唆される。


NuREに結合するタンパクを同定する方法はいくつか考えられた。


・コンピュータを用いたモチーフ解析 全てを把握することはできない。


・タンパクから;DNA親和性カラムを用いて

・cDNAライブラリから発現クローニング


問題は、いずれの手法でも転写因子は発現量が少なくlibraryにクローンが少ないこと。


結局、自分で網羅的転写因子発現ライブラリ(TFEL)を作成した。

理研マウスの完全長cDNAクローン集FANTOMをpcDNA3.1へ乗せ換えた。

3年かかった。

VEGFプロモーターでHIFがつかまるなどポジティブコントロールにて成功を確認。


これを使ってKLF4、15を捕まえた。

KLF familyは全17種ある。FANTOMにはうち11種があり、のこり6種は自分で補った。


摂食によって動くのはこのうちKLF15だった。

(ちなみにKLF4は山中4因子の一つ)


Adenovirus-KLF15肝臓へ注入にてSREBP1cの摂食応答が抑制された。

KLF15のノックダウンにてIVISにて空腹時もSREBP1c活性が上昇。


ob/obマウスの高中性脂肪血症の一因はKLF15の発現抑制による中性脂肪合成亢進であることも判明。


KLF15のSREBP1cの発現抑制のメカニズム:


LXRαのco-repressorにRIP140、co-activatorにSRC1がある。

RIP140とSRC1は競合的にLXRに結合する。

KLF15はLXRαとRIP140の結合を高める。


ちなみにKLF15はgluconeogenesisを亢進させる→脂質代謝と糖代謝の統合的理解!


ひとつの事が分かると、その数倍の「何が分かっていないか」が分かる。

矢作先生の講演によって、生命の神秘の深淵をのぞきこんだ気がした。

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2013年02月24日

糖代謝におけるグルカゴンの重要性

テーマ:糖尿病

2015年一部訂正


2型糖尿病に対するインクレチン治療が登場してからグルカゴンの重要性が注目されているが、1型糖尿病においてもグルカゴンは重要であり、グルカゴンは糖代謝で極めて重要な役割を果たしているようだ。


正常者では血糖値が上昇すると血中のインスリン濃度は上昇しグルカゴンは低下する。

しかし基礎実験で、膵臓ランゲルハンス島のα細胞だけを単離し、ブドウ糖を含む液で灌流すると、グルカゴン分泌が促進する。ではなぜ生体内で血糖値が上昇するとグルカゴン分泌が抑制されるかというと、ランゲルハンス島内で隣接するβ細胞がグルコース応答性にインスリンを分泌し、そのインスリンがα細胞に直接作用しパラクライン的にグルカゴン分泌を抑制するからである。


実際、β細胞機能に異常がある2型糖尿病では食後にグルカゴン分泌が抑制されなかったり奇異性に上昇する現象が1970年ごろから知られていた。1型糖尿病も高グルカゴン血症を呈している。


動物実験では、グルカゴン受容体をノックアウトして、その上でβ細胞をすべて破壊しても糖尿病を呈さない。ヒトでは膵臓を全摘すると糖尿病を呈するが、その理由としてエンテログルカゴン(腸管が分泌するグルカゴン)の存在が考えられている。なお、グルカゴン遺伝子そのものをノックアウトしてβ細胞を破壊するときっちり糖尿病になることが報告された(2014年日本糖尿病学会、名古屋大学林ら)。グルカゴン遺伝子をノックアウトするとGLP1もノックアウトしてしまうので、そこがグルカゴン受容体ノックアウトとの違いを生むと考察される。

膵島α細胞のグルカゴン分泌を抑制する物質として既知のものは、インスリン・ソマトスタチン・レプチンである。


膵島でα細胞のグルカゴン分泌を抑制するのに必要なインスリン濃度は、正常な末梢血インスリン濃度のおよそ100倍である。したがってβ細胞が枯渇した1型糖尿病で、外来性のインスリンでグルカゴンを抑制することは不可能である。もちろんインスリンである程度までは血糖コントロールすることができるが、逆にインスリンも枯渇するとグルカゴンの作用によりケトアシドーシスをきたす。2型糖尿病ではインクレチン治療薬が内因性のインスリン分泌を介した臨床上有用なグルカゴン抑制作用を持つ。


ソマトスタチンはグルカゴンだけでなくインスリン分泌も抑制するため2型糖尿病の治療薬にはなりえない。1型糖尿病では治験されたことがあるようだが、副作用が強すぎるため使えないことが判明した。


レプチンは2型糖尿病でも臨床治験されたことがあるが、血糖降下作用や期待された食欲抑制作用が不十分であり市場に登場するには至らなかった。1型で治験されたことがあるかどうかは知らない。ただ、1型糖尿病の方がやせ過ぎると内因性のレプチン濃度が低下し、血糖コントロールが難しくなる可能性は考えられる。もちろん逆に太り過ぎてもインスリン抵抗性が生じ血糖コントロールは難しくなる。こういったことを証明する臨床研究が存在するのかどうかも知らない。調べてみようかな。


文献 Glucagonocentric restruction of diabetes: a pathopysiologic and therapeutic makeover.

Roger H Unger and Alan D Cherrington J Clin Invest. 122(1):4–12, 2012

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2013年02月13日

肺がん病期のN因子

テーマ:呼吸器

N0

リンパ節転移を認められない状態。

N1

がんが発生した側の肺門部のリンパ節への転移や浸潤が見られる状態。

N2

がんが発生した側の縦隔リンパ節、あるいは気管分岐直下のリンパ節に転移が認められる状態。

N3

がんが発生した反対側の縦隔リンパ節・肺門リンパ節、鎖骨上窩リンパ節、前斜角筋リンパ節への転移が認められる状態。




①横隔神経麻痺あり→N1

②反回神経麻痺あり→N2

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2012年10月22日

辺縁系脳炎とグルタミン受容体抗体

テーマ:脳神経

非細菌性・非ウイルス性の脳炎の中に、自己免疫機序による「辺縁系脳炎」が存在するらしい。

グルタミン受容体抗体が陽性となる。

・NMDA-R抗体(卵巣奇形腫への合併が多い)

・グルタミン受容体ε2抗体


抗体測定はまだ研究室レベル。

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2012年07月02日

無酸素運動と有酸素運動、両方やるなら順番はどちらが先が良いか?

テーマ:運動療法

スポーツジムに行き、まずジョギングマシーンで汗を流してから筋トレをやるか、筋トレをやってからジョギングマシーンへ行くか。どちらが良いだろうか。


もし健康な人や2型糖尿病の人が体重の減量を目的としてやるなら、筋トレ→有酸素運動が良いようだ。

筋トレをやると血中GHレベルが上昇する。無酸素運動→乳酸生成→GH分泌促進→筋肉生成・脂肪分解へ。GHレベルが高いとブドウ糖より先に脂肪が消費されやすくなる(文献1)。その状態で有酸素運動をやるとより効率よく脂肪が燃焼する。


1型糖尿病でも、先に筋トレをやった方が運動後の低血糖が減り良いようだ。12人の1型DM(平均年齢32歳)の方に、45分ずつレジスタンス運動と有酸素運動をしてもらう。やる順番が血糖値に与える影響を調べた。すると、運動後の低血糖の持続時間や重症度は有酸素運動を先にやった方が大きかった(文献2)。考察には、GH以外にカテコラミン関与の可能性が書かれていた。


文献1:Med Sci Sports Exerc 39:308-315, 2007


文献2:Diabetes Care 35:669-675, 2012

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