「卵管水腫が疑われる場合どうすればよいでしょうか」、というご質問がありましたのでお答えします。


卵管水腫が疑われる場合には、きちんと検査をして診断を付けることが先決です。

もし卵管水腫がある場合には体外受精による胚移植でも妊娠率が低下することが様々な研究から分かっています。

そのため卵管水腫のオペをすべきであるというのが現状でのエビデンスがある答えです。


卵管水腫があるにもかかわらず、胚植を繰り返すことはかなり無理がある治療といえます。


以前にも同様な記事を書いておりますので、宜しければ参考にして頂けたらと思います。


体外受精と卵管水腫


腹腔鏡検査


卵管造影検査


卵管造影は必要か?


体外受精 vs 腹腔鏡手術


AD

帝王切開と二人目不妊

テーマ:

二人目不妊


二人目不妊に関しては以前の記事 を参考にしてください。


近年帝王切開による分娩が増加しており、20%近くが帝王切開 で生まれています。

二人目不妊の原因の一つに前回のお産が帝王切開であることがあげられます。


帝王切開をしている方で生理後にだらだらと出血が続くような場合には注意が必要になります。

エコーにて切開部に異常所見が見られれば、子宮鏡検査にて詳細を調べる必要があります。

瘢痕に陥没の像が見られればオペにて治療をすることで改善する可能性があります。


以前にも同様の内容を記事にしましたので 参考にしてください。




子宮鏡検査

テーマ:
良好胚を移植しても結果が出ない場合には子宮鏡検査をする事をお勧めします。

検査をしてみると小さい子宮内膜ポリープ、内腔の癒着、粘膜下の子宮筋腫、子宮奇形などが見つかる事が結構あります。
こういう疾患は普段のエコー検査では見逃される事があります。

もしそのような疾患があった場合には子宮鏡の手術、腹腔鏡の手術を行う事で次回から妊娠しやすくする事が可能になります。

子宮鏡検査は副作用もなく、痛みも少なく、外来で数分で終わる検査なので、良好胚を移植しても全くhCGが出ない場合にはぜひ行う方がよいと思います。

以下の記事も参考にしてください。
http://ameblo.jp/kazutom/entry-10921570869.html

卵管采の奇形

テーマ:

「ピックアップ障害」とは卵管の出口の卵管采に卵子が取り込まれない状態を言います。

ピックアップ障害の代表的な原因として以下の二つがあげられます。

①クラミジア感染

②子宮内膜症

これらに関しては過去に何度も記事にしてきました。


今回はこれらでは無く、「卵管采の奇形」について説明したいと思います。

卵管采とは卵管の出口の部分を言います。

卵管采と卵管が正しく向き合っていないと卵子は卵管内へ入る事ができません。


生まれつき卵管采が小さい場合、卵管采の形が細長い場合、卵管采が半分くらいしかない場合等があります。

これは奇形と言うと言い過ぎかもしれませんが、「卵管采の形成不全」とでも呼ぶべきかと思います。

これは病気では無く、一つの特徴みたいなものだと思います。


ただ卵管采は妊娠には不可欠なもので、ここの形成不全は「生殖」と言う点からみると致命的になります。


クラミジア感染や子宮内膜症の場合は癒着を剥離する事は可能ですが、卵管采の奇形に関しては手術ではどうにもなりません。人工的に卵管采を作る事は不可能です。


そのためこの様なケースでは数回程度自然妊娠を試みて難しい場合には早めに体外受精へとステップアップを勧めます。


尚、卵管采の奇形を診断する方法は腹腔鏡検査しかありません。卵管造影検査では診断が出来ません。

子宮奇形は不妊症、流産、不育症、早産の原因となります。

子宮奇形については以前一度記事にました。

こちら を参考にして下さい。)

子宮奇形は非常に大切な疾患なのですが、その頻度に関しては良く分かっていませんでした。

子宮奇形についての最新のレビューが今月号のHuman Reproduction Updateに掲載されましたので紹介します。


背景
今まで、異なる患者群に、様々な異なる診断方法がとられていたため、ハイリスク群における先天性の子宮奇形の頻度は良く分かっていませんでした。

このレビューの目的は、任意抽出の集団、体外受精を行っている不妊症患者、流産の既往がある女性、不妊症でかつ反復流産の既往がある女性、早産の既往がある女性における子宮奇形の頻度を調査する事です。


方法

MEDLINE、EMBASE、Web of scinece and Cochrane reisterを調査した。論文の選択とデータの抽出は二人の異なるレビューワーによりそれぞれ行われた。子宮奇形の診断は①最適な方法、②準最適な方法の2つのグループに分けて行われた。

色々な集団に対する子宮奇形の頻度を計算するためにメタ解析が行われた。


結論

89,861名の女性からなる94の研究を同定して調査した。

最適な方法により診断した子宮奇形の頻度は、

任意抽出の集団の場合は5.5%(95%信頼区間(CI)は3.5-8.5)、

不妊患者では8.0%(95%CI、5.3-12)、

流産の既往がある場合は13.3%(95%CI、8.9-20.0)、

不妊症で反復流産の場合には24.5%(95%CI、18.3-32.8)であった。


任意抽出の集団においては弓状子宮が最も多く、3.9%(95%CI、2.1-7.1)であった。ハイリスク群では弓状子宮は増加しなかった。

一方ハイリスク群では中隔子宮が最も多い奇形となった。


結論

過去に流産または流産と不妊の既往がある女性は、任意抽出の集団と比較すると子宮奇形の頻度がかなり高くなる事がわかった。


この結果から言える事として

子宮奇形に関する少し難しい内容ですが、今までこれほど多くの対象(9万人の患者)を検査した論文は余り出ていませんでした。そのため貴重なデータと言えます。


また今回の論文から子宮奇形の頻度がかなり高い事がわかりました。

特に、不妊症で反復流産の場合には25%に子宮奇形がある事が判明しました。

不妊症、流産の既往、不育症等の場合には子宮奇形も念頭に置き原因の検索を進める事が大切だと言えます。


The prevalence of congenital uterine anomalies in unselected and high-risk populations: a systematic review

Hum. Reprod. Update (November-December 2011) 17(6): 761-771