07年3月議会 代表質問(1) | 大脇和代(姫路市会議員)の活動報告

07年3月議会 代表質問(1)

日本共産党議員団を代表し質問致します。代表質問の最後となり、重なる問題もありますが、異なる観点もあり、通告に基づき、もうしばらくよろしくお願い致します。

 一項目めは、予算と、市長の基本姿勢についてお尋ねします。

 その第一は、大きな社会問題となっている貧困と格差についてです。残念ながら、市長は所信表明のなかで、このことにふれられませんでしたが、避けて通れない現状について市長はどう認識されているのか、まずお伺いしたいと思います。

 先日NHKテレビが「ワーキングプア」について特集番組を放映しました。どんなに働いても生活保護水準以下の暮らししかできない人たちが、日本の全世帯の十分の一以上に広がっているのです。

 たとえば、全国で母子家庭・一人親家庭は百四十万世帯を超えて急増し、姫路市でも五三〇〇世帯を超えています。その約六割が、国際的な貧困水準以下の暮らしです。番組では、二人の小学生の子どもを育てながら働いている三十一歳の母親が紹介されました。昼夜二つのパートをかけ持ちし、仕事を終えて家に帰るのは夜中の二時。睡眠時間は四~五時間という働きづめの生活です。二人の子どもを育てながら必死で働いて手取り十二万円。ぎりぎりの生活。この母親は「あと十年がんばれば、自分の体がぼろぼろになっても子どもは巣立っていける」と言いました。私もこのような身につまされるような相談を何回か受けています。シングルマザーが、わが身を犠牲にしなければ子どもが育てられない社会が、まともな社会といえるでしょうか。

暮らしが困難で苦しい状況は、生活保護や就学援助、国保の滞納等で示されており、九十六年度から二〇〇五年度まで十年間の推移を見ますと、生活保護世帯は一五二九世帯から三〇五三世帯と、実に倍増し、その後もさらに増え続け、二月一日現在、三四〇七世帯となっています。就学援助需給児童数は、九十六年の二三七八人から、十年間で六〇三五人、ほぼ三倍となっています。市長、この市民の困難な現状について、どう思われますか。

 国民健康保険料が高くて払いたくても払えず、一年以上滞納した世帯に発行される資格証明書は、二四八〇世帯となっています。これはいったん窓口で医療費を全額支払わなくてはならないため、診察も受けることができず、ますます体が悪くなり、命を落としかねない状況も生まれています。なぜこうした事態が広がるのか、市長、原因は何だと思われますか。原因を明らかにして対策を立てるのが自治体の課題ではないでしょうか。市長のご見解をお尋ねします。

大企業は空前の大もうけをしているのに、パート、アルバイト、請負職員が圧倒的という状況が広がっています。派遣労働者は三百万人を超え、働く者の三人に一人が非正規雇用で、若者では二人に一人に達しており、民間の調査では、平均年収はわずか百三十三万円という驚くべき低さです。本市も公務員の嘱託やパート、アルバイトなどへの切り替え等、民間企業のリストラ同様に不安定雇用が拡大していることは重大であり、改善が急がれるのではありませんか。これらは、今働く人を苦しめているだけではなく、日本の将来をも危うくしています。技術、技能の継承を困難にするとともに、経済的理由で結婚すらできないという異常な状態が広がり、少子化の原因の一つにもなっているのです。

さらに、税制の改悪、社会保障の切り捨ては、貧困と格差を拡大する最大の要因ではありませんか。

本来自治体は、市民の暮らしと福祉を守ることがその使命であると考えます。貧困と格差の拡大を食い止め、市民の暮らしと福祉を守る具体的な施策を、新年度は強化すべきだと考えますが、市長のご所見をお願いいたします。

第二に、市長の公約についてお尋ねいたします。

石見市長は市長就任後、直ちにドーム建設取り止めを実行されました。この公約実現は市政の歴史の中で高く評価されるものだと思います。

次に、情報公開と市民主役の市政推進についてでありますが、この分野では、まだ不十分な段階にとどまっているのではないでしょうか。タウンミーティングやパブリックコメント制等、市民の意見を聴取する取り組みは、形式的に流れていませんか。市民参画の推進には、徹底した市民周知と啓発など、さらに大きな努力が必要だと考えます。特に新年度の課題として、新市まちづくりについては、合併により、面積が二倍になり、人口も五十三万人を超して、文字通り県下第二の都市、播磨地方の中心都市として飛躍が期待され、新総合計画の策定に向けた取り組みも本格的に始まります。市長の基本姿勢として、「市民一人ひとりが主役の市政」を基本に、本来の望ましい都市ビジョンとして「高度技術都市」「国際交流都市」「市民参加、生涯現役の安心教育都市」の三つを掲げ、生きがいと魅力ある姫路のまちづくりを進めていく、と述べられています。この観点から、中心市街地の活性化や、駅前周辺整備などについて、従来からの課題も残されている上、合併町との約束事項、さらに県調査費を計上した播磨臨海地域道路建設計画も議論になりつつあります。

そこで四点お尋ねいたします。

一点目は、三つの都市ビジョンの何を重点に、どうまちづくりを進めていくのか、新市まちづくりの基本について市長のご見解をお聞かせ下さい。

二点目は、駅前広場の整備の目玉として、外堀川を生かしたサンクンガーデン構想、駅ビルまた駅前周辺のコアゾーンの土地の一時取得など、すでに動き始めていますが、こうした構想は、全市民の意見を率直に聞く必要があるのではないのでしょうか。

三点目は、市長が所信表明の中で新たな決意を示された播磨臨海地域道路計画についてお聞きします。

堀川市長がプランを示されて以来、現実には論議は進みませんでした。昨年、知事が「国道二号バイパスの交通分散のために、新たな自動車専用道路が必要である」と述べられたと聞いておりますが、環境問題をかんがえるとき、新たな道路の必要性に関して問題点が指摘されています。臨海部に莫大な税金を使って、もう一本の自動車専用道路を作るより、山陽道などに通過交通を振りかえる対策を行うほうが効率的。臨海道路によって市内への交通量が増加し、市内の渋滞を悪化させるとの分析もあります。巨額の投資は、一方で税金が暮らしに回らず、生活を圧迫する危険性も増大します。これらの観点から、臨海地域道路の経費と需要予測、計画についてもっともっと情報公開と議論が必要です。現段階で示されている計画と経費、需要予測を明らかにしてください。

いずれの計画も、研究者を始め、あらゆる階層の人々の意見を総結集して徹底した議論を繰り返し行うことが大切で、一方通行になるパブリックコメント制だけでは不十分です。市の課題が市民の話題になるような運動を巻き起こしていく先頭に、市長を始め、全職員が立つ取り組みにすべきだと考えますがいかがでしょうか。

四点目は中学校給食です。当初は四年間で全校実施の計画だったのではありませんか。旧市内で七校が残されたことに対して、その理由を明確にして下さい。期待されていた市長の公約であり、未達成については十分な説明が必要と考えますがいかがですか。

第三に、国の悪政の防波堤となるため、福祉、暮らしを予算の主役にすることについてお尋ねいたします。

一点目は、国の税制の大改悪によって庶民大増税が強行されていますが、これを改め、市民の暮らしを守ることについてであります。

昨年六月には、住民税の通知をもらってびっくりして、「なぜこうなるのか、間違っているのではないか」等の問い合わせが殺到しています。電話は鳴りっぱなし、市役所の窓口は大混乱という状況が発生しました。住民税が三~五倍、人によっては十倍にも跳ね上がったことに対する問い合わせでした。

具体的には、均等割り非課税措置の廃止で約二万六千人、公的年金等控除の縮小で約三万七千人、老年者控除の廃止で約一万三千人、六十五歳以上の非課税基準廃止に関して、均等割りで約一万一千人、所得割りで約一万人、定率減税の半減で約十八万人、非課税基準の引き下げで約四百五十人、合計で約二十七万七千人以上の人が影響を受け、十五億二千八百万円余の大増税となりました。その上、今年度は、定率減税の残り半分、約十億円が増税となり、市民約二十二万人が影響を受けるのです。

一方、史上空前の大もうけをしている法人税率はどうかと見てみますと、最高時四十三・三%から次々に引き下げられ、現在、一般法人の本則では三十四・五%ですが、負担軽減措置がとられ、三十%となっています。その結果、姫路市の法人市民税の減収は約十五億円といわれています。結果的に見ると、庶民の増税分が大企業の減税となっています。これでは、まさに逆立ち税制ではないでしょうか。その上、今年度も、大企業には減価償却制度の拡充、連結納税制度によって、一兆円の減税が実施され、庶民には一・七兆円の増税が行われようとしています。

市長、市民の暮らしを守るため、国に向かって、このような逆立ちした税制度を抜本的に改めるよう強く求めていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

二点目は、子どもの医療費無料化の拡充についてです。

子どもの医療費無料化の拡充についてわが党議員団は、要望し続

けてきました。住民の要望が県に届けられ、来年県の制度改善の中で、小学三年まで拡充、通院では三日目以降無料、入院では月に二千八百円を限度とする等、一定の前進が行われました。しかし、喜びの半面、この内容は義務教育終了まで子どもの医療費の無料化をめざして署名を広げてきたお母さん方にとっては不満が残るものです。全国的に見ますと、東京都内では、ほぼ全域で義務教育終了まで無料化が実施されています。また県内では、小学校終了まで無料化という自治体も増えてきています。本市でも、県の制度に上乗せして、せめて小学校終了までに拡大すべきだと考えますがいかがでしょうか。市独自の制度として、〇~二歳児の所得制限の撤廃を掲げていますが、対象者の数と財源措置の額を明らかにしてください。小学校終了まで実施した場合の経費をお示し下さい。子育て支援としてぜひ取り組んでいただきたいのですが、ご所見をお願いいたします。

三点目は国民健康保険についてです。

本市の国保加入は、現在一〇三、三六八世帯で、全世帯の過半数となっています。そのなかで、短期保険証発行二八六三、資格証明書発行二四八〇、窓口扱い五三一四となっており、国保加入世帯の一割余の世帯には正規の保険証が届いていない実態です。これは、国保料が生活実態から見て高すぎて払えないために起こっている問題です。保険証がないために医者に行くのを我慢し、手遅れで死亡した痛ましい例が、全国で少なくとも二十一件も起きていることが、朝日新聞の調査で明らかになっています。本市でもこのような事態がいつ起きてもおかしくないような状況が続いています。国庫負担率を元に戻すよう国に強く迫ると共に、市独自の制度として一般財源の大幅繰り入れを行い、減免制度の拡充をさらに広げて、本当に困っておられる方々に、温かい手を差し伸べることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。

四点目、介護保険についても、昨年度の三十二%の保険料の引き上げで重い負担となり、多くの市民から強い不満が出されており、不服申し立ての申請も三十九人の方々から出されています。国に対して国庫負担の割合を引き上げるよう強く求めると共に、市独自の利用料、保険料の減免制度の拡充を図ることが必要ではありませんか。制度改悪で介護ベッドや車椅子等福祉用具のレンタルが利用できなくなっているケースが生じており、市民の実情に応じた適切な改善を行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。ご所見をお願い致します。

二項目めは、市民参加でガラス張りの公正な市政づくりについてです。

第一は、同和行政、教育事業についてです。

この一年間、部落解放同盟の一部幹部による不正・腐敗事件が、大阪、京都、奈良などで相次ぎ、純粋に解放運動を進めてきた皆さんを悲しませています。差別に苦しむ人々が解放を求めて運動し、同和対策特別措置法が生まれ、同和地区の改善・解消が進みました。国は二〇〇二年三月、地域改善対策特定事業に関わる国の財政上の特別措置法に関する法律の失効に伴い、同和事業を終結しましたが、格差社会の拡大やワーキングプアーや生活保護、ホームレスの増加等を考える時、かつての同和地区優遇の施策を解消し、社会的貧困にさらされている人々全体を救済する制度や施策を打ち出すことが緊急課題です。

同和地区を保護してきた固定資産税の減免制度、同和地区にのみ入居権があった地域改善向け市営住宅、地区総合センターの職員配置について、わが党議員団は、予算ヒアリング、決算委員会で度々改善を求めてきました。これまで市当局は理解を示しながら、全庁的な議論が必要との立場で問題を先延ばしにしてきました。いつまでも特別扱いをすることは優遇策と受け取られ、逆差別を生みかねません。固定資産税の年間の優遇総額と人数、地区総合センターに配置されている職員数と人件費、これらの総額を明らかにしてください。また一般住宅と同和改善住宅の入居定数に対する年間の入居希望倍率をお答えください。さらにこれらの改善に対するご見解をお聞かせください。

地区総合センターの今後のあり方については、これまで差別と闘ってこられた方が、地域の歴史を語り、差別のない社会を担う若者育成に貢献されることが、同和運動の原点ではないでしょうか。教育事業についても、勉強が遅れている他地域の子どもたちも同等に受けられる方向へと改善すべきと思いますが、この点についてもご見解をお聞かせください。またこれらの実施に向け、市民と行政で作るオープンな検討委員会を設置すべきと考えますがいかがでしょうか。

第二は、入札制度の改善についてです。

総務省、国土交通省と八自治体で作る国の連絡会議がまとめた談合防止策には、「一般競争入札の全市町村での導入」を求めています。公共工事の入札談合は、昨年に続き、今年も名古屋の地下鉄工事で発覚、後を絶たない現状です。姫路市は、電子入札の導入、一般競争入札にも取り組んでいると思われますが、さらに、一般競争入札基準額を引き下げ、枠を一層拡大すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

次に、市が外郭団体に委託している業務費の総額、入札形態、その割合、一般競争の占める割合、及び外郭団体の職員のうち元市職員の占める割合をお答えください。全国的に外郭団体への職員OB比率は半数を占め、事業の随意契約が利権の温床になる危険性があるとの新聞報道もあることから、透明度を高める改善が必要と思いますが、お考えをお聞かせください。

第三に、公益通報制度の周知徹底についてです。

行政の公正・透明性確保の立場で要望した公益通報制度は、昨年、市で導入、続いて県でも導入実施となったこと、要望してきた者として歓迎しています。さらに公益通報制度をめぐり、弁護士らによる外部窓口を設けることが求められています。姫路市においても、職員の不祥事が残念ながら続いており、再発防止機能の役割を果たしてほしいと考えます。

そこで、以下三点につき質問します。

1昨年七月の導入後、通報は何件あったのですか。この公表はどん

な形で成されるのですか。

2通報者の保護はどんな形で周知徹底されたのですか。

3県は公益通報委員会に有識者を加えています。市においても弁護

士等有識者を加えるべきと考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。

第四に、議員を含む特別職報酬等の見直しについて質問します。

日本共産党議員団は、税金の使い方を正す責任を負う議員が、自ら税金の使い方の透明度を高め、無駄遣いを正す先頭に立つべきとの立場から、海外視察や、政務調査費に金額を問わず領収書の添付を求め、議員の厚遇といわれる点について、議長に議会改革を求めてきました。一昨年、議会の改革協議会が開かれ、海外視察の廃止や国内視察の宿泊料の引き下げ等、市民の目線で改革が進められた点について評価をしています。行財政構造改革で、職員削減や賃金引下げについて、わが党は反対しましたが、が

強行されるなか、議員の報酬等が聖域になっているのではありませんか。職員や市民に傷みを与えるのなら、特別職や議員の報酬についても、引き下げ等の見直しが必要ではありませんか。ご見解をお聞かせください。