ホルモン補充で凍結融解移植を行う際に、エストロゲンの投与はどの程度までが出産率に対して好ましいかに関して調べている演題が2017ESHREにありましたので紹介します。

2012-2015年にかけて1,377名に対して検討しています。

ホルモン補充周期で単一胚盤胞移植を行っています。

 

A群 21日以内(330例)

B群 22から28日(665例)

C群 29日から35日(289例)

D群 36日から48日(93例)

 

出産率は以下のようになり、投与期間が長くなると出産率は有意に低下しました。

(A群をコントロールとして他の群を比較しています)

A群 29%(98例)

B群 27.82%(185例)オッズ比0.91

C群 21.8%(63例)オッズ比0.66

D群 17.2%(16例)オッズ比0.49

 

流産率は以下のようになり、投与期間が長くなると流産率は有意に上昇しました。

(A群をコントロールとして他の群を比較しています)

A群 28.47%(41例)

B群 31.79%(89例)オッズ比1.17

C群 34.31%(35例)オッズ比1.31

D群 48.57%(17例)オッズ比2.37

 

結論

移植前にエストロゲンの投与期間が長くなると出産率が低下し、流産率が上昇しました。

 

O-295 Endometrial preparation: Impact of estrogen duration of administration before frozen-thawed blastocyst transfer on live birth rate 

The 33rd Annual Meeting of ESHRE, Geneva, Switzerland 2 to 5 July 2017 

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ビタミンD欠乏は妊娠率に影響するか検討している論文がHum Reprod.にありましたので紹介します。

 

ビタミンDは胚の質や子宮内膜に影響を与えているという報告があります。

この論文では凍結融解胚移植においてビタミンDがどのような影響を与えているかを調べています。

 

方法

ブリュッセル大学において1年間調べられました。

280名の患者に凍結融解胚移植を行いました。

移植日に 25-OH vitamin Dを測定しました。 

 

結果

45.3% (n = 127) がビタミンDが低く欠乏群 (<20 ng/ml)。 

54.6% (n = 153)がビタミンDは正常と診断されました( ≥20 ng/ml)。

 

hCG陽性群はビタミンD欠乏群と正常群で変わりませんでした。

(40.9 versus 48.3%, P = 0.2). 

 

臨床的妊娠率も有意差が認められませんでした。

[32.2% (41/127)] [37.9% (58/153)]; P = 0.3.

 

ビタミンDが(<20 ng/ml)の欠損群, ビタミンD が(20–30 ng/ml)の低下群、そしてビタミン Dが  (≥30 ng/ml)の充足群に分けて臨床的妊娠率を調べたところ、以下のようになり統計的有意差を認めませんでした。

 [32.3% (41/127) vs. 39.5% (36/91) vs. 35.5% (22/62), respectively, P = 0.54]. 

 

結論

ビタミンDの欠乏は凍結融解胚移植の臨床結果へ影響しないことがわかりました。

 

Vitamin D deficiency and pregnancy rates following frozen–thawed embryo transfer: a prospective cohort study

Hum Reprod (2016) 31 (8): 1749-1754.

凍結に向かないケース

テーマ:

凍結胚移植と新鮮胚移植


この両者のどちらが好ましいかについてご質問を受けましたのでお答えします。


凍結胚移植の方が有意に妊娠率が高いこと、また副作用であるOHSSになりにくいことなどの理由で好ましいと考えております。


そのため当院ではほとんど凍結胚移植を施行しております。


そのような中で、新鮮胚移植の方が好ましいケースもあります。


過去の治療歴で胚の融解後に変性したケース、また凍結することで胚の状態が悪くなるケースに対しては、新鮮胚移植をお勧めしております。


特に胚盤胞は収縮しやすい特徴があり、融解後になかなか拡張してこない場合があります。


この様なケースでは新鮮胚移植を行う事で妊娠に至る事もあります。


宜しければ過去の記事も参考にしてください。


凍結移植と新鮮移植






凍結胚移植のメリット、デメリットについて説明します。


1) メリット

a.妊娠率の向上

これが最大のメリットといえます。やはり内膜の状態を整えた後の移植のために妊娠率は向上しています。

b.多胎の防止

凍結が可能になったことで単一胚移植が増加し、その結果多胎の頻度が減少しました。

その他OHSSのリスクが減らせるという事も挙げられます。



2) デメリット

a.治療が遅くなる。

新鮮胚移植に比較し、次の周期以降での移植になるため妊娠までの期間が遅くなります。

b.凍結および融解によるコストの発生。

凍結、融解に対してコストが発生します。

c.融解後に胚の変性が認められる。

融解後に数%の胚に融解後変性が認められています。

凍結および融解という手技自体が胚にストレスをかけている可能性があります。

d.将来への不安。

現時点で分かっていない凍結融解操作にリスクがある可能性があります。

今後長期的に児をフォローしていくと今後何らかの異常が出てくる可能性はゼロではありません。

e.透明帯の硬化

凍結後に透明帯の硬化が認められるために、原則的に融解時全例にAHA(透明帯開口術)を施行しています。



高齢になるにつれて妊娠率の低下と流産率が上昇します。


流産によりその後の治療が遅れて、妊娠の可能性をさらに低くします。


ある程度良好胚を凍結しておき、その後胚移植を行うことで、これらの問題(流産による治療の遅れ)を解決することが可能になります。


また、分娩後にもう一人を希望する場合にも、若い時の凍結胚がある方が圧倒的に有利になります。


宜しければ以下の記事も参考にしてください。


二人目の事も視野に入れた治療を


凍結卵の移植と採卵のどちらを優先させた方が良いですか?


胚盤胞が何個あれば妊娠出来るか