「争うは本意ならねど」

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最近読んだおすすめの一冊ですぺこあっ


『争うは本意ならねど~ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール~』

集英社インターナショナル

(著)木村元彦



2007年5月、川崎フロンターレの我那覇和樹選手が、風邪で体調を崩したときに受けた点滴治療が「ドーピング禁止規程違反」とされて6試合出場禁止となり、チームが罰金1000万円の制裁を受けた事件について、その知られざる真実を描いたノンフィクション。


スポーツノンフィクションの傑作です!!


私自身、2007年当時この事件のことはもちろん知っていましたが、改めて詳細な事実を知り、衝撃を受けました。



徹底した現場取材と、検証から導き出される真実。

掘り下げれば掘り下げるほど出てくる、「ドーピング違反」という裁定の根拠の「矛盾」と、我那覇選手の冤罪を証明する事実の数々。


「悪しき前例を作らないために」

立ち上がった、Jリーグの全チームドクターたちの勇気ある行動をきっかけに物語は進んでいきます花


しかし、我那覇選手の冤罪を証明するために、想像を絶する様々な壁が立ちはだかります。


保身、権力。

一見正しく見えて、実は理論を成していない詭弁。



一方で、地元・沖縄の仲間たちやチームメイト、藤田俊哉選手をリーダーとした選手会にも支えられ、我那覇選手自身が「真実を知りたい」と立ち上がった時、物語は一気に進みだします。


「サッカーに人生をかけてきました。サッカーを裏切るようなことはしていない」

自分の子供が大きくなった時に、胸を張って、「お父さんはサッカーに対して間違ったことはしていなかった」と言えるように。


争いごとを好まないウチナーンチュ(沖縄人)のメンタリティを持った我那覇選手の深い葛藤も、関係者の言葉などを通じて伝わってきます。



最終的に、CAS(スイスに本部を置くスポーツ仲裁裁判所)に提訴する道しか残されなくなってしまうのですが、このCASへの提訴には数千万円という高額な費用がかかる上に、言語は英語おののく


しかし、不可能と思われたその高い高いハードルを乗り越えて真実を勝ち取るべく、我那覇選手は諦めません。

そして、そんな彼をサポートする人たちの影のサポートは、涙なしには読めません。



何度壁にぶつかっても諦めず、世論を動かした浦和レッズの仁賀定雄チームドクター。
沖縄と東京を何度となく往復し、「ちんすこう募金」を立ち上げ、多くのサポーターの心に訴えた新城正樹さん(元ビーチサッカー日本代表)。
国会議員という立場で、1年生議員ながら愛するサッカー、Jリーグのために文部科学省に働きかけた民主党の友近聡朗議員(元Jリーガー)。


「我那覇はJリーグと闘ったのではない。Jリーグを救ったのだ」(筆者あとがき)

この一文に、すべてが集約されている気がします。



筆者の木村元彦氏は、『誇り』『悪者見参』『オシムの言葉』の「旧ユーゴサッカー三部作」の作者。

敬愛するジャーナリストです。
法律面や医療面など、難しい問題に踏み込んで、事実関係から人間関係までを詳細に調べ上げ、4年をかけて書き上げたというその内容は圧巻ですきらきら


私もいつか、ここまで妥協しない取材ができるようになりたいなぁ天使の羽(左)

と、刺激を受けました!



自分のためというよりも、今後も続いていくプロサッカーの世界を守るために闘った我那覇選手と、彼を支えた多くの関係者、サポーター。その人々をめぐり合わせたのも、サッカーでした。

最後まで読んで、改めて、サッカーの持つ力、素晴らしさにも思い至りましたサッカーボールミネラルウォーター



Jリーグのピッチは、いつでも、子供たちに夢を与える場であってほしいな、と思います。

そのためには、私もサッカーを愛する一人として、ドーピングについての正しい知識を持っておくことが必要だなと感じました。



ちなみに、我那覇選手ご本人の公式ブログでの紹介文にも心を打たれましたきらきら


我那覇和樹 公式ブログ

JFLのFC琉球で活躍する我那覇選手。

これからも美(ちゅ)らゴールをばしばし決めてほしいですね上しあわせ


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