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いけだけんざぶろう=経済アナリスト、ビジネス・コンサルタント

経済や政治の難しいニュースや情報を、迅速に分析し、正確かつ誰にでも分かりやすく、丁寧に解説します。また、企業団体経営や地方創生、まちづくりに関する豊富な講演実績を有します。

これまで、TBS「ひるおび!」(不定期)、TBS「朝ズバッ!」(毎週月曜日レギュラー)、YTV「情報ライブ ミヤネ屋」(月1回)などのコメンテーターを担当しています。

他にも複数の企業団体の顧問を務めるほか、数々の選挙において公開討論会の進行役を務めています。

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電話 03-5485-0303(担当マネージャー 袴田) または

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■池田健三郎の新刊『金融政策プロセス論~日銀の金融政策決定に政治・行政はどう関与したのか』(日本公法刊)ぜひお読みください!



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池田健三郎は、仕事の傍ら、郵便切手評論家の顔も持ち、自身が代表をつとめるNPOにおいて、郵便文化の振興活動や使用済切手の回収を通じたボランティア団体・非営利組織の助成に力を注いでいます。そこで皆様にお願いです。


使用済切手(古切手)の回収ボランティアにご協力ください!


あなたの家やオフィスにきた郵便物から切手部分を1cm余白を残して切り抜き(剥がさずに)下記宛にお送りください。使用済切手は、福祉・教育の充実、子育て支援、災害復旧、国際協力、文化振興等あらゆる分野に役立てられます。ボランティア団体の皆様には助成金の交付制度があります。


〒158-0098東京都世田谷区上用賀6-33-16 ファミリーパーク上用賀402
NPO法人日本郵便文化振興機構 共同代表・使用済切手慈善運動本部長 池田健三郎あて

※ 恐れ入りますが郵送料はご負担ください

参考ウェブサイト http://www.jipp.jp/

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憲法記念日に思うこと

2016-05-03 11:25:11
テーマ:ニュース
本日をもって、日本国憲法は施行69年を迎えました。

例年のことながら、新聞社(毎日新聞)が憲法記念日を前に行った全国世論調査では、平和主義を謳った憲法9条について「改正すべきだと思わない」とする人が52%で半数を超え、「改正すべきだと思う」とした27%を大きく上回った(昨年4月調査では、「改正すべきだとは思わない」が55%、「思う」27%)と報じられています。

他方で、「憲法を改正すべきだと思うか」の問いについては、「思う」・「思わない」がともに42%で拮抗する調査結果となりました。

現内閣に対する支持度別調査では、「支持する」とした人たちは憲法改正に賛成が59%で、反対が27%。9条改正に賛成が42%、反対が38%となっています。一方、「不支持」とする人たちは、憲法改正に賛成が26%、反対が61%。9条改正に賛成が12%、反対が71%という結果でした。

いずれにしても、今夏の参院選のテーマの一つは、「憲法改正の是非」ということになりそうです。

私は、変化の激しい現代社会にあって、憲法や法律は社会の実情に応じ、当然ながら民主的なプロセスと十分な議論を経て、必要ならば柔軟に変えるべきという主張に違和感を感じません。

しかしながらこれは、私たち国民が主権を持ち、行使できる状況がきちんと担保されていることが大前提であることは論を待ちません。

その根幹は「ひとり1票」という投票価値の平等にあることは当然であり、それからすると、一票の価値を保全するための衆院定数是正という文脈において、アダムズ方式(人口に比例した定数配分)の採用は至極当然のことだと思うのです。

しかしながら、残念なことにわれわれが国会に送り込んでいる代表者たちは、これを先送りし、古い国勢調査のデータを用いた微修正にとどめるという愚挙にでました。

年内に衆議院の解散・総選挙が行われるかどうかは安倍総理のみぞ知るところですが、憲法の番人としての最高裁が違憲状態と断じた定数配分のもとで選出された国会議員たちが憲法改正の必要性を訴え、仮に3分の2の多数をもって憲法改正発議を行う事態となっても、そもそも彼らの身分の正当性が、憲法の国民主権の趣旨に照らして「あやしい」状態にある以上、説得力は極めて乏しいということになります。

これは明らかに時間の無駄というもので、安倍総理が本当に改憲を行う確固たる意志があるのであれば、国民主権の根幹にかかわる定数是正問題を横に置きながら、改憲プロセスを進めることは、結局のところ「最大の回り道」になるのではと考えています。

今夏の参院選から、投票権は18歳以上の国民となりますが、そうであればこそ今年の憲法記念日は、平和主義とか9条改正の是非云々を語る前に、そもそもの国民主権というものについてしっかりと考える必要があると感じたところです。


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保育環境の整備を阻むもの

2016-04-25 10:22:18
テーマ:ニュース
自分の子供を保育園に預けようとしたが選考に漏れてしまった母親がツイートした「保育園落ちた、日本死ね」のフレーズは瞬く間に日本中を駆け巡り、国会論戦や国会前デモにまで発展する事態となりました。

少子高齢化社会の日本において、数が少ない子供を預かる保育施設については依然、供給不足状態を脱する目途が立っていません。

こうした中で政府は、2017年度から財政措置により①保育士の給与月額を1.2万円引き上げ、②経験豊富な保育士に上乗せ給付、③定期昇給を導入する保育所に助成金支給、等を行う旨の方針を固めたことが報じられました。これは、まずもって処遇改善への第一歩として評価しうると思います。

ところで私は、安倍政権が「女性活躍」、「子育て支援」を掲げる少し前から、自らの家庭における子育て経験も踏まえ、「少子高齢化社会であるわが国の成長と持続可能性を確保するためには、労働力としての移民を受け入れないことを前提とすれば、保育の質的量的拡充による女性の就労環境改善こそが必須要件である」と確信し、友人が取り組む「保育の拡充」を個人的に支援する活動を続けてきました。

その活動を通じていつも耳にしているのは、以下に掲げる「いくつかの課題」が横たわっているために、政府もかつてないほどに力を入れ女性が働き易い環境整備のために保育所の拡充を目指しているにもかかわらず、そう易々とは待機児童が解消されないというもどかしさです。

無論、保育を巡る課題は、仔細にみていけばそれこそ大小あわせて無数に存在するのでしょうが、重要なテーマについて大括りに分類すると、(1)保育行政、(2)保育施設、(3)保育士確保、そして(4)モンスター・ペアレント、の4点に集約して考えたほうがよいように思われます。

すなわち(1)保育行政については、これを担っているのが基礎自治体(市区町村)であり、それぞれの自治体毎に保育政策やルールの運用等がまちまちであることから、保育事業者はその対応にかなりのエネルギーを費消しなければならないという実情があります。

また、行政窓口の担当者によっても対応に差異があり、場合によっては深刻な問題を惹起しかねない事例もあるとききます。

さらには、最近でこそ事業主体を社会福祉法人やNPO法人に限定することをやめ、株式会社等の参入も進んできたのですが、未だに「保育は金儲けの手段とすべきでない」、「既得権を持つ社会福祉協議会と問題を起こしたくない」といった後ろ向きなスタンスをとるところも存在するようです。

こうした点を踏まえて、各自治体のリーダーには、現状の対応に問題がないかを精査すると共に、早急かつ適切な対応をとることが求められているように思われます。

次に(2)保育施設の問題ですが、これは施設に係る規制によるところが大きいといえましょう。

すなわち、認可保育所を開設する場合の物件に係る要件として、非常口の確保に加え、駅や公園からの距離、必ずしも合理的とは思えないレベルのバリアフリーや多目的トイレの設置など細かな規制が設けられており、これらを全て満たす物件を確保することは至難の業となっているのです。

無論、保育の量的拡大を図るために質を犠牲にしてはなりません。とくに安全に関する事項は当然、規制緩和の対象とすべきではないでしょう。そうだとしても、それ以外の項目については再検討の余地があるのではないでしょうか。

続いて(3)保育士確保、ですが、これは既にマスコミ報道等によって多くの人が知るところとなっています。

若者がせっかく保育士資格を得ても、給与・所得環境が必ずしも良好でないために、他の職業を選択するケースが少なくないほか、女性保育士が結婚・出産等で離職した後、復帰しようというインセンティブに乏しい現状も指摘されています。

この点については政府が、2017年度から上述のような処遇改善策等を実施することになっており、その成果を見守りたいと思います。

最後に(4)モンスター・ペアレントの問題です。

これは(3)保育士の確保に直結する事柄で、現状モンスター・ペアレントへの対応に係るストレスが看過できないレベルに到達しており、資格保持者が保育士の仕事に就きたがらない、あるいは一旦離職した後に復職したがらない要因が様々ある中で、事実上、かなり大きなウェイトを占めるのがこの問題のようです。

これは政策対応では如何ともし難い面があり、それだけに深刻な問題でありながら「打ち手無し」として積み残しになりかねない、厄介な課題だといえましょう。

メディア等がこれまで以上に適切に現状をフォローし、国民に実情を知らせ、啓発を図っていく以外には方策が無いように思われます。その点では、私を含め、メディアや報道に携わる者は十分な問題意識を持つことが大切であると考えています。


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アベノミクスの成否を分かつ「2016年春闘」

2016-03-17 15:03:58
テーマ:経済
アベノミクスが黒田日銀による大胆な金融緩和により幕を開けて以降、これまで曲がりなりにも「わが国経済は緩やかな回復を続けている」状態から大きく逸脱することなしに今日まで来ることができたのは、(1)金融緩和による為替円安、(2)円安に伴う輸出環境向上が他業種に拡大し大企業を中心とする企業収益が改善をみたこと、(3)企業収益改善が株価に反映されたこと、の3つの要素によるところが大きいことは多くの専門家が指摘するところです。

しかしながら他方において、個人を取り巻く経済環境という面では、いまだ楽観できる状況には至っていません。

すなわち2014年以降の2回の春闘は、政府が財界にプレッシャーを掛け賃金上昇の旗振りを行う「官製春闘」を継続してきたこともあって、昨年も大企業を中心とした「前向きな賃上げ」への努力がみられました。しかし、これが非正規雇用者や中小零細企業に大きく波及するには至らず、結果として全般的な盛り上がりを欠いた印象が強いのです。

こうしたこともあって、年後半にかけてGDPに占めるウェイトが高い個人消費が伸び悩み、これとあわせて消費税率10%引き上げスケジュールがもたらす消費マインド萎縮効果が2016年の景気を占う上での懸念材料と位置づけられる中で新年度を迎えることとなっています。

筆者は本年初におけるテレビ出演やインタビュー等で、今年の景気を占う上での当面のポイントとして「2016年春闘」を第一に指摘しています。

これは景気の鍵を握る個人消費を増加させるためには、兎にも角にも春闘における明確な賃金上昇が実現するという「分かりやすい、ポジティブなニュース」が報じられることにより、消費マインドを好転させる必要があると考えたからに他なりません。

無論、単なる賃上げのみでは効果は限定的なものにとどまる可能性があり、雇用の安定性向上、すなわち非正規雇用の歯止めなき拡大に一定の制限を設ける等により勤労者のマインドを好転させる手法もあわせて検討されるべきことは当然でしょう。

また、景気動向によっては、消費税率10%への引き上げを先送りすることも視野に入ってくる可能性を考えていたところですが、この点については、3月16日に開かれた「国際金融経済分析会合」に関する報道をみる限り、どうやら現時点において安倍政権は、これを先送りとする可能性が高まっているとみられます。

話を2016年春闘に戻しますが、去る3月16日には春闘の賃金相場形成を主導するといわれる自動車・電機等大手製造業で、労働組合の要求に対する集中回答日を迎えました。

基本給を引き上げるベースアップ(ベア)を3年連続で実施する企業は多いものの、結果としては景気の先行き不透明感を理由に、前年実績を大幅に下回る回答が相次いだというのが実態です。

また、自動車大手では非正規雇用者の日給引き上げなど、正規雇用者との格差是正に取り組む企業が増えた点は率直に評価できるものの、全体として日本経済を牽引する大企業製造業各社が景気の先行きを不透明と認識し、自社は高収益をあげているという先であっても、下請や業績不芳の同業他社への「配慮」からベアを要求の半分程度に抑制して回答する先がみられる点は気掛かりなことです。

いずれにせよ、仮に今年の春闘が盛り上がりを欠いたまま終結し、米国の景気上昇が思うに任せずそれに伴う利上げペースが鈍化し円安期待が薄らぐという事態(結果として株安傾向)になれば、安倍政権としては、今夏の参院選を睨み消費税率引き上げを先送りするだけでなく、更なる有効な景気浮揚策を国民に対し提示することが求められること必定でしょう。
 
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日銀のマイナス金利導入を機に、預金金利を逆に「引き上げる」信金登場

2016-02-22 23:50:57
テーマ:経済
2月16日から開始された日銀の「マイナス金利」導入の実施に先立ち、この政策が発表されるや否や、すさまじいスピードで預金金利を過去最低の水準まで引き下げたのは、大手金融機関でした。

まだマイナス金利が始まっていないというのに、余りに素早く立ち回るので、些か鼻白んだ方も少なくないでしょう。

その一方で、一部の信用金庫では、これとは真逆に金利を「引き上げる」動きが出ています。これは、預金者の「金利がなくなってしまう」との不安を払拭する狙いとみられ、超々低金利時代にあって、注目を集めていると報じられています。

http://www.sankei.com/life/news/160220/lif1602200031-n1.html

報道によれば、こうした「逆張り」が一部の信金で行われる要因として、次の2点が挙げられています。

(1)信金は銀行に比べ運用資金を市場から調達する割合が少なく、ほぼ預金でまかなっており、営業地域が狭いこともあって大手銀のように「預金が余って困る」という状態ではない。

(2)
全国の信金の上部組織である信金中央金庫に預金すれば、日銀当座預金より高い利息がもらえるという安心感があり、その点では日銀当座預金への依存度が高い大手銀行よりも有利。

確かにこの2点はその通りだと思われますが、それに加えて私は、信金は大手銀行よりも地域密着度が高いことから、「この機を捉えて地域の顧客の信頼を高め、激化する競争に勝ち残りたい」という意思を感じます。

市場での資金運用比率が低い信金は、地域の中小零細企業に融資をすることによって得られる金利が重要な収益源であり、その原資となる預金集めは怠ることが出来ません。したがって、こうした地域では劇的とはいかないまでも、一定量の都銀から信金への「預金シフト」が起こることも推定されます。

いずれにしても、地方創生時代にあって、地域経済を牽引するのは、信金や信組、地銀・第二地銀といった、地域金金融機関であり、彼らが持つ独自の地域情報・企業情報を最大限に活用して、地域のビジネスを振興できるか否かに掛かっていることは間違いありません。

この点で、今回、こうした「逆張り」の発想で打って出ることを選択した信金には、それぞれの地域での貸出増加にもいっそう頑張っていただき、その社会的使命をしっかりと果たしていただくよう、エールを贈りたいと思います。

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よくわかる「日銀のマイナス金利政策」

2016-02-20 00:00:44
テーマ:経済

どうも今回の日銀のマイナス金利導入政策が「分かりにくい」と感じておられる方が多いようで、メディア関係者を中心に多くの方々からお問い合わせをいただいています。

いちいち同じことを説明するのも大変ですので、とりあえず誰でも分かるような説明を本ブログに掲載することにしました。まずは以下の記事をお読みください。

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1.はじめに

金融政策というと、何か非常に難しいもののように思われるかも知れませんが、以下のような図表を用いて理解すれば、さほど難しいことはありません。順を追って説明していきます。


2.マイナス金利導入の意義及び影響・効果


まず初めに、今回のマイナス金利導入の意義及び影響・効果について、結論を先取りしてしまえば、次の通りです。

(1)今回の「マイナス金利導入」は、銀行・信用金庫等の金融機関が日本銀行にお金を預ける場合の金利をいうのであって、一般預金者には「マイナス金利」は直接関係ない(個人の預金がマイナスになるわけではない)。

(2)北欧など一部諸国では一般市民の預金に「マイナス金利」が生じているケースがあるものの、日本はまだそこまで行っていないので、マイナス金利という言葉を悪用した詐欺などには十分注意する必要がある。

(3)「マイナス金利」は金融機関が日銀の当座預金口座に預けているお金の「ごく一部」に限って適用されるもので、当座預金全体がマイナス金利になるわけではない。

(4)「マイナス金利」は、金融機関が彼らの本来の仕事である「企業に対する融資(とくに中小零細企業向け)」を行わずに、余分なお金を日銀に預けた場合に、その一部に対してペナルティ(マイナス金利=手数料)を課すことにより、金融機関に対して貸出増加を促すことが狙いである。

(5)上記(4)にいうペナルティを設ける一方で、金融機関が日銀に預ける準備預金の殆どの部分には引き続き+0.1%の金利を付ける仕組みは温存される。よって、大量の資金を日銀の当座預金口座に置いている金融機関は、この準備預金から引き続き少なくない利益を得ることが出来る。

(6)上記(4)(5)により、この政策発動後の準備預金制度は「アメとムチとの使い分け」の構造となっている。
貸出を増やすことが狙いとはいっても、ペナルティの適用範囲が極めて限られているので、結局のところ金融機関の痛みは少ない(アメの効果のほうがムチより遥かに大)。よって、マイナス金利導入の貸出増加に対する効果は限定的と言わざるを得ない(効果は薄い)。

(7)効果が薄いと分かっていながらなぜマイナス金利を導入するのかは、誰も予想していなかった政策発動による「サブライズの演出」により、内外市場参加者に「意外感」を与え、市場にインフレ期待(及びそれに伴う株高等)をもたらし、デフレ脱却につなげようとする狙いがある。

(8)一般の消費者への影響は2つある。1つ目は、ただでさえ低い預金金利がさらに低下するというデメリット(ただし、デメリットといっても、すでに預金金利は低位にあり、ここにきてさらに金利が低下しても殆ど痛みはない)。2つ目は、中小零細業者も借入金利が低下することでさらに融資が受けやすくなるほか、個人では住宅ローン金利も低下するため住宅購入や借り換えには追い風となる。

3.今回のマイナス金利政策の概要

次に、今回のマイナス金利導入政策の概要について、分かりやすく説明します。

【図1】マイナス金利導入後の準備預金の積みあがり方のイメージ

(出所)日銀の公表資料「本日の決定のポイント」より


上の【図1】は、日銀自身が公表している資料に使われたマイナス金利導入後の準備預金の積みあがり方のイメージ図です。黒田総裁が記者会見で使用した図と同一です。

従来の準備預金制度を変更して、上のように準備預金を「基礎残高・マクロ加算残高・政策金利残高からなる3層構造」(本当は「4層構造」なのですが、この点は後述します)に変えるというもので、一番下の基礎残高(薄緑)が+0.1%の金利、その上のマクロ加算残高(青)が金利0%つまりゼロ金利、一番上の政策金利残高(ピンク)がマイナス金利(▲0.1%)がそれぞれ適用されます。

このうちマクロ加算残高(【図1】の青い部分)は、日銀がこれまで続けてきた、量的質的金融緩和を行うに際して、市中金融機関に(国債の買い入れなどを通じて)資金を供給した結果生ずる残高です。このまま緩和を続け、現在の目標(年間80兆円<3か月で20兆円>の積み増し)を続けていく限り、どんどん積みあがっていくことになります。

このマクロ加算を超えて、さらに金融機関が資金を日銀当座預金に入れてきた場合(【図1】のピンク色の部分)、これを政策金利残高と称し、本来この資金は貸出など企業部門の経済活動を促進する目的で使われなければならないものなので、この部分は「必要以上に預け入れている」と見做してペナルティ(マイナス金利=手数料)を課しますよ、というのが今回の措置です。

なお、基礎残高(【図1】の薄緑部分)は、法律で定められた準備預金に加えて金融機関が資金決済などのために日銀当座預金に保有する資金のことをいいます。

4.従来の準備預金制度と今回のマイナス金利導入との繋がり

ただ、これだけですと、一般の方々にとっては、制度の全体像が掴みにくく、準備預金の過去からの推移や、準備預金全体に占めるマイナス金利部分の位置づけが理解しにくいかも知れません。

そこで、日銀の公表データを用いて、【図2】を作成してみました。
(出所)日銀公表データをもとに池田健三郎事務所作成


【図2】は【図1】を俯瞰的に眺められるようにしたもので、ちょうど右上部分が日銀が作成した【図1】と同じ部分に相当します。


【図2】の中で一番下にある濃青部分は、金融機関が強制的に日銀にある自分の当座預金口座に最低限、預けておかなければならない準備預金(所要準備という)を示しています。これは万一の時に備えて、顧客から預かったお金を全部自分で運用するのではなく、一部(預金の種類や金額により0.9~1.8%程度)を中央銀行(日銀)に避難させておくという趣旨のものです。

もともと準備預金といえば、この部分を指していたのですが、2008年に発生したリーマンショックを受けた政策変更以降は、ご覧のようにかなり大きく様変わりしています。

すなわち、リーマンショックを受けて2008年11月から、法律で定められた強制的な準備預金(所要準備)を上回る部分(これを超過準備といいます)に金利がつけられる(+0.1%)ようになったのです。【図2】ではこの超過準備の部分を濃緑で示していますが、2008年11月以降、日銀の金融緩和政策を受けて徐々に超過準備が増えていき、ものすごい勢いで積みあがっていったことが読み取れます。

金融緩和によりマネタリー・ベースの増加を図ろうという政策(つまり世の中に出回るお金の量を増やすことにより、お金の需要に対する供給が増加するため金利が低下し、貸出や投資が起こりやすくする狙いがある)は、これを実施すると日銀に預けてある金融機関全体の当座預金残高がこのように膨れ上がることを意味していますので、金融緩和によってこのように超過準備が積みあがっていくというのは当然の現象なのです。

5.批判と今後の課題

しかしながら、元来この超過準備は、金融機関がいつでも日銀から引き出して顧客への貸出に回してよいお金であり、そのようにして金融機関による貸出が増えない限り、この政策の目的である実体経済へのプラス効果は実現しません。金融機関が日銀の当座預金に資金を預けっぱなしにしておいても、お金が天下を回らなければ意味がありませんので。

この点に関しては、従来から経済学者等による批判がかなり出ていました。金融機関は、自ら顧客開拓や営業努力をしなくても、だぶついたお金を日銀の当座預金口座に超過準備として預けておくだけで、0.1%の金利収入を自動的に得ることが出来るわけですから、これは金融機関に対する「収益補填」とか「生活保護」のようなものではないかというのです。

確かにこうした指摘が出るのも当然のことでしょう。安易に日銀当座預金の利息をあてにした経営に走ることは、日本の金融機関のパフォーマンスを低下させる危険性があります。

他方、日銀に課せられた、もう一つのミッションとして、「金融システムの安定」があることも少し頭の片隅に置いておく必要もあります。

政策当局がこれまでに苦労してきた(現在も苦労している)点はここにあるのですが、いくら緩和政策によって「貸出をしろ」と金融機関を促しても、実際に借り手が出現しなければ融資を実行することはできません。そのようにして、資金の借り手が現れなければ、金融機関は利益の大きい融資業務を十分に行うことが出来ず、苦しい経営を迫られることになります。

そのような状況が続けば、金融機関自身の体力が弱体化し、万一、破綻ということにでもなれば、それこそ日本発の金融危機を生じさせないとも限りません。実際に、規模の大きな銀行は緩和政策によって大きな利益を得ていますが、地方銀行や信用金庫の一部は、厳しい経営状況になっているところもあるのです。

さて、このマイナス金利政策が発表されるや否や、各金融機関は一斉に預金金利引き下げや、住宅ローンのさらなる金利改定(引き下げ)を発表しました。後者については、政策の目的からしても当然の成り行きですが、まだマイナス金利が実施される前から、ただでさえ低い預金金利をそそくさと引き下げるというのは些か性急な気がしないでもありません。

【図2】からもわかるように、ごく一部にマイナス金利を導入するとはいえ、200兆円を超える当座預金の「基礎残高」(薄緑色の部分)には今後も+0.1%の利息がつけられて金融機関の利益になることが保証されているのですから、金融機関はまず自らが貸出を増やす努力をした後に、どうしても体力維持が必要であれば預金金利の引き下げに手を付けるといったくらいの節操があってもよかったかもしれません。

6.むすびにかえて

いずれにしても、今回の措置によって、そう簡単に金融機関の貸出が増えるとは誰も思っていないでしょう。こうしたことから、「そろそろ金融政策も限界ではないか」という指摘が専門家の間でも出始めました。

こうなると、この先、今回のような「サプライズ」を演出して金融緩和を続けても、企業部門の経済活動が活発化してデフレを脱却していく見通しには繋がり難いかも知れません。よって、そろそろ日銀の緩和政策に依存した、現状の経済政策を大きく見直すときに来ていると思われます。

具体的には、電力自由化のような、かつては考えられなかった大幅な規制緩和を伴う制度変更などの「成長戦略」を政府一丸となって知恵を絞り実行することしかないように思われます。

政府は、インバウンド推進政策としての白タクの容認や、民泊の推進といったスケールの小さい規制緩和(それはそれできちんと検討すればよいのですが)ばかりでなく、大きな需要創出につながるような大胆な一手を早急に検討しなければなりません。

国会においても、スキャンダルや失言の追及ばかりに明け暮れていれば、肝腎の議論に費やす時間は相対的に少なくなってしまいますので、もう少し緊張感ある議論を望みたいところです。

以 上

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