バミューダの消えたプライベート・ビーチ | ワシントン通信 3.0~地方公務員から転身した国際公務員のblog

バミューダの消えたプライベート・ビーチ

 初めての地を訪れる時、最近はインターネットで良さそうなホテルを探して予約しています。このやり方で今までほとんどハズレがなかったので、今回のバミューダのホテルもインターネットで見つけました。でも、今回は初めてのハズレでした。そこはコテージ・タイプのホテルで、プライベート・ビーチがあるはずでした。

 バミューダに到着した日、空港から車で30分くらいのそのホテルに着いてチェックインした後、早速そのプライベート・ビーチに行ってみることにしました。ホテル内の「Beaches」と書いた矢印の方に進んでいくのですが、海はあってもお目当ての砂浜がありません。ごつごつした岩場ばかりです。もう少し歩いて行ってようやく見つけた砂浜は、数メートル四方の猫の額ほどのビーチでした。「まさかこれがプライベート・ビーチってことはないよねえ」と、妻と二人で不思議がっていました。フロントに掛かっていたこのホテルの航空写真には、しっかりと大きな砂浜が写っていたし、室内にあったこのホテルのパンフレットにも綺麗な広い砂浜が写っていました。あの写真の中の砂浜はどこに行ってしまったんだろうか。

 当初、僕と妻は「おそらく潮の満ち干の関係で、時間帯によっては海岸に海水が満ちてしまうのではないか」という仮説を立てました。そこでホテルのマネージャーに、「ビーチが一番大きく現れる時間帯は何時ごろでしょうか」と尋ねました。するとそのマネージャーは、「時間帯によってビーチの大きさが変わるということはありません」と答えました。「でもビーチがないんですけど」と突っ込むと、自然現象がどうのこうのと口ごもって誤魔化していました。

バミューダのホースシュー海岸 次に僕らが立てた仮説は、「地球温暖化のために海水面が上昇して、砂浜が隠れてしまった」というものです。僕はもうこの説以外は考えられないと確信していました。そうだとしたら、このホテルのプライベート・ビーチは永遠に失われてしまったことになります。ともあれ、目当てにしていたホテルのプライベート・ビーチは存在しなかったので、車で別のビーチに行きました。そこは「Horse Shoe Bay Beach」という名の、素晴らしいビーチでした。こっちは絶対お薦めです。

 さて、僕らが泊まったホテルのプライベート・ビーチがどうして消えたのか。その答えを、ホテルのレストランで働いていたフィリピン人のウェイトレスさんが教えてくれました。2年ほど前に大きなハリケーンが来て、砂を全部洗い流して行ってしまったんだそうです。それを聞いて、何かこのホテルの経営者が気の毒になり、文句を言う気持ちも起きなくなりました。だって、あの綺麗なビーチがあるのとないのとでは、このホテルの資産価値も大分違うでしょ。ビジネスにも大打撃のはずです。

 それにしても、予約をした時にそれくらい説明してくれる良心があってもよさそうなものです。それに、ホテルのパンフレットに、今もってプライベート・ビーチが存在していた時の写真を使っているのもいかがなものか。このホテルのウェブサイトにも、しっかりと「Private Beach」という言葉が残っています。アメリカだったら訴えられますよ。今回は、ハリケーン被害ということに同情してホテルの実名は伏せることにします。でも、バミューダに行かれる方、ホテルのプライベート・ビーチが目当てでしたらくれぐれもご注意を。予約時に必ず、「ハリケーンでビーチがなくなったホテルじゃないですよね」と確認してください。