「小田原かまぼこ」、「小田原蒲鉾」を地域団体商標として商標登録している小田原蒲鉾協同組合が、これらの名称を使用してかまぼこを販売している南足柄市の事業者を商標権侵害を理由に訴えていた訴訟の判決が出ました。
前稿では、”これからその判決が出る”と述べていましたので、本稿では、その判決のご報告です。
結局は、南足柄市の事業者には、「不正競争の目的」は無く、先使用権が認められるということで、小田原蒲鉾協同組合の請求棄却(負け)という判決になりました。
地方裁判所の判決で、小田原蒲鉾協同組合は控訴する方針とも報じられているので、”とりあえず”ということでしょうか。
「不正競争の目的」の有無という点で、小田原市ではなく南足柄市の事業者が「小田原かまぼこ」って謳うのはアリなの?ということが争点になったようで、裁判所はおおよそこんなことを述べ「不正競争の目的」無しとしたようです。
・南足柄市は、歴史的に見て「小田原かまぼこ」とつながりのある小田原市周辺地域にあたる
・そもそも「小田原かまぼこ」の原材料となる魚は、山口県や静岡県で水揚げされたものも使用されていて、原材料の観点から「小田原かまぼこ」と「小田原市」との地域的関連性が失われつつあり、また、小田原市よりも広い地域で「小田原かまぼこ」が製造されている
詳しい事情はわかりませんが、何となく、”まっとうな”判断のように思います。
ちなみに、この件は「地域団体商標」の事件なので、ざっくりといえば、先使用権が認められるためには、
・不正競争の目的でなく
・その地域団体商標の出願前から使用していればよいのですが、
地域団体商標ではなく、通常の商標権に対して先使用権が認められるためは、さらに、
・先に使用していた商標が有名になっていないといけない点にご注意ください。
弁理士事務所LABRADOR(ホームページ)
弁理士 宮下桂輔
ブログランキングに参加しています。
↓↓↓こちらをクリックして応援頂けると嬉しいです!