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2015-06-27 21:21:57

社長の復讐

テーマ:ショートショート
太田が再び社長の座に返り咲いた。
太田は体調を崩し、一時社長の座を降りたが、
その後を引き継いだ水野社長のあまりの無能さに
社員一同に呆れ果てられて、太田の復活となった。

太田は社長に帰り咲くなり、強権を発動した。
外国資本を積極的に受け入れ、
様々な業種に手を伸ばした。
株主にはいい顔を見せ、
社員に対してはブラック企業スレスレの対応をした。
太田派でなければ人にあらず、
と言われるほど絶対王権を築き上げたのだ。

その原動力は何だったのか。
太田は側近にこう漏らしたと言う。
体調を崩し、社長の座を降りるという屈辱を受けた。
それを笑った社員への復讐なのだ、と。
もしかしたら太田のやり方で会社はつぶれてしまうかもしれない。
しかし、それでも太田は満足なのだ。
体を壊した時に、彼の精神も壊れてしまったのだから。
それを止められない側近たちもまた壊れてしまっているにちがいない。


「これはうちの雑誌に載せられないな」
「どうしてですか」俺は編集長に詰め寄った。
「雑誌つぶしたくないしな」編集長は寂しそうに言った。
「あと、これ、載せる雑誌どこにもないよ。
今はそんな時代だし」
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2015-02-16 18:30:42

こんなお約束事

テーマ:ショートショート
探偵はいきなりすっとんきょうな推理を披露し出した。
「ちょっと、あんた」と俺はその話を遮ろうとしたら
警部に止められた。
警部は人差し指を口元にあてて俺に黙るように指示した。
俺はちょっとむかついた。
これは俺が刑事になって初めての殺人現場だったのだ。
それなのに、なぜこんな男のー。
あっ、
いきなり男が首に手を当てると椅子に座り込んだ。
こいつ、寝てる。
しかし今、首に何か刺さったよね。
何かが飛んできた方向を見ると、チビがいた。
なぜか殺人現場でフラフラしていて、時々鋭いことを言う小学生だ。
小学生がなんで殺人現場にいるのか、警部に質問したら
やはり警部は人差し指を口元にあてたのだった。
あいつは、いったい。
あ、小学生が眠ってる探偵の椅子の後ろに隠れて
蝶ネクタイをひっぱった。
だいたいが小学生が蝶ネクタイをしてるってのが変だ。
驚いたことに小学生は蝶ネクタイを通して探偵と同じ声を出し、推理を披露し始めた。
「警部、あの椅子の後ろに」
「しっ。知らんふりしろ」
知らんふりって言っても、しゃべってるのはあの小学生で。
周りを見回すと、その場の人達は誰も小学生に気づいていないようだった。
いや、気づいていても知らんふりしているのかも。
小学生は最後に被害者の妻を犯人だと指摘した。
すると妻はいきなり自供を始めて、逮捕された。
警部は「いやあ、さすがは」と寝ている探偵を褒めた。
「でも、警部、しゃべっていたのは、椅子の後ろのチビで」
「しっ」警部は俺をにらみつけた。「お約束事なんだ」
「こなんお約束事は、いえ、こんなお約束事はおかしいです」
「事件が解決すればいいんだ、余計な事言うな」
俺は言葉を失った。
それでいいのかー。

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2015-02-10 22:15:13

「さて、犯人は」

テーマ:ショートショート
 「さて」と名探偵は容疑者たちを応接室に集めて言った。
 床には大富豪の死体が横たわり、呼ばれた容疑者たちは赤ん坊を抱いた美人妻、浪人生の息子、大富豪の自堕落な兄、白髪の弁護士だった。
 名探偵の顔見知りの警部もその場にいた。
 「犯人はこの中にいます!」名探偵は断言した。
 するとその時、赤ん坊が泣き出した。
 「あらあら、ミクちゃん、お腹すいちゃったのね。今おっぱいあげますからねー」美人妻はそのまま出ていこうとした。
 「ちょっと待ってください。今大事なところで」と名探偵。
 「ミクちゃんも大事なところですのよ」美人妻は名探偵をにらみつけた。
「ここで我慢して性格がゆがんで犯罪者になったらあなた責任とれますの」
 「いやぁ、それは」
 「それともここで胸をはだけておっぱいをやれと」
 「…すけべ」浪人生がぼそりと言った。
 「じゃあ、おっぱいをあげて来てもいいですよ」名探偵は譲歩した。
 「上から目線ね」美人妻はむっとしたように言った。
「私、絶対この場にいないといけないの? なにかしら、私が犯人とでもいうの」
 名探偵は一瞬迷って、「いえ、あなたは犯人ではないので、この部屋を出てもいいです」
 美人妻が怒った顔のまま、赤ん坊を抱えて部屋を出た。
 「さて」と名探偵は仕切り直した。「この中に犯人が」
 その時、火曜サスペンス劇場の音楽が鳴った。兄の携帯のメロディだった。
 「はい、もしもし」兄が大きな声で話し始めた。
「ミユユ~、どうしたんだぃー」兄はトロトロになった。
 「ち、ちょっと待ってください」名探偵が言うのを無視して、会話しながら兄は部屋を出て行った。
 「…」
 「…出て行ったけど」
 「まあ、あの人も犯人ではないので」名探偵はぼそりと言った。
 「じゃあ、僕も出ていくよ」と息子。「家庭教師のバイトがあるんだ」
 「いや、これからが大事なところで」
 「バイト料、出してくれる?」
 「あなたも犯人ではないので、どうぞ」息子は走り去る。
 「さて私も裁判がありますので」と最後に残った白髪の弁護士が言った。
 「あの、でも」
 「私が犯人だとでも」
 「いえ、あなたも犯人ではありません」
 「では、失礼、名探偵殿」白髪の弁護士は深々とお辞儀すると部屋を出ていった。
 「…」
 「…」
 「容疑者が誰もいなくなりましたが…」と警部は不思議そうに言った。
 「いえ、この中に犯人はいます」名探偵は断言した。
 「この中って、えっ、私?私?」警部の声が裏返った。
 「いえ、犯人は大富豪です」と名探偵。
「大富豪が殺人と見せかけて自殺したんです」
 「はあ、自殺」警部は顔をしかめた。「じゃあ、みんな集めなくても良かったわけですね。私も暇ではないのですが。一言自殺と言ってくれればすぐ終わったものを。あ、ちょっと処理することがあるので」警部は携帯を取り出しながら、部屋を出て行った。
 死体と一緒に一人残された部屋で名探偵はため息をついた。
 しかし大きく頭を振ると、背筋をしっかりと伸ばして、
 「犯人は」と名探偵は大声を出すと、床の死体を指差した。
「お前だぁぁぁ!!!」
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2014-09-21 22:37:22

さすが、名探偵です

テーマ:ショートショート
応接室に容疑者を集めて、田中先輩は
「さて」と言った。
「この中に犯人がいます。
今から私が推理を話しますが、
その前に自分が犯人だという人がいたら名乗り出てください」
僕はその場の人たちを見た。
まさか犯人が名乗り出るなんてありえな…、
おいっ、神崎さん、手をあげようとしてるよ、
しかも、なんか暗い顔してるし。
僕は山本先輩に目配せすると、
「あー」と大声を出した。
その場の人々の視線は僕に集まった。
その間に山本先輩は神崎さんのそばに行って手を抑えた。
「すみません、大事なことに気が付いたので」
田中先輩はいいところで邪魔されたのにむっとした様子で
僕をにらんだ。
「なんだ、大事なことって」
「えーっと、えっと、犯人はこの中にいます」
「それ、今俺が言った。邪魔するな」
「すみません」
僕は謝ると、山本先輩を見た。
山本先輩は神崎さんともつれあっている。
田中先輩、今のうちに犯人を指摘しちゃってください~。
「このドアの特殊な鍵の開け方を知っていたのは、
古木さん、神崎さん、高畠さん、そして吉田さんの4人。
それ以外の人は知らなかったので、犯人ではありません」
神崎さんの手があがりつつある。山本先輩、がんばって押さえて。
「その中で左利きなのは、古木さん、神崎さんの2人」
山本先輩がもちなおして、神崎さんの手が下がる。
「そしてあの凶器を使うことができたのは、あなただけだ、
古木さん!」
えっ、そこで古木さんを指名するの。
僕は大きく咳払いして「ではなくて」
田中先輩はきょとんとした顔をして僕の言葉を繰り返した
「ではなくて」
僕はささやいた。「神崎さん」
「神崎さん」と田中先輩は繰り返した。
山本先輩は神崎さんの手をはなした。
神崎さんはいきおいよく手をあげた。
「そうだ、私が犯人だ。あいつは…」
それから30分犯人の独白は続いた…。

田中先輩、さすが名探偵です。
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2014-09-15 22:15:43

殺人の動機

テーマ:ショートショート
取調室にて。
二人の刑事が殺人犯に尋問している。
「どうして彼を殺したんだ。
世界的な名優の彼を殺して、優秀なSPが守っていたのに
逃げおおせると思ったのか」
「………」
殺人犯は無言のままうつむいている。
「その前にアイドルのを殺してるな」
「………」
「彼女はアイドルグループの人気者だったのに。
たくさんの人々が見ている中で人を殺している。
お前がやったという目撃証言は多いぞ」
「………」
殺人犯は無言のまま、うつむいている。
刑事は尋問を続けた。
「彼女の前にも殺人を犯しているな。
S川の河原でホームレスの男を殺しただろう。
彼女を刺したナイフからその男の血も検出された。
同じ凶器を使ったんだな」
「………」
殺人犯は微動だにしない。
「通り魔もしてるな。人相書きやビデオカメラの映像がお前と一致した。
幸い襲われた女子大生、OL、サラリーマンは無事だったが」
「………」
「女子大生、OL、サラリーマン、ホームレス、アイドル、世界的な俳優、
それぞれまるでつながりがない。どうして彼らを殺そうとした? 殺した?」
「………」
無反応な殺人犯に今まで黙っていたもう一人の刑事は机を叩いた。
「何とか言ったらどうなんだ。なぜ殺した?」
殺人犯は顔をあげて刑事を見た。
「私は死刑になりますか」
刑事は突然殺人犯の視線を受けて少し動揺した。
「さ、さあ、それは裁判によるが、三人も殺せば、あっ」
刑事はひらめいた様子で、
「それが動機か。死刑になりたくて人を何人も殺したんだな!」
殺人犯はびっくりしたような顔をしたが、やがて破顔した。
「ははははははは」
「な、なんだ、何がおかしい」
殺人犯はピタリと笑やむと
「おかしいのはこの国です。
わたしはこの国を救いたくて、殺したんです」
刑事は
「ど、どういう意味だ」
「通り魔は殺人の練習。でもなかなか殺せませんでした。
でホームレスを殺してみたら殺せました。
人がたくさんいる中で殺せるか、試したら、ビビらずにアイドルを殺せました。
そしてSPを出しぬいて要人を殺せるか、試したら殺せました。
しかし捕まってしまいました。
わたしは死刑になります。
この国を救う前にゲームオーバーになってしまいました」
「何を言ってるんだ? 殺人の練習だったのか」
「そうです。練習をして
最後にたくさん人がいる中でビビらずに
SPに守られた総統を殺す、
それがわたしの最終目的だったのです。
この国を救うには勝手なことをしている総統を殺さねばなりません。
そのために練習を重ねたのです」
「ば、ばかな。狂ってる」
「狂ってるのはこの国です」殺人鬼はさめた目で刑事を見つめていた。
「いや、お前だよ。
だいいちお前が総統を殺してもこの国は全く変わらない」
「…そう、ですか?」
「そうさ」
「…ジーバン帝国を変えたかったんです」
殺人鬼の目はさめていたが、澄んでいた。

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