旨いもの
テーマ:ブログ炊きたての白飯にぶっかけて食う。
鱸を塩焼きにして燗で一杯。
鬼平犯科帳をはじめとする池波正太郎の小説には、
このような食に関する描写が数多く登場します。
美食家として有名な著者の描写は、
まさに食欲をそそるものです。
鬼平犯科帳では特に蕎麦の登場頻度が多く、
何故か盗賊一味の狙う商家の向かいには蕎麦屋があって、
火付盗賊改の同心達が蕎麦屋で張り込んだり、
見廻りの合間に蕎麦と酒で一服したり。
そんな影響で最近は蕎麦好きになってしまいました(笑)
ただ、鬼平の主人公の長谷川平蔵は武士なので、
その食事も外食を中心とした少し贅沢なものなんです。
で、今僕がすごく惹かれるのが、
仕掛人 藤枝梅安という作品の中で、
主人公の梅安が自分で作る食事です。
梅安は表の顔は鍼医者、裏の顔は暗殺者なんですが、
身分は平の町人。
仕掛(暗殺)で多額の報酬は得つつも、
私生活は質素なもの。
奥さんもいないのでほぼ自炊なんです。
相棒の彦次郎などが訪ねてくると、
夕食や酒の肴を振る舞うんですが、
そこでの料理がほんとに旨そうなんです。
食材は患者からの差し入れなどが多いので、
質素なものが多いんですが、
野菜や魚、豆腐など何か一品を丁寧に調理して、
白飯や酒と一緒に食す。
そんな描写を見ていると、
豪華で多彩な外食よりも、
よっぽど旨そうに感じます。
旨いものを追求していくと、
素材を生かしたシンプルな料理に行きつくような気がします。
併せて外食でなくて内食。
梅安で言えば、梅安が飾り気の無い料理を作って彦次郎が食う。
彦次郎は旨い旨いと頬張るわけですが、
それはやはり食事自体の旨さに加えて、
梅安が作ってご馳走してくれるとこにあるような気がします。
金を出して外食すると、
費用対効果を考えてしまったり、
接客など味以外の部分の評価も厳しめに見てしまいがちです。
でも内食ならば、たとえ食材は買ったとしてもそれはあくまで材料費であって、
調理をする行為自体がもはや出される側には嬉しいものです。
自炊の経験がある人なら誰でも、
作ってもらえることの有り難みはわかると思います。
また、内食ならば価格を考えた故に過度に作り込むような事も少ないので、
シンプルなメニューも作りやすい。
そんなわけで最近は梅安にご馳走されている彦次郎になりたくてたまりません(笑)
シンプルな手料理、僕が最近旨いと思うもののキーワードです。
ちなみに今日は寒いので湯豆腐を作った冨田悠でした。
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