『蜂の巣にキス』 ジョナサン・キャロル | たまらなく孤独で、熱い街

『蜂の巣にキス』 ジョナサン・キャロル

蜂の巣にキス 蜂の巣にキス
ジョナサン・キャロル
訳:浅羽 莢子
(創元推理文庫)
初版:2006年4月28日
 
 
 
 
豊崎由美さんの解説を読むと、ジョナサン・キャロルは「驚き」「恐怖」「笑い」のすべてが入っているダーク・ファンタジーを書くらしい。
しかし、「好き中の好き」といいながら、好きな作家ベスト20に入るってどういうことなの?
そんなに好きなら、せめてベスト5くらいに入ると思うのだが。
そんなキャロルだが、今作はかなり今までのとは作風が違うようだ。
 
流行作家のサム・ベイヤーは、スランプに悩みふと15歳まで過ごした生まれ故郷に立ち寄ることにした。
思い出の地。
サムは15歳の初夏、少女の水死体を発見した。
それは奔放な少女、ポーリン・オストローヴァ。
サムは彼女の事件について書こうとする。
悪ガキで、今は警察署長のフラニー・マケイブ。
ポーリン殺害の容疑で逮捕起訴され、獄中で自殺したエドワード・デュラント2世の父、1世。
フラニーが犯人とにらむマフィアのボス、ゴードン・カドモスの息子、ディビッド。
離婚したので滅多に会えないが、目の中に入れても痛くない、娘のキャサリン。
サムの愛読者、ヴェロニカ・レイク。
 
サムが真相を探るに、協力してくれるさまざまな人たち。
サムを見張っているかのような、謎の人物。
ディビッドが殺され、そのビデオがサムの下に届く。
だけど読んでいるうちに、正直どうでもよくなりましたね。
誰がポーリンを殺した真犯人だろうが。
恋人となったヴェロニカが、いかにサムにとって意外な過去を持つ人物だろうが。
 
読み方が悪いのだろうか?
もっと行間を読み取らないと、作者が書こうとした事は読み取れないのか?
ラストも、驚いたのはエドワード・デュラント1世だけですね。
うーむ。
よく惹句で「驚愕の結末!」とか書いてある本格ミステリも多いですが、途中でワクワクドキドキさせてくれないと、ラストがいかにサプライズやアンビリバボーであっても「ふーん」か「それがどうした」で終わってしまいますね。
あ、この小説は違いますよ。
そもそもサプライズがありませんし。